第5号議案(当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の廃止の件)及び第6号議案(定款一部変更の件(買収防衛策の導入方法))について
<GMOインターネット取締役会意見>
大規模買付行為を受け入れるか否かは最終的には株主によって判断されるべきである。
ただし、当社の事業特性等を十分に理解している当社取締役の評価・意見等が適切に提供される事が株主共同の利益にとって重要である。
また、特別委員会や社外取締役3名を配している事から、恣意的に対抗措置を発動する事はできない。
<オアシスの反対意見>
GMOインターネットは、大規模買付行為を受け入れるか否かは最終的には株主によって判断されるべきと説明しているにもかかわらず、現在同社が採用する買収防衛策は、その導入に際して株主の意見を確認しておらず、更に、実質的には株主の意見を確認する事なく取締役会の判断で発動する事ができる仕組みです。これは、GMOインターネット取締役会意見における対外的な説明とは大きく実態が乖離しているとオアシスは考えます。
また、GMOインターネットは、株主共同の利益を重視していると説明しているものの、弊社が従前のプレスリリースで指摘した2007年当時の外資系ファンドからの買収提案を熊谷氏が独断で断ったという対応に代表される様に(その他の熊谷氏の公私混同の疑義のある取引については下記の通り)、根本的な問題として、最大株主且つ代表取締役会長兼社長である熊谷氏とその他の株主の利益が相反する場合が存在します。熊谷氏が非常に大きな影響力を及ぼす事ができる同社の現状のガバナンス体制下においては、同社の取締役会において、真に熊谷氏以外の株主の利益に配慮した判断がなされる可能性は極めて低いとオアシスは考えます。
2018年3月5日にGMOインターネットが公開した「2017年12月期連結計算書類の連結注記表・2017年12月期計算書類の個別注記表」によると、2017年12月期において、同社は熊谷氏の資産管理会社である(株)熊谷正寿事務所に対し、業務委託の名目で、「航空機の利用料」として9,100万円を支払っています。これは2017年12月期以前においては発生していない費用項目であり、熊谷氏が自身のブログである「クマガイコム」でも趣味として紹介している、2016年10月5日に購入したアグスタAQ109SP(ヘリコプター、登録番号JA70MKで東京へリポートに定置)に係る費用を計上している疑義が非常に高いとオアシスは考えます。
また、2017年12月期以前には、熊谷氏自身や、熊谷氏が約7割の株式を保有していた(株)ワイン屋さん(数々のメディアで熊谷氏の専属ソムリエをしていると紹介されている山中真氏が代表者を務めており、2015年12月期中にGMOインターネットが連結子会社化)との間で酒類販売の取引を行っています。熊谷氏は前述の「クマガイコム」でもワインを趣味として紹介しており、数々のメディアにおいて実業界随一のワイン通として紹介されています。同社提出の有価証券報告書によると、GMOインターネットは、2014年12月期には(株)ワイン屋さんに対し「業務委託及び酒類購入」の名目で3,500万円、2015年12月期には同社に同様の名目で9,100万円を支払っています。尚、(株)ワイン屋さんに対しては、「業務委託及び酒類購入」以外にも、GMOインターネットから2015年12月期に2億5,000万円の資金を貸し付けています。また、2016年12月期には、熊谷氏及び(株)熊谷正寿事務所が計5,100万円を「酒類販売」の名目でGMOインターネットに支払っています。これらの取引は明らかにGMOインターネットの本業とは関連性がなく、熊谷氏の公私混同の疑義が非常に高い取引であるとオアシスは考えます。
加えて、以下の観点から、GMOインターネットの社外取締役2名と社外の専門家2名(そのうち1名はGMOインターネットの元社外監査役)で構成される特別委員会が真に独立した立場にはなく、その勧告内容に客観性は認められない(熊谷氏の意向を尊重するバイアスがかかっている)とオアシスは考えます。
社外取締役2名について
小倉氏は、過去14年間に亘りGMOインターネットの役員の立場にあり(2004~2016年:社外監査役、2016年~:社外取締役・監査等委員)、グループ全体の最大株主かつ代表取締役会長兼社長である熊谷氏の影響下にある事は疑いなく、実質的には同社から独立した立場にありません。
増田氏は、過去10年間に亘りGMOインターネットを含むグループ会社の役員の立場にあり(2008~2014年:GMOペパボ株式会社社外監査役、2014~2016年:
GMOインターネット社外監査役、2016年~:同社社外取締役・監査等委員)、やはりグループ全体の最大株主かつ代表取締役会長兼社長である熊谷氏の影響下にある事は疑いなく、実質的には同社から独立した立場にありません。
また、上記2名は現在、社外取締役(かつ監査等委員)ですが、これは2016年に同社が監査等委員会設置会社へ移行した際に、社外監査役から社外取締役に横滑りした結果であり、いわば「社外取締役の数を揃えるためだけの安易な人事」の結果に過ぎません。この一事を見ても、小倉氏と増田氏はGMOインターネットの経営陣から真に独立した存在であるとは到底いえないと、オアシスは考えます。
