株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:此本 臣吾、以下「NRI」)は、これからのビジネスや社会に広く普及し、さまざまな影響を及ぼすと考えられる情報通信関連の重要技術が、2021年までにどのように進展し実用化されるかを予測した「ITロードマップ*1」をとりまとめました。


今回、重要技術として取り上げたのは、「人工知能(AI)」、「チャットボット*2」、「VR(仮想現実)・AR(拡張現実)」、「ペイメント2.0」、「APIエコノミー2.0」、「FinTech」、「デジタルマネーマネジメント」、「デジタル・ロジスティクス」、「プログラマティック・マーケティング」の9つです。また、年々重要度が高まっているセキュリティ技術の中から、「マルウェア対策」、「DevSecOps」の2つを取り上げ、その動向についても解説しています。

以下では、それらの中でも大幅な進展が期待されている「チャットボット」について、数年先までの動向をまとめます。

なお、他の情報技術に関するITロードマップに関しては、東洋経済新報社より3月9日に発売される単行本『ITロードマップ2017年版~ビジネス・経済・社会のしくみを変える技術トレンドを徹底予測~』に掲載される予定です。

■ビジネスシーンにおいて進化したチャットボットの活用ニーズが拡大

 2016年には、Facebookから「Facebook Messenger Platform」、LINEから「Messaging API」など、立て続けにチャットボットを用いたサービスが発表され、大きな話題となりました。さらに、3度目のブームを迎えている最新の人工知能技術を取り込み、自然な会話が可能になりつつあることから、チャットボットを顧客からの問い合わせ対応や商品提案など顧客との接点で活用したいという企業ニーズが増加しています。

【今後5年間のチャットボット関連技術のロードマップ】
■2016~2018年度:チャットボットのためのフレームワークやサービス、APIが登場

2016年には、LINEやFacebookなどのチャットプラットフォームが、チャットボット向けAPIを公開しました。今後は、チャットボットを利用して、商品販売を行う際に必要な決済サービスなどが、チャットプラットフォームからAPIとして提供され始めます。

チャットボットを新たな顧客接点として有望視する先進企業は、チャットボットを用いた様々なサービスを開始します。顧客からの問い合わせ対応など、質問内容が事前に想定できる用途では、成功事例が数多く生まれると予想されます。一方で、個人の趣味嗜好に合わせた商品提案を行うような用途でのチャットボットの活用は難しく、うまくいかないケースが増えた場合、チャットボットに対してネガティブな意見が広がる可能性もあります。


■2019~2020年度:関連サービスが多数登場、チャットプラットフォームとの融合が進む

 チャットプラットフォームでは、個人の属性情報なども利用できるようになり、チャットボットを用いたサービスは一層発展します。顧客との会話内容の理解度向上のために、位置情報や時間などのコンテキストを活用したソリューションも拡大します。

また、複数のチャットプラットフォームに対応した「乗り入れ」が一般化し、チャットボットサービスはますます増加すると予想されます。同時に、チャットボット間の連携によるサービスの高度化が検討され始め、Facebookなどのチャットプラットフォーム提供企業が中心となり、チャットボット間のAPIの標準化も検討され始めます。

■2021年度以降:チャットボット同士が連携し、「パーソナルエージェント」へと進化

チャットボット間のAPIも標準化され、身のまわりのデバイスから、日常生活の中で利用する公共手続きまで、あらゆるサービスでチャットボットが広く利用されるようになります。人が目的に合わせてチャットボットを切り替えるのではなく、チャットボット同士が自発的に連携する「マルチボット化」が進み、ユーザーが個別のチャットボットを意識しなくてもすむようになり、ますます便利になります。将来的には、個人専用のチャットボットが生まれ、日常生活から仕事までをトータルでサポートする「パーソナルエージェント」へと進化していくと予想されます。


*1 ITロードマップ:

特定のIT領域について、現在から5年程度先までの技術の進化や動向をNRIが予測したもの。

*2 チャットボット:

対話形式のインターフェースにより、人間の代わりにコミュニケーションを自動で行ってくれるコンピュータプログラム
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情報提供元: Dream News