従業員エンゲージメントを高めることは、会社側、社員側、双方の状況が変化したことで以前に増して注目が集まっている。 まず、会社側の状況変化として、労働力人口の減少により人手不足が顕在化、採用が難しくなったことで社員の定着や離職防止策が求められるようになったこと、また、人的資本の情報開示など投資家からの要望により新しい指標が求められていること、SDGs(Sustainable Development Goals)やESG投資[環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資]の潮流で働きがいに注目が集まっていることなどが挙げられる。 一方、社員側の変化としては、社会課題への貢献意欲や成長実感を求めるといったミレニアル世代・Z世代の労働観の影響を受けていること、人生100年時代を前提とする中で「自分が本当にしたいことは何か」「自分のやるべきことは何か」といったテーマで人生、働き方を考える人が増えつつあることが背景にあるとみられる。
そこで、会社やチームの目標に紐づいた個々人の目標設定を行い、アクションを明確にすることができるOKR(Objectives and Key Results)や、その進捗を確認し、継続フォローを行う1on1ミーティングを導入する企業が増えている。また、1on1は目標の進捗確認やフォローを行う場としてだけでなく、単なる雑談だとしても、コミュニケーションの量を確保することで心理的安全性を高めると考える企業もあるようだ。