特別委員会について
特別委員会は、社外取締役である上記2名(小倉氏と増田氏)に加え、1997年から2011年まで14年間GMOインターネットの社外監査役を務めていた木下氏と、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の宍戸氏の4名で構成されています。
2006年に特別委員会が設置されて以降、委員会のメンバー入れ替えは過去12年間一度も行われていません。
前述の通り、社外取締役の小倉氏と増田氏は、真に独立した立場とは言えないため、独立性が重視されるべき特別委員会の構成員として適格性を欠くとオアシスは考えます。
また、木下氏についても、過去14年間にわたりGMOインターネットの役員の立場にあった事から、グループ全体の最大株主かつ代表取締役会長兼社長である熊谷氏の影響下にある事は疑いなく、実質的には同社から真に独立した立場とは言えず、独立性が重視されるべき特別委員会の構成員としての適格性を欠くとオアシスは考えます。
第7号議案(定款一部変更の件(指名委員会等設置会社制度への移行))について
<GMOインターネット取締役会意見>
取締役会の監督機能の強化によるコーポレート・ガバナンスの一層の充実という観点から、2016年から監査等委員会設置会社に移行した。
取締役の指名は、各人の立候補を前提として、当社グループの全役員による360度評価、及び取締役会での審議を経た上で決定されるため、恣意性を排除した適性なもの。
また、各取締役の報酬についても、当社の業績と各自の個別目標に連動しており、且つ、これらがグループ内全役員・全従業員に公開されている事で透明性が担保され、恣意性は排除されている。
最後に、当社の顧問・相談役は、不当な影響力を行使できる体制になく、報酬額も貢献に見合う適切なものであると考えている。
<オアシスの反対意見>
そもそも、オアシスの第7号議案の提案趣旨は、極めて大きな影響力を有する最大株主且つ代表取締役会長兼社長の熊谷氏がいるGMOインターネットにおいて、同氏自身の人事(取締役としての選解任や報酬等)及び同氏が他の役職員の人事に与える影響力を限定し、真に経営陣から独立した社外取締役が過半数を構成する指名委員会及び報酬委員会によって、同社の適切な人事運営を実現する事を目的としたものです。このような弊社の本議案提案趣旨に対して、GMOインターネット取締役会意見は、熊谷氏の影響力をどの様にコントロールするのかについて何ら説明がなされておりません。したがって、弊社提案への反対意見として、不十分且つ不適当なものであるとオアシスは考えます。
また、GMOインターネットは、取締役会の監督機能強化を目的として監査等委員会設置会社に移行したと説明していますが、前述の通り、現在の社外取締役3名は真に経営陣から独立した立場にあるとは到底言えず、実質的には何ら監督機能の強化にはつながっていないため、対外的な説明と実態が大きく乖離しているとオアシスは考えます。
尚、取締役の指名プロセスは恣意性を排除した適正なものであるとの事ですが、以下の2つの理由により当該説明は誤りであるとオアシスは考えます。
社内からの立候補を前提とした取締役の指名プロセスでは、外部の優秀な人材を活用する事ができません。
また、極めて大きな影響力を有する熊谷氏の存在により、同氏の意向を尊重し・忖度する形での意思決定が取締役会や経営陣の間で行われている恐れがあります。
取締役の報酬設計は一般に公表されておりませんが、恣意性が排除されているのであれば、グループ内全役員・全従業員に公開するのみならず、取締役に株式会社の経営を委任し、取締役を評価・選定する立場にある株主に対して公開されて然るべきとオアシスは考えます。
顧問・相談役の報酬額についても同様で、どの様にして顧問・相談役が不当な影響力を行使できない様な体制を敷いているのか、どの様にして貢献度に見合う適切な報酬と判断しているのか、ひいては顧問・相談役の各人の必要性についても、熊谷氏の判断を尊重・忖度する恐れのある取締役会に一任するのではなく、株主に対して説明・公開されるべきであるとオアシスは考えます。
第8号議案(定款一部変更の件(取締役社長と取締役会議長の兼任禁止))について
<GMOインターネット取締役会意見>
取締役会議長は、取締役会における業務執行の決定を主導する立場にあり、グループ全体の業務内容を最も熟知している者が適任である。
監査等委員会設置会社に移行した事から、業務執行者に対する監督機能は十分担保できている。
取締役会議長と業務執行者の兼任禁止によって監督機能が強化されるかは必ずしも明確ではない。
<オアシスの反対意見>
繰り返しになりますが、監査等委員会設置会社に移行した事で業務執行者に対する監督機能が十分担保されているという反論は、監査等委員の過半数を占める社外取締役3名が真に独立した立場にあるとは到底言えない事から(小倉氏と増田氏については前記の通りです。また郡司掛氏についても、同様の事が言えます。)、そもそも反論になっていないとオアシスは考えます。
