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タナー・ファーマを創設したバンクス・ボーン最高経営責任者(CEO)は、次のように述べています。「タナーは、ウクライナで進行中の戦争に対応するため、緊急時に迅速に配備できるリューカインの現地在庫を増やすことで、欧州における準備と対応を支援します。リューカインは独自の効能を持ち、放射線被ばく後96時間以内に投与した場合、全血輸血なしで生存率を改善することが示されており、核爆発が起こった場合、物流上の重要な利点を持つため、非常に有効な対策となります。欧州への配備量を増やすことで、必要に応じてより多くのリューカインを迅速・確実に供給できます。」
リューカインは、急性放射線症候群の造血機能への影響に対する治療薬としてFDAの承認を受けている免疫系調節薬で、米国政府は2013年から医療対策として使用するために保有しています。リューカインは、国際原子力機関(IAEA)の「2020年放射線傷害の医学的管理」でも造血性急性放射線症候群(H-ARS)の治療薬として推奨されており(1)、1986年のチェルノブイリ原子力発電所の被災者の一部を治療するために使用されて成功を収めています(2)。リューカインはARS以外にも、欧州医薬品庁(EMEA)ヒト用医薬品委員会(CPMP)の「化学剤によるテロ攻撃にさらされた患者を治療するための医薬品の使用に関するガイダンス文書」で、硫黄マスタード(HD)ガスへのばく露に対する治療薬として推奨されています(3)。硫黄マスタードへのばく露に対処するための使用法が開発中ですが、FDAの承認は取得していません。
高線量の放射線は、身体の免疫系に多大なダメージを与えます。単球、マクロファージ、血小板、好中球、樹状細胞、赤血球を含む細胞がダメージを受け、要するに汎血球減少症を発症します。リューカインは、これらの細胞種を刺激し、汎血球減少症からの回復を促進することが示されています。リューカインの幅広い作用により、輸血を必要とせずにARSからの生存率を高めることが可能になります。このことは、放射線・原子力事象の後、血液製品製剤は量が限られるか入手できなくなると予想されるため、極めて重要な利点となります。またリューカインは、ARSの対策として唯一、被ばくから24時間以上経過した後に投与しても有効であることが確認されています。実際、被ばくから最長96時間後の投与で有効であることが研究で示されています(4,5)。放射線・原子力事象の直後では、48~96時間の治療可能時間域は絶対的に重要です(6,7)。物資と医療専門家を対応と治療に利用できるようにするための物流上の課題があることは、どのような規模であれ、薬剤を投与できるようになるまで2日間かかることを意味します。またリューカインは室温で12カ月間安定であるため、危機下で冷蔵サプライチェーンの必要性を排除することができます。
以下は、パートナー・セラピューティクスが提供する急性放射線症候群(ARS)および硫黄マスタード(HD)ガス被ばくに対するリューカインの使用法の概要です。
急性放射線症候群(ARS)におけるリューカインについて
リューカインは、骨髄抑制をもたらす線量の放射線に被ばくした患者(急性放射線症候群の造血器亜症候群、H-ARS)の生存率向上を目的にFDA承認を取得しています。米国生物医学先端研究開発機構(BARDA)が資金提供した複数のGLP NHP試験のデータから、リューカインは白血球および網状赤血球の回復を促進することに加え、血小板産生を刺激して血小板数を著しく増加させることで生存率を向上させ、放射線被ばくによる造血障害の3大要素(まとめて汎血球減少症)すべてに対応することが証明されています。NHP試験では、リューカインが放射線被ばく後96時間までに投与した場合、生存率を向上させ、骨髄抑制(血小板減少症を含む)からの回復を促進することが示されています(4,5,8)。リューカインは、H-ARSの治療薬としてのEMA承認を取得していません。
リューカインは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の酵母由来組み換え製剤です。GM-CSFは、巨核球・赤血球前駆細胞の生成を促進し、顆粒球系およびマクロファージ系の経路で前駆細胞の分裂・分化を誘導する多面的小タンパク質です。リューカインは、顆粒球、マクロファージ、血小板、樹状細胞、赤血球の各系統の細胞を含め、造血前駆細胞の骨髄細胞系統の生成・成熟・分化を誘導します。また、成熟した顆粒球や単球を活性化し、その貪食性や溶解性を増大させます。リューカインは、好中球に対する既知の効果に加え、血小板、単球、マクロファージ、樹状細胞に影響を与えることが幾つかの疾患状態で示されており、H-ARSでの使用が支持されています。
ARSにおけるリューカインのFDAラベルには、「骨髄抑制をもたらす線量の放射線に急性被ばくした出生時(0歳)から17歳までの成人および小児患者(急性放射線症候群の造血器亜症候群[H-ARS])の生存率を高める」と書かれています。リューカイン(Leukine®)注射剤、リューカインの処方情報については、www.leukine.com/piをご覧ください。
硫黄マスタード(HD)ガスばく露におけるリューカインについて
リューカインは、HDガスばく露に対する治療薬としての承認をFDAやEMAから取得していません。リューカインは、EMEA/CPMPの「化学剤によるテロ攻撃にさらされた患者を治療するための医薬品の使用に関するガイダンス文書」で、HDガスへのばく露に対する治療薬として推奨されています。
HDへのばく露は骨髄機能を抑制し、骨髄抑制と汎血球減少症を引き起こします。第一次世界大戦および第二次世界大戦、イラン・イラク戦争でばく露し、入院を必要とした患者では白血球減少が報告されており、白血球数が200/µl未満になったすべての症例で死亡が報告されています(6)。HDにばく露したすべての人々における死亡率は2.5%未満と報告されており、入院の主因は血液学的障害、死亡の主因は重度血液学的障害となっています(10)。
