東京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --カナメ・キャピタル・エルピー(以下「弊社」)は、本日、東京地方裁判所において、弊社の投資先であるフクダ電子株式会社(6960 T)(以下「フクダ電子」)の取締役らに対する株主代表訴訟を提起したことをお知らせいたします。




フクダ電子の創業家二代目である福田孝太郎会長(以下「福田会長」)は、40年間近くにわたって代表取締役の地位にあり、会社を私物化して自らの利益を確保してきました。その一方で、フクダ電子の従業員や少数株主など、他のステークホルダーの利益はないがしろにされています。


これまでに、弊社は株主としての懸念をフクダ電子の担当者に対して伝え、これを福田会長本人や福田会長を監督すべき立場にある社外取締役に伝えるべく面談の要請も繰り返し行ってきました。しかし、フクダ電子は、弊社の指摘に正面から答えることなく、これらの方々との面談にも一切応じていただけませんでした。そのため、弊社は、福田会長らに対しフクダ電子に与えた損害約540億円を賠償することを求める株主代表訴訟を提起するに至りました。


本訴訟において弊社が主張する福田会長らによる違法行為は次の3点です。


1. 恣意的な高額報酬支払



  • 福田会長は取締役報酬の決定権限を握り続けており、自身を含む各取締役の個別報酬額を単独の判断で決定しています。


  • 2015年3月期に1億3600万円であった福田会長の報酬総額は、2023年3月期には4億3400万円となり、約3倍にまで増加しました。


  • 福田会長の報酬の増加が始まったのは、後述する創業家所有企業を通じた利益移転がなくなった時期と一致しており、福田会長は役員報酬を増加させることにより自己の手取り額を補てんしようとしたのではないかとも疑われます。


  • 現在の福田会長の報酬額は、同業他社と比較しても際立って高額であり、この間の業績の向上によって正当化できる水準ではありません。


  • その一方で、従業員の給与は、業績向上にもかかわらずコロナ禍に至るまでほぼ横ばいであり、直近の物価高に伴ってようやく年間4%から5%の賃上げが行われた程度です。


  • フクダ電子においては、取締役報酬額に関する客観的な基準も定められておらず、弊社は、福田会長による恣意的な報酬決定は会社法に反して違法であると考えています。


2. 創業家所有企業を通じた不正な利益移転



  • フクダ電子は、1964年ころから、創業家が所有するアトミック産業株式会社(以下「アトミック産業」)との間で、心電計などに利用する記録紙等の供給を受ける取引を続けてきました。


  • この記録紙等の売買は利益相反取引に該当するにもかかわらず、フクダ電子は会社法上必要な取締役会による承認を一切していませんでした。


  • アトミック産業は、軽装備・少人数で運営されていたにもかかわらず、毎年5億円前後の営業利益(営業利益率30%前後)を上げていました。


  • フクダ電子は、高いマージンでアトミック産業から記録紙等を買い取ることにより、実質的に創業家に利益を移転していたと考えられます。


  • フクダ電子の取締役会は、2015年5月に、アトミック産業を完全子会社化し、その対価として当時の時価で総額約265億円に相当するフクダ電子株式を創業家に交付することを決定しました。


  • 弊社は、これらの取引は、フクダ電子の資産を不正に創業家に移転する違法なものであると考えています。


3. 社会貢献活動を口実とした創業家財団への株式割当て



  • フクダ電子は、公益財団法人福田記念医療技術振興財団(以下「本財団」)の社会貢献活動を支援するためとして、2016年5月に、当時の時価で約9億円のフクダ電子株式を信託銀行を通じて実質無償で本財団に割り当てました。


  • その際、フクダ電子は、信託銀行が割り当てられた株式について議決権行使をすることはないと説明していました。


  • しかし、2020年ころに信託契約が終了して本財団が株式を自己名義で所有するようになり、本財団は、会社提案に全面的に賛成、株主提案に全面的に反対する議決権行使を毎年行っています。


  • 弊社は、この株式割当ては、実際にはフクダ電子の安定株主を増やす目的で行われたものであり、会社法の禁止する利益供与に該当すると考えています。


本訴訟で弊社が勝訴した場合、裁判所の認める損害賠償金はフクダ電子に対して支払われることになります。弊社は、不当に流出した利益がフクダ電子に返還されることで、フクダ電子が従業員の待遇改善やその他の企業価値向上策に資金を向けられることを望んでいます。弊社は、本訴訟によって福田会長らによる不正行為を是正し、従業員や少数株主などのステークホルダーを守ることが、投資家としての我々の責務であると考えています。


弊社の最高投資責任者であるトビー・ローズのコメントは次のとおりです。


「フクダ電子は日本の医療現場を支えるとても重要な会社です。近年、コロナ禍を経て、社員の努力によって業績は向上しています。しかし、残念ながら、福田会長による会社の私物化が、会社の価値を棄損しています。私たちは、フクダ電子が、社員の努力を市場の信頼に変える、そういうガバナンスを導入してほしいと心から願っています。」


弊社は、フクダ電子のガバナンスを改善するために、関係するステークホルダーが協力して声を上げること期待しています。ご意見等のある方は、contact@kanamecapital.comまでご連絡を歓迎いたします。


カナメ・キャピタルについて


カナメ・キャピタルは、米国ボストンを拠点として日本の上場株式への長期的な投資を専門に手掛ける投資運用会社です。カナメ・キャピタルは、「不言実行」をスローガンに掲げ、企業が単なる説明に終始するのではなく、企業価値向上策を着実に実行することを求めています。カナメ・キャピタルは、投資先との対話を通じて潜在的な企業価値の実現を促すことを目指しており、投資先との対立を望むものではありません。カナメ・キャピタルは、金融庁の策定する「責任ある機関投資家の諸原則」(日本版スチュワードシップ・コード)の受入れも表明し、この原則に従って投資活動をしています。


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情報提供元: ビジネスワイヤ
記事名:「 カナメ・キャピタル、フクダ電子の取締役らに対する株主代表訴訟の提起