GMOインターネットにおいては熊谷氏に権限が集中している事から、熊谷氏自身と、同氏の意向を尊重・忖度して会社としての意思決定をする恐れがある取締役会や経営陣の双方に対する監督強化が必須であるとオアシスは考えます。トップダウンである同社の構造を鑑みると、業務執行者同士による相互監督は期待する事ができませんし、他の取締役による熊谷氏の監督も期待する事ができないとオアシスは考えております。よって、同社は、2017年3月31日に経済産業省が公表した「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務方針(CGSガイドライン)」44頁の方向性①に該当すると考えられ、同ガイドラインが推奨する通り、「取締役会議長は、客観的な評価という観点から、業務執行者以外が務めることが望ましい」という方針に従う事が、適切なガバナンス体制を構築する上で肝要であるとオアシスは考えます。
第9号議案(定款一部変更の件(累積投票による取締役選任について))について
<GMOインターネット取締役会意見>
特定の株主の利益のために動く取締役が送り込まれるリスクがある。
累積投票制度は大多数の上場会社によって採用されていないため、制度上のリスクがある。
<オアシスの反対意見>
GMOインターネット取締役会意見は矛盾をしているとオアシスは考えます。すなわち、GMOインターネット取締役会意見では、「特定の株主グループから多くの賛成票を得て選任された取締役が、当社及び当社の全ての株主の利益よりも当該特定の株主グループの利益を優先する行動を取るおそれがあり」と説明していますが、まさしくオアシスが懸念している点は、特定の株主(熊谷氏)から多くの賛成票を得て選任された取締役が、他の株主も含めた全株主の利益よりも特定株主(熊谷氏)の利益を優先する行動を取るリスクであるからです。
累積投票制度は米国を含めた海外においても採用されている取締役選任の制度であり、わが国においても会社法第342条において定められている法定の制度です。定款で本制度の使用を制限する旨の特段の記載をしない限りにおいては、株主は本制度の使用を取締役の選任に係り請求する事ができます。特定の株主(熊谷氏)から多くの賛成票を得て選任された取締役が、他の株主も含めた全株主の利益よりも特定株主(熊谷氏)の利益を優先するリスクのある同社においては、当該リスクの是正のために、熊谷氏以外の株主の利益のために動く取締役が選任されて然るべきとオアシスは考えます。
第10号議案(取締役(監査等委員であるものを除きます。)の報酬額設定(少数株主の利益に連動する報酬体系の採用)の件)及び第4号議案(取締役(監査等委員であるものを除く。)の報酬額設定の件)について
<GMOインターネット取締役会意見>
取締役(監査等委員であるものを除く。)の報酬額を、従来の年額10億円以内から年額12億円に増額(第4号議案)し、オアシスの提案である報酬額の年額5億円以内への減額に反対(第10号議案)する。
各取締役の報酬については、当社の業績と各自の個別目標に連動しており、且つ、これらがグループ内全役員・全従業員に公開されている事で透明性が担保され、恣意性は排除されている。
<オアシスの反対意見>
まず、取締役(監査等委員であるものを除く。)の報酬額については、2017年12月期の同社の期初計画を営業利益及び経常利益で達成できなかった事を踏まえますと、従来の年額10億円以内から減額する事の妥当性こそあれ、年額12億円以内に増額する会社側の提案は到底受け入れる事ができないものです(よって、会社提案の第4号議案には反対します。)。
また、前述の通り、取締役の報酬設計について真に恣意性が排除されているのであれば、グループ内全役員・全従業員に公開するのみならず、取締役に株式会社の経営を委任する立場にあり、取締役を評価・選定する立場にある株主に対しても公開されて然るべきであるとオアシスは考えます。
以上の通り、GMOインターネット取締役会意見はいずれも不十分かつ不適切なものであるため、株主の皆様におかれましては、是非ともオアシスの株主提案に対して賛成票を投じていただきますようお願い申し上げます。
オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッドについて
オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッドは、最高投資責任者のセス・H・フィッシャーが2002年に設立しました。オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッドは、世界中の様々な国やセクターで、幅広いアセットクラスの投資機会を発掘しております。オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッドに関するより詳細な情報は、ホームページ(https://ja.oasiscm.com/)にてご覧頂けます。オアシスは「責任ある機関投資家の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード)」を遵守し、投資先企業と建設的な対話を通じて企業価値を持続的に成長させる事を志向しております。
<本件に係る詳細情報>
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