リューカインは、造血細胞移植につながる集中化学療法や高線量急性全身放射線照射の後を含むさまざまな状況下で、骨髄不全患者における骨髄機能回復および汎血球減少症からの回復を促進し、感染症による死亡を減少させます(4,5,8)。化学療法および治療用放射線照射後にリューカインの投与を受けた患者における臨床経験と、リューカインの承認およびこれらの適応症における使用を支持するGLP NHP ARS試験のデータはいずれも、リューカインが骨髄抑制と汎血球減少症からの回復を促進し、感染症と敗血症の発生率を低減し、HDばく露後も同様の利点をもたらす可能性があることを示しています(4-5,9-11)。
タナーは、リューカインを国際市場で利用できるようにするために、規制に準拠した手段を提供します。本プログラムの詳細情報およびリューカインへのアクセス要請については、leukine@tannerpharma.comまで電子メールをお送りください。
タナー・ファーマ・グループについて
タナー・ファーマ・グループはバイオ製薬企業と提携して、世界中で医薬品への患者アクセスを高めるためのターンキー式ソリューションを提供しています。130カ国以上で事業を展開するタナーは、バイオ製薬企業が傾注する中核市場の外でこれら企業に適合させたソリューションを提供しています。詳細情報については www.tannerpharma.comをご覧ください。
パートナー・セラピューティクスの詳細情報についてはhttps://www.partnertx.com/をご覧ください。
(1) Medical management of radiation injuries, Vienna, International Atomic Energy Agency, 2020;Safety Reports Series no. 101. (「放射線傷害の医学的管理」、国際原子力機関)
(2) Dainiak N, Medical management of acute radiation syndrome and associated infections in a high-casualty incident, Journal of Radiation Research, Vol. 59, No. S2, 2018, p. ii54-ii64. Doi:10.1093/jrr/rry004
(3) EMEA/CPMP Guidance Document on the Use of Medicinal Products for the Treatment of Patients Exposed to Terrorist Attacks with Chemical Agents;The European Agency for the Evaluation of Medicinal Products Pre-authorisation Evaluation of Medicines for Human Use, London, 25 April 2003;EMEA/CPMP/1255/03 (EMEA/CPMP「化学薬剤によるテロ攻撃にさらされた患者を治療するための医薬品の使用に関するガイダンス文書」、欧州医薬品審査庁「ヒト用医薬品の承認前評価」)
(4) Clayton N, et al. (2021): Sargramostim (rhu GM-CSF) Improves Survival of Non-Human Primates with Severe Bone Marrow Suppression after Acute, High-Dose, Whole-Body Irradiation, Radiation Research 195:191-199. https://doi.org/10.1667/RADE-20-00131.1
(5) Zhong Y, et al. (2020): Efficacy of delayed administration of sargramostim up to 120 hours post exposure in a non-human primate total body irradiation model, Int. J. Radiat. Biol.;https://doi.org/10.1080/09553002.2019.1673499
(6) Yeddanapudi N, et. al., (2018): Informing CONOPS and medical countermeasure deployment strategies after an improvised nuclear device detonation: the importance of delayed treatment efficacy;Int. J. Radiat. Biol.
(7) Pray L, et al., (2019): Exploring Medical and Public Health Preparedness for a Nuclear Incident: Proceedings of a Workshop;National Academies Press. http://doi.org/10.17226/25372
(8) Gale R, Armitage J, (2021): Use of molecularly cloned haematopoietic growth factors in persons exposed to acute high-dose, high-dose rate whole-body ionizing radiations;Blood Reviews 45;https://doi.org/10.1016/j.blre.2020.100690
(9) リューカイン添付文書
(10) Willems, JL, Clinical management of mustard gas casualties, Ann Med Milit Belg 1989;3: S1-61.
(11) Sezigan S, et. al., Myelosuppression and acute hematological complications of sulfur mustard exposure in victims of chemical terrorism, Toxicology Letters 318 (2020) 92-98.
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