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ウェルカム・サンガー研究所は、ヒトの健康と疾患の遺伝学の世界的理解を促進する世界有数のゲノム科学研究拠点の1つです。同研究所の研究プログラムは、がんゲノミクス、単一細胞ヒト遺伝学、集団ヒト遺伝学、種の進化にまで及び、その発見から医薬品開発、新しい治療選択肢、新規生体材料の分野で決定的に重要な洞察結果が引き出されました。
HiCデータは、細胞内ゲノムの3次元フォールディングパターンを取得することで、結果として線形アンフォールディング状態のアセンブリーを容易化するものです。このような線形化ゲノムは、生命体のDNAの土台を示すものであり、種内および種間でゲノムを比較することで遺伝と疾患の関係を解明するために一般的に使用されます。ウェルカム・サンガー研究所は、カバレッジ均一性を向上させながらシーケンスデータを生成するように開発した次世代のArima Genomics製HiCキットを使用しています。ウェルカム・サンガー研究所のDNAパイプラインR&D担当主任科学マネジャーであるMichael Quail氏は、「高カバレッジHiCデータは、より均一に分散されたショットガンの読み取りと、関連するロングレンジリンケージを実現し、コンティグの足場を支えてアセンブリーの隣接性を改善します。新しいArima製キットを使用している理由は、多様な脊椎動物や無脊椎動物の種々の組織を対象に安定性を発揮できると分ったからです。多様な試料に対応するキットの安定性はダーウィン生命の木プロジェクトにとって必須条件となります」と述べています。
早期採用のお客さまからの意見とデータは、低注入量の機能と種々の試料保管条件を最適化する上で役立ちました。ロックフェラー大学脊椎動物ゲノム研究所のオリビエ・フェドリゴ所長は、「この高カバレッジHiCキットは、2μLほどと少ないキンカチョウ血液の試料で高いシグナル/ノイズ比のライブラリーを生成しました。さらに、実際の試料採取と試料保管の条件を模して、エタノールチューブに血液を採取し、室温で1週間にわたり保存しました。このように過酷な条件で試料が分解する可能性が予想されるにもかかわらず、Arima製キットは高い質のデータを生成しました。野外条件への適応性は、脊椎動物ゲノムプロジェクト(VGP)、ダーウィン生命の木プロジェクト、より大規模な地球バイオゲノム計画(EBP)にとって重要な特性です」と述べています。
ゲノムアセンブリープロジェクトの生産規模が大きくなるというコミュニティーの見込みに応えて、Arimaは学術分野の提携先と連携して、自動化の相互適合性を検証し、ワークフロースピードを最適化することで、お客さまにとっての品質・効率・利便性を確保しています。カリフォルニア大学デービス校の特別教授でEBP議長のハリス・ルーウィン教授は、「ヒトゲノムの最初のドラフトアセンブリーが発表されてから20年近く経って後、私たちはついに10億塩基のゲノムサイズ当たり5000ドル未満と利用しやすいコストでゲノムアセンブリーを生成できるところにきました。これは20年前の10億塩基当たり10億ドルからほぼ100万分の1となります。業界パートナーによる技術的進歩のおかげで、読み取りカバレッジの均一性が向上したことなどの理由により、非常に精密な解像度で、しかも数日と迅速にアセンブリーを解明できるようになりました。これによりEBP発足のための転換点が生まれたのです。EBPの狙いは、10年の期間をかけて、既に知られている150万種という地球の多様な真核生物のDNAをアセンブリーングすることにあります」と述べています。
HiCは、ゲノムの線形アンフォールディング状態を教えてくれるだけでなく、がんゲノムの折り畳みミスについての情報も伝えてくれます。特に、がんはゲノム異常を主たる原因とする疾患です。そうした異常は、HiCでとらえた場合のように、本来の3次元構造状態からのずれをゲノムについて観察すると、より正確に確認できます。ダナ・ファーバーがん研究所とハーバード大学医学大学院のK99フェローであるShilpa Garg氏は、「確かに、HiCによるフォールディング情報は、構造的に正確ながんゲノムをアセンブリーングするための新しいアルゴリズムの開発において、重要な要素であることが証明されました。より広い観点からは、構造的に正確ながんゲノムは、治療薬に影響を与えるクローン構造と腫瘍異常の進化という複雑な問題を解析する上で役立ちます」と述べています。
最新のArima製高カバレッジキットを市場投入する計画の一環として、Arima Genomicsは早期アクセスプログラムを本日発表しました。Arima Genomicsの科学担当シニアバイスプレジデントであるアンソニー・シュミットは、「当社はこのプログラムを通じ、コミュニティーと提携して、広範な試料タイプと注入量を対象に、がんの進化、T2Tゲノムフィニッシング、汎ゲノム解析、種の進化まで、ゲノム科学の複数の分野でゲノム構造情報の有用性をさらに検証することを目指しています。ゲノムの構造情報はゲノム分野における次世代の発見を形作る上でシーケンスと同様に基礎的なものだと考えており、関連製品の発売、構造アプリケーションの拡大、当社のプログラム向けに今年既に実施したシリーズAで確実に調達した資金を通じ、この未来に向けた取り組みに参画できることに感激しています」と述べています。
Arima Genomicsについて
Arima Genomics, Inc. は、ゲノムの配列と構造、その健康・疾患・種の進化における役割についての理解を深めることを目指したバイオテクノロジー企業です。詳細情報についてはhttp://www.arimagenomics.comをご覧ください。
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Siddarth Selvaraj
CEO, Arima Genomics
sid@arimagenomics.com