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中国で囚われの身になった夫。
難民となって家族を支えた妻。
故郷チベットには、もう戻れない。
でも、家族がいるところが、いつだって故郷だ。
『パンと牢獄 チベット政治犯ドゥンドゥップと妻の亡命ノート』小川真利枝・著
2020年3月5日(木)発売
●発行:集英社クリエイティブ ●発売:集英社 ●定価:本体1,500円+税
四六判ソフトカバー 256ページ ISBN978-4-420-31088-8
チベット人の真意を映す映画を撮影したことで、中国で拘束され、
獄中で「国際報道自由賞」を受賞したドゥンドゥップ・ワンチェン。
インドのダラムサラで道端のパン売りから始め、ついにはアメリカに亡命して、
家族を養い、夫の釈放を待ち続けた妻ラモ・ツォ。
ドゥンドゥップは六年の刑を終えた後、中国内で軟禁状態になったが、
命を懸けた亡命に成功。アメリカで家族と十年ぶりの再会を果たす。
ドゥンドゥップは獄中でどのような目に遭ったのか!?
家族は再び、共に生きることができるのか!?
【ドゥンドゥップ・ワンチェンとは?】
1974年、チベット人が多く住む青海省化隆回族自治県の農家に生まれる。北京五輪を控えた2007年10月から、チベット人100人以上に「五輪をどう思うか?」「チベットに自由はあるか?」などインタビューしたビデオを撮影。2008年3月、理由なく不当に拘束され、消息が途絶える。2009年12月「国家分裂扇動罪」で懲役6年の判決を受け、労働改造所へ(※)。彼が撮影した映像は、映画『恐怖を乗り越えて』としてまとめられ北京にて秘密裏に上映された。映像には五輪に対する声だけでなく、強制移住や中国政府による資源収奪の実態、教育・文化面での抑圧などを訴えるチベット人たちの声が収録されていた。アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチなど世界中の人権団体によって彼の釈放運動が広がり、2012年には獄中にいながらにして「国際報道自由賞」が贈られた。2014年6月、刑期を終え釈放されたものの、中国当局の監視が続き自宅軟禁状態となる。2017年12月、亡命に成功し、米国で難民として生活する家族と10年ぶりに再会。現在は、米国で難民生活を送る。チベットの現状や元政治犯の窮状を訴えるため、米国やヨーロッパで講演を続けている。
※ 労働改造所=過酷な強制労働を通じて思想教育を行うための施設
著者プロフィール
小川真利枝
おがわ・まりえ●ドキュメンタリー作家。1983年フィリピン生まれ。千葉県で育つ。早稲田大学教育学部卒業。2007年テレビ番組制作会社に入社、2009年に退社し、フリーのディレクターに。ラジオドキュメンタリー『原爆の惨禍を生き抜いて』(2017)(文化庁芸術祭出品、放送文化基金賞奨励賞)、ドキュメンタリー映画『ソナム』(2014)、『ラモツォの亡命ノート』(2017)などを制作。 本作が初めての著作。
【お問い合わせ先】集英社クリエイティブ 03(3239)3811
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