■システム再構築の背景とプロジェクトの目的 1985年に米国線の運航を開始して以来、日本唯一の国際線貨物専門航空会社である日本貨物航空は、2007年に「SAP(R)ERP6.0」をベースに、グローバルスタンダードな基幹業務システムを構築しました。 しかし、2023年のOSサポート期限および2027年のSAP ERP6.0標準サポート期限を見据えて、システムの継続利用や新システムへの刷新など、現行システムの見直しを検討していく必要がありました。また、業務プロセスの電子化・自動化を行うことにより、実務者レベルの業務を削減し、高付加価値業務に向けた検討・推進リソースの捻出を求める改革ニーズも高まっていました。そこで今回システムをRISE with SAPで再構築することに決定しました。
■RISE with SAP 選択の理由 RISE with SAPは、企業がインテリジェントエンタープライズに向けた変革をシンプルに進めるための SAP製品とサービスを統合した新しい提案で、2021年1月から開始されました。そのコアとなるSAP S/4HANA Cloud, private edition は、サブスクリプション型でありながら、プライベート型のクラウドアプリケーションです。年1回バージョンアップの権利があり、自動化およびAIを活用した最新のテクノロジーが付加され続けることにより、ユーザー企業にデジタル変革を促す効果があります。 日本貨物航空では、これまで業務を円滑に遂行するためにSAP ERP上で開発してきたアドオン機能を再構築時にはスリム化することを方針として掲げています。しかし、国際貨物航空という特性から、一部は知財として残す価値があると判断し、最新テクノロジーと双方のメリットを両立して経営管理の高度化を狙えることから、RISE with SAPの選択を決定しました。