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− 初期段階の概念実証試験は、ナルコレプシー1型患者におけるTAK-925の良好な忍容性とプラセボと比較しての覚醒延長を示す
− 断眠した健康な成人を対象とする2つ目の第1相試験は、TAK-925の良好な忍容性とプラセボと比較しての夜間の覚醒延長を示す
− 経口OX2R選択的作動薬のTAK-994は、ナルコレプシーのマウスモデルでナルコレプシー症状を軽減し、第1相試験が進行中
米マサチューセッツ州ケンブリッジ & 大阪--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)(以下、武田薬品)は、ナルコレプシー1型(NT1)患者で新規治験用化合物TAK-925を検討した第1相概念実証臨床試験の結果を発表しました。TAK-925は、オレキシン2受容体(OX2R)選択的作動薬です。また当社は、断眠した健康成人におけるTAK-925の効果に関するデータも発表しました。これらの研究は、9時間単回静脈内投与時のTAK-925の安全性、忍容性、薬物動態、薬力学的効果を評価したものです。両試験でTAK-925は、試験対象となったいずれの投与量でも良好な忍容性を示しました。これらの試験結果は、カナダのバンクーバーで開催された2019年世界睡眠学会隔年大会で初めて発表されました。
東京都医学総合研究所の睡眠プロジェクトリーダーである本多真医師*は、次のように述べています。「ナルコレプシー1型は、日中の過度の眠気や、カタプレキシーとして知られる覚醒時の突然の筋緊張消失を伴う重篤疾患です。NT1は脳内でオレキシン産生ニューロンが失われることが原因で発症すますが、NT1患者には治療法改善に対する大きなニーズがあります。今回の試験結果は、OX2R選択的作動薬の使用が、NT1における日中の過度の眠気に対する有効なアプローチある可能性を示しています。」
NT1患者でTAK-925は、プラセボとの比較で覚醒延長を示しました。合計14人のNT1患者を、3つの連続用量コホートに組み入れ、探索的な薬力学的エンドポイントに対するTAK-925の効果を評価しました。各コホートで、評価はランダム化二重盲検プラセボ対照2群2期クロスオーバー法にて実施しました。
NT1患者での薬力学的アウトカムには、i)覚醒維持検査(MWT)における入眠潜時(検査時間は40分間で、TAK-925ないしプラセボの9時間投与の間に40分間の検査を2時間のインターバルで4回実施)、 ii)カロリンスカ眠気尺度(投与前と投与中に毎時測定)、を含めました。MWTにおける平均入眠潜時は、プラセボ群(N=13)が2.9分、TAK-925の5mg投与群(N=6)で22.4分、11.2mg投与群(N=4)で37.6分、44.8mg投与群(N=4)で40分でした。カロリンスカ睡眠尺度の結果は、MWTで得られた入眠潜時の結果を裏付けるもので、患者報告によればプラセボとの比較でTAK-925投与中の眠気のスコアが低くなっていました。
断眠した健康成人の場合、TAK-925は夜間の覚醒を有効に維持しました。本試験は、断眠した健康な成人男性20人を対象に、単一施設ランダム化二重盲検プラセボ/実薬対照クロスオーバー試験として実施しました。主要評価項目はMWTにおける入眠潜時としました。MWTにおける平均入眠潜時は、プラセボ群(N=20)が8.6分、TAK-925の44mg投与群(N=18)が25.4分、112mg投与群(N=18)が38.8分でした。カロリンスカ睡眠尺度の結果は全体的に、MWTで得られた結果を反映するものでした。
武田薬品ニューロサイエンス部門のグローバルプログラムリードであるデボラ・ハートマン博士は、次のように述べています。「オレキシンは、睡眠・覚醒状態の主要な調節因子であることが確認されていますが、今回の初期結果はオレキシンが欠乏しているNT1でOX2R作動薬により日中の眠気を軽減できる可能性を示しています。同様に面白いのは、オレキシン濃度が正常であると推定される健康成人における覚醒促進作用も観察されたことです。これら初期試験の結果は当社にとって励みになるもので、NT1に加え、ナルコレプシー2型や突発性過眠症など、日中の過度の眠気を特徴とする他の疾患でOX2Rの選択的作動薬のさらなる臨床的検討を進め、閉塞性睡眠時無呼吸による日中の過度の眠気に対する治療薬としての可能性についても検討していきます。」
また武田薬品は、現在第1相臨床試験の段階にある経口OX2R選択的作動薬TAK-994に関する前臨床データも、世界睡眠学会の2件のポスターセッションで発表しました。TAK-994は、ナルコレプシーのマウスモデル2種で、活動時の覚醒時間の増加を示し、カタプレキシー様エピソードを抑制しました。
武田薬品ニューロサイエンス部門グローバルヘッドであるEmiliangelo Rattiは、次のように述べています。「当社は、NT1やその他の睡眠・覚醒障害の患者がすべて、よりバランスのとれた生活を取り戻すことに貢献したいと切望しています。武田薬品は、広範な適応症を対象にOX2R作動薬の治療薬としての可能性への理解を深めるため、多様なアプローチを積極的に追求しています。当社は引き続き、科学界、医療界、患者コミュニティーと強固な提携関係を築き、斬新な医薬品の研究開発に傾注していきます。」
TAK-925は厚生労働省より先駆け審査指定を受け、また米国食品医薬品局(FDA)より画期的治療薬および希少疾病用医薬品の指定も受けています。
