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株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2020年度の国内民間企業のIT投資実態と今後の動向について調査を実施いたしました。
1.市場概況
国内民間企業のIT市場規模(ハード・ソフト・サービス含む)は、2019年度が前年度比3.2%増の12兆8,900億円と推計した。2019年度は、既存システムの刷新/更新やWindows7のサポート終了によるWindows10への買い替え、消費増税前の駆け込み及び税率変更対応、元号改正対応などへの需要が高まったことで、堅調に推移した。DX(デジタルトランスフォーメーション)投資については、大企業を中心に活発化してきているものの、中堅・中小企業の動向には大きな変化が生じていないのが現状である。
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2.注目トピック~新型コロナウイルスの影響により、約6割の企業が「働き方改革」へのIT投資を増加させると回答
法人を対象としたアンケート調査においては、新型コロナウイルスの影響を受けたIT投資の方向性の変化について尋ね、国内の民間企業等512件の回答を得た。各設問項目について、「大きく増加」「やや増加」「変わらない」「やや減少」「大きく減少」の中から必ず1つ選択する方式で行った。
アンケート調査の結果は、「働き方改革」に向けたIT投資の方向性について、「大きく増加」「やや増加」と回答した比率が合計60.2%で、他の設問項目と比較して最も高い割合となった。2020年2月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けてテレワークが急速に進み、ノートPCやWeb会議システムなどに対する需要が急拡大した。コロナ禍により、働く場所や働き方が多様化する中で、今後も働き方改革に向けたIT投資が進むと予測する。
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3.将来展望
2020年度以降における国内民間企業のIT市場規模(ハード・ソフト・サービス含む)は、2020年度が前年度比0.1%増の12兆9,000億円、2021年度は同4.3%減の12兆3,500億円、2022年度は同0.4%増の12兆4,000億円と予測する。
2020年度では、新型コロナウイルスの影響を受け、IT投資計画の先送り/見送りなどマイナスの要因が生じている。一方、テレワーク環境の整備に向けた設備投資が好調であることや、大企業を中心に大規模システムの刷新/公開が概ね予定通りに実行されるなどプラスの要因もある。そのため、2020年度の市場規模は前年度比横ばい程度になると予測する。
2021年度はコロナ禍による業績不振の影響を受ける形で、不要不急のシステム/サービスの先送り/見送りなど、企業のIT投資が縮小傾向になると見込まれることから、市場規模は前年度比4.3%減になると予測する。
2022年度以降は世界経済が立ち直り始めることなどを背景に、5Gの本格普及が進むことや、働き方改革の推進、データを活用した取り組みの進展によるAI/IoTなどの普及、さらに、これらを受けてセキュリティ対策の必要性が高まることなどから、市場は緩やかながらも成長していくとの見通しである。
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調査要綱
1.調査期間: 2020年7月~10月
2.調査対象: 国内の民間企業等
3.調査方法: 民間企業等に対する記名式郵送アンケートおよび文献調査併用
4.発刊日:2020年10月29日
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