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同社は今後、時価総額の約70%以上に相当する不動産事業の実質的な売却を予定しており、その売却資金の再配分を決定する重要な意思決定に直面しています。これらの意思決定において、深刻な資本規律の欠如を解消することは不可欠です
東京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --3D OPPORTUNITY MASTER FUNDの資産運用会社である3D Investment Partners Pte. Ltd.(以下、3D Investment Partners Pte. Ltd.及び3D OPPORTUNITY MASTER FUNDのいずれか又は両社を総称して「当社」)は サッポロホールディングス株式会社(2501.T、以下「サッポロ」又は「同社」)の大株主の一社です。本日、当社はサッポロの取締役会に対し、企業価値を長年損なってきた資本規律の不備について、改めて懸念を表明する公開書簡(以下「本公開書簡」)を送付しました。
本公開書簡には、2025年3月開催予定のサッポロの第101回定時株主総会(以下「本株主総会」)に先立ち、各議案の議決権行使において、株主が十分な情報をもとに意思決定できるよう、取締役会及び監査等委員会が事前に回答すべきと考える質問のリストも含まれております。
サッポロの資本規律の欠如への懸念
当社が抱く、サッポロの資本規律の欠如への懸念は、以下の点に基づいております。
当社は過去3年間にわたりサッポロの取締役会及び経営陣と建設的な対話を続け、これらの問題に関する見解を共有し、解決に向けた提言を行ってきました。具体的には、事業ポートフォリオの見直しによる投資原資の最大化や、酒類事業の利益率改善を求めてきました。そして、資本規律の強化と、長期的な企業価値の成長に不可欠な高いROICの達成を目的とした再投資戦略の確立を提案してきました。
直近では、2025年2月6日付の書簡(以下「2月6日付書簡」)において、サッポロが2025年1月30日に発表したStone Brewing(以下「Stone社」)ののれんに対する139億円の減損損失の計上に対し、強い失望と懸念を表明しました。サッポロは、2022年にStone社を約251億円で買収1しており、この減損は、2024年度の純利益が前年比で約12%減少した主要な要因となっています。
繰り返される資本配分の失敗と不可逆的な企業価値の毀損
残念ながら、Stone社の減損は、サッポロが買収によって株主資本を毀損した最初の事例ではありません。実際、同社は、Sleeman Breweries、サッポロベトナム、Anchor Brewing(以下「Anchor社」)、及びStone社を含む海外酒類事業のすべての買収案件において減損損失を計上しております。これらの買収による累計減損損失は約380億円にのぼり、その中でもAnchor社に関しては、2023年の事業解散の決定に伴い119億円全額の損失を計上しました。当社の経験に基づけば、酒類業界において、これほど一貫して買収の失敗が続くケースは前例がありません。これは、取締役会全体が真剣に反省すべき極めて重大な問題であると考えます。
サッポロにおける資本配分の失敗の歴史は、極めて重要かつ喫緊の課題です。サッポロが公表した資料によれば、現在、同社は不動産事業の実質的な売却を計画しており、その売却価額は、少なくとも同社の時価総額の約70%以上に相当する見込み2です。サッポロの取締役会は、この資金の再投資先としてさまざまな戦略を検討するとしていますが、その中で大規模M&Aを含む酒類事業での成長投資に相当部分を配分する意向を強く示しています。
当社は、不動産価値の実現に向けた取締役会の取り組みを評価する一方で、資本規律の欠如が解消されないままでは、過去の資本配分の失敗が繰り返される可能性が高いことを強く懸念しております。
質問に対する公開回答の要求
当社は、サッポロの現取締役会、特に監査等委員である取締役が、サッポロの不動産資産の売却価格を最大化し、売却資金を適切に再投資するために必要な専門知識と資本規律を欠いていると考えています。このまま資本配分の失敗が繰り返されれば、その規模の大きさから、企業価値の不可逆的な毀損につながることになります。
そのため、当社は2月6日付書簡において、資本規律の欠如などの問題の根本的な原因についてさらなる説明を求めました。当社の目的は、日本版スチュワードシップ・コードの趣旨に則り、取締役会と非公開の対話を通じて問題の把握及び改善を図ることでした。
しかしながら、取締役会は当社の2月6日付書簡について、本日時点においても実質的な回答を行っていません。このため、当社は改めてフォローアップのため本公開書簡を送付し、取締役会に対して以前提起した質問を再度問うことといたしました。
取締役会は自己を省みるとともに、すべての株主の利益のために、当社からの質問に対して公式な回答を行うべきです。また、資本規律の欠如に対処するために実施予定の是正措置についても明確に説明する必要があります。サッポロの株主には、本株主総会に先立ち、これらの質問に対する明確な回答を受ける正当な利益があります。株主が十分な情報をもとに意思決定を行い、必要であれば取締役会の監督責任と資本規律の欠如に対して責任を問えるようにするためです。
また、コーポレートガバナンス・コード基本原則5において、上場会社の経営陣幹部・取締役(社外取締役を含む)は「株主の声に耳を傾け、その関心・懸念に正当な関心を払うとともに、自らの経営方針を株主に分かりやすい形で明確に説明しその理解を得る努力を行い、株主を含むステークホルダーの立場に関するバランスのとれた理解と、そうした理解を踏まえた適切な対応に努めるべきである」とされていることにも沿うものです。
以下に、本公開書簡の全文並びに取締役会及び監査等委員会に対する質問を記載します。
2025年2月18日
〒150-8522
東京都渋谷区恵比寿4-20-1
サッポロホールディングス株式会社
取締役会 御中
(写し:常務グループ執行役員 時松 浩様)
1 Temasek Avenue
#20-02A Millenia Tower, Singapore
3D Investment Partners Pte. Ltd.