武田薬品は、これらの先駆的な臨床試験に参加いただいたすべての方々に謝意を申し上げたいと思います。武田薬品のオレキシン開発プログラムや、TAK-925およびTAK-994の今後の臨床試験についてはhttp://www.ox2rsparkleprogram.comをご覧ください。
*本多医師は、NT1試験をサポートした医師であり、コンサルタントとして武田薬品と契約を締結しています。
2019年世界睡眠学会隔年大会について
2019年世界睡眠学会は、睡眠研究における今日の医学的/科学的理解の促進に傾注する睡眠専門家が集う世界的フォーラムです。大会は2019年9月20~25日にカナダのバンクーバーで開催されました。睡眠の健康を世界規模で促進すべく76カ国以上から睡眠専門家が約3500人参集し、睡眠医学・研究の分野における最新の世界水準の科学的内容を取り上げました。2019年世界睡眠学会は世界睡眠学会(世界睡眠医学会と世界睡眠学会連合が設立)が計画し、カナダ睡眠学会が主催しました。
ナルコレプシー1型(NT1)について
ナルコレプシーは、睡眠・覚醒サイクルを調節する脳の機能が障害される慢性の神経疾患で、世界中で約300万人、米国で約20万人が患っていると推定されています1。ナルコレプシー1型は、カタプレキシー(情動脱力発作)を伴うナルコレプシーとしても知られ、オレキシン産生ニューロンの欠乏を特徴とし、その結果として日中の過度の眠気と、強い感情によって引き起こされる突然の筋緊張消失であるカタプレキシーの両方を含む多くの症状がもたらされます。
TAK-925およびTAK-994について
TAK-925およびTAK-994は、湘南に所在する武田薬品の研究所で創製された新規の低分子OX2R選択的作動薬です。TAK-925とTAK-994はいずれも第1相臨床試験で検討に付されています。
武田薬品工業株式会社について
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、消化器系疾患、希少疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国および地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細情報についてはhttps://www.takeda.comをご覧ください。
将来に関する見通し情報
本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む当社の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念または見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「保証する(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」「することができた(could)」、「予想されるanticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語または同様の用語若しくはその否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではございません。この書類における将来見通し情報は、現在当社が入手可能な情報に鑑みて行った当社の現在の前提及び理念に基づくものです。かかる将来見通し情報は、当社または当社の役員による、将来の業績に関する保証を表するものではなく、既知及び未知のリスクと不確実性その他の要素を伴います。リスクと不確実性には、日本、米国及び世界中の一般的な経済条件を含む当社の事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、関連法規、製品開発計画の成功または失敗、規制当局による判断とその時期、為替変動、市場で販売された製品または製品の安全性または有効性に関するクレームまたは懸念等、買収対象企業とのPMI(買収後の統合プロセス)が含まれますが、これらに限られません。これらにより、当社の実際の業績、経営結果、財務内容は、将来見通し情報において、明示または暗示された将来の業績、経営結果、財務内容とは、大きく異なる可能性があります。当社の業績、経営結果または財務状況に影響を与え得る事項の詳細に関しては、Form 20-Fによる最新の年次報告書の”第3項重要事項 - D.リスクファクター”および米国証券取引委員会に提出したその他の報告書をご参照ください(https://www.takeda.com/investors/reports/sec-filings/またはwww.sec.govにおいて閲覧可能)。当社または当社の役員は、この将来見通し情報において示された予想が結果的に正しいということを何ら保証するものではなく、実際の業績または経営結果は予想と大きく異なることがあり得ます。本ニュースリリースの受領者は、将来見通し情報に過度に依存するべきではありません。武田薬品は、法律ないし証券取引所規則で要求される場合を除き、本プレゼンテーションに含まれる、または当社が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想または見積もりではありません。
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