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中国のトップパネルメーカーであるBOE、チャイナスター、HKCディスプレイは、世界のディスプレイ生産能力の60%(面積ベース)を占めており、5月には月平均の工場稼働率が6~9パーセントポイント低下すると予測されています。オムディアの最新レポート「ディスプレイの生産と在庫トラッカー – 2025年4月」によると、この低下は中国の労働者の日(メーデー)前後の工場休業期間の延長も影響しています。
セットメーカーは通常、年後半に年末需要に備えてパネル調達量を増やすため、パネルメーカーの第2・四半期の工場稼働率が第1・四半期よりも低くなるのは異例のことです。2023年と2024年には、パネルメーカーの第2・四半期の四半期ベースの稼働率は、それぞれ第1・四半期比で12ポイントと7ポイント上昇しました。
2024年には、中国のパネルメーカーが旧正月前後の休暇を延長することで液晶テレビ用パネルの生産を抑制し、パネル価格の下落を防ぎました。しかし、2025年はこの戦略は採用されませんでした。代わりに、中国政府の「新旧交換」補助金制度を背景に、中国のテレビメーカーは液晶テレビ用パネルの需要を増加させ、市場シェアの拡大を図りました。
さらに、2025年3月には、メキシコ製品に対する米国の輸入関税が一時的に停止されたことを受け、メキシコに工場を持つTVメーカーからのLCD テレビパネル注文が急増し、2025年第1四半期の工場稼働率を押し上げる要因となりました。
オムディアの主席アナリスト、アレックス・カンは、次のように分析しています:「2025年後半の最終市場の需要を取り巻く不確実性により、パネルメーカーは2025年第2・四半期のパネル生産量に対してより保守的なアプローチを採用することになりました。中国政府の補助金プログラムの影響は今年後半には減少することが予想されており、関税を取り巻く状況により、セットメーカーは米国市場で年末の販促活動を積極的に展開する可能性は低いとみています」
さらに「パネルメーカーはパネル価格の維持を優先しており、2025年後半も在庫レベルを慎重に考慮しつつ『受注生産』戦略を維持すると予想しています。その結果、パネルメーカーの2025年後半の稼働率は大幅に上昇しないとみています」と述べています。
オムディアについて
オムディアは、インフォーマ・テックターゲット(Nasdaq: TTGT)の一部門で、テクノロジー分野に特化した調査・アドバイザリーを手掛けています。オムディアは、テクノロジー市場に関する深い知見と実益につながるインサイトを提供することで、企業の的確な成長戦略における意思決定を支援しています。
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