拝啓
当社は、貴社のStone Brewing(以下「Stone社」)の買収失敗の根本原因および資本規律の欠如に対する当社の質問に対し、取締役会が迅速かつ実質的な回答を行っていないことに対する不満と懸念を表明するために、本書簡を送付いたします。
これまで繰り返し指摘してきましたとおり、海外酒類事業におけるすべての買収案件で減損が生じていることは異常であり、このことは、貴社の資本規律の欠如を明確に示しております。現時点で過去の買収失敗の根本原因を特定し、適切な監督体制を確立し、厳格な資本規律を整備しなければ、今後の意思決定において資本配分の失敗が繰り返され、不可逆的かつ深刻な企業価値の毀損が生じることを、当社は強く懸念しております。
当社は、貴社の企業価値の向上を誰よりも願う大株主の一社として、また他の少数株主と利益を共通にする者として彼らの代弁者となり、貴社の取締役会が資本規律の欠如という重要な問題に適切に対応しているかを確認する責任があります。
そのため、当社は、2025年2月6日に書簡(以下「2月6日付書簡」)を送付し、Stone社への投資の失敗に関連する貴社の資本規律の欠如に関する質問状を送付しました。しかし、取締役会は回答を徒に延期し、実質的に回答を拒絶しました。また、2025年2月14日付けで当社が送付した書簡(以下「2月14日付書簡」)に記載の要望事項についても実質的に応じることはありませんでした。そして、2025年2月17日に「株主提案に対する当社取締役会の意見に関するお知らせ」を急遽公表し、2025年3月開催予定の貴社の第101回定時株主総会(以下「本株主総会」)での当社の株主提案に反対意見を表明しました。
今後、貴社が、時価総額の約70%以上に相当する不動産事業の実質的な売却と、その売却資金の再投資に関する意思決定を控えていることを鑑みれば、厳格な資本規律を確立し、適切な資本配分方針を策定できる体制を作り上げることの重要性は飛躍的に高まっております。しかし、当社は、現在の貴社の取締役会、特に監査等委員である取締役が、数千億円規模の不動産売却を最大価格で実現し、その資金を適切に再投資するための専門知識と資本規律を決定的に欠いていると考えており、多くの株主も同様の懸念を抱いていると考えております。
そのため、当社は本日、当社の懸念を公にし、貴社取締役会に対する質問を他の株主と共有することを決定いたしました。すべての株主は、本株主総会に先立ち、これらの質問に対する明確な回答を受ける正当な利益があります。株主が十分な情報をもとに意思決定を行い、必要であれば取締役会の監督責任と資本規律の欠如に対して責任を問えるようにするためです。
したがって、取締役会に対し、添付の質問状に対する公開回答を2025年2月28日までに実施いただくことを要求いたします。
引き続き、これらの重要な問題についての対話を継続できることを期待しております。
敬具
質問状
サッポロ取締役会へのご質問
サッポロ監査等委員会へのご質問
以上
3D Investment Partners Pte. Ltd. について
当社は、2015年に設立された、シンガポールを拠点に日本特化型のバリュー投資を行う独立系資産運用会社です。複利的な資本成長を通じた中長期的な価値創造を投資哲学とし、長期的なリターンの達成という共通の目的を共有する経営者とのパートナーシップを重視しております。
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1 サッポロ「第99期有価証券報告書」
2 2025年2月17日時点のサッポロ時価総額は約5,555億円であるところ、同社の不動産事業全体の価値は約4000億円といわれている(2024年12月20日付け日本経済新聞「サッポロHDの4000億円不動産活用、三井不やKKR名乗り」)。
3 貴社は、第99期有価証券報告書においてStone社の株式100%の買収価額を約USD180mnと開示し、2022年6月24日「Stone Brewing Co.,LLC の持分取得(子会社化)に関するお知らせ」において、Stone社の2021年12月期末時点の連結純資産をUSD53mnと開示していることから、買収時点の株価純資産倍率は、概ね3.4xと試算。
株式会社KRIK(広報代理)
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