株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の主要な臨床検査薬・機器事業展開企業35社の事業規模調査を実施し、関連市場、参入企業動向、将来展望を明らかにいたしました。

1.市場概況

2020年度の国内主要企業における臨床検査薬・機器事業規模(臨床検査薬・機器事業を展開する国内主要35社の事業者売上高ベース)を前年度比0.9%減の1兆855億円と推計した。
当該事業を国内向けと海外向け別にみると、国内向け事業は前年度比0.7%増の5,544億円、海外向け事業は同2.6%減の5,311億円であった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う各種受診抑制の影響を受け、一般的な臨床検査薬・機器の販売は前年度比マイナス基調で推移、多くの企業は2019年度比で売上を落とした。しかし、一部の企業では新型コロナウイルス関連検査薬・機器の特需が発生しており、全体の減額分を当該関連検査薬・機器でカバーする構図となった。

2.注目トピック~2020年度から新型コロナウイルス検査薬・機器市場が出現

新型コロナウイルスの検出方法に関しては、遺伝子検査(主にPCR法)と抗原検査に大別される。さらに抗原検査は迅速抗原検査キット(定性)と抗原定量検査に分類される。日本国内においては、2020年の中頃から新型コロナウイルスPCR検査、抗原定性検査、抗原定量検査の検査薬・機器などの供給が本格化し、医療機関、民間検査センターなどで広く検査が行われるようになった。

主要参入企業の売上状況などから判断し、2020年度の新型コロナウイルスの遺伝子および抗原検査薬・機器の国内市場は500億円以上になったと推計する。2021年度上期までの新型コロナウイルス関連検査数は、すでに2020年度一年分の同検査数を上回る状況であり、臨床検査薬・機器業界では新型コロナウイルス検査特需が依然続く形となっている。

3.将来展望

2021年度の国内主要企業における臨床検査薬・機器事業規模(臨床検査薬・機器事業を展開する国内主要35社の事業者売上高ベース)は、国内向けが前年度比6.1%増、海外向けは同5.6%増、あわせて同5.8%増の1兆1,490億円になると予測する。2021年度の前半で一般的な医療の検体検査数は前年度比プラスに転じてきている。また2021年夏場の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、同検査薬需要は急拡大した。2021年度下期以降、新型コロナウイルスの検査数は沈静化の方向に向かうと見られるが、通年で捉えた場合の臨床検査薬・機器業界としての底上げ幅は比較的大きくなると推測される。

2022年には新型コロナウイルス感染症の経口治療薬等の流通が予測され、それに伴い、同感染症の管理、治療方針等が季節性インフルエンザ同様に近づき、検査自体もクリニックレベルに広く普及する可能性が高まると見る。今後の新型コロナウイルス関連検査においては、小型遺伝子検査装置、抗原定性検査キットなどの臨床現場即時検査(POCT)市場が伸長するのではないかと考えられる。

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調査要綱
1.調査期間: 2021年8月~10月
2.調査対象: 国内の主要な臨床検査薬・機器事業展開企業35社(日本企業および海外企業日本法人)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによるヒアリング調査
4.発刊日:2021年10月29日

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情報提供元: Dream News
記事名:「 【矢野経済研究所プレスリリース】臨床検査薬・機器事業に関する調査を実施(2021年)~2020年度の国内主要企業の臨床検査薬・機器事業規模は前年度比0.9%減の1兆855億円~