『一流の人はなぜそこまで、靴にこだわるのか? (Business Life)』
(クロスメディア・パブリッシング)
靴はビジネスマンにとって相棒となる存在。自分に合った靴を選べるようになってこそ、一流のビジネスマンになれるのです。今回は基本の「スタイル」からもう一歩踏み込んで、「デザイン」の違いについて紹介しましょう。
ここではフォーマル度ではなく、「シンプルなもの」っを5つにまとめて解説していきます。
つま先や縫い目に何も飾りのついていないシンプルな靴のことです。
汎用性が高く、外羽根式は素朴でどっしりとした印象になります。仕事用にこの靴を履いている人も多いのではないでしょうか。内羽根式のプレーントウは、畏まった印象がとても強くなります。このデザインの黒、それでいてしっかり磨き上げたものであれば、燕尾服やタキシードといった夜間の礼装に合わせても問題ないかと思います。
つま先に真一文字の縫い目がある、ビジネスシューズの定番。黒の内羽根式であればビジネスだけでなく礼装用としても使える。つま先に何の装飾もない「プレーントウ」で履き回すのを覚えたらぜひトライしたい一足。
別名「トレートチップ」。つま先に一文字状のステッチングのみを施したものをこう呼びます。このデザインで真っ先に思い浮かぶのは内羽根式の黒ではないでしょうか。ビジネス用としてはもちろん、それ以上にモーニングなど昼間の礼装としても使える便利な靴です。茶系はフォーマル用には向きませんが、通常のビジネススーツに合わせるのであれば問題ありません。
目印は、甲からつま先にかけて施されたU字状のモカシン縫い。「Uチップ」と呼ばれることが多いが、これは和製英語。イギリスではその形から「エプロンフロント」と呼ばれる。1920 ~ 30 年代にかけてアウトドアスポーツ向けにつくられた靴が原型で、外羽根が主流。カジュアルな装いにぴったり。
別名「ノルウィージャンフロント」。甲からつま先にかけて、U字状の「モカシン縫い」と呼ばれるステッチを施した紐靴です。もともとは狩猟やゴルフなどの野外スポーツ用としてつくられたものということもあり、カジュアルな印象があります。最近はビジネススーツに合わせる人も増えましたが、基本的にはジャケットを中心としたコーディネートに合わせると良いと思います。
つま先に入った穴飾り(一文字状の「ブローギング」と、花状の「メダリオン」)によって華やいだ印象に。礼装以外なら幅広く履くことができるので、黒・茶系両方持っておいても損はない。イギリスをはじめ、ヨーロッパではビジネスシューズとしておなじみの靴。
つま先に「ブローギング」と呼ばれる穴飾りが一文字状に入っていて、さらに花状の穴飾り「メダリオン」もついているものです。内羽根式・外羽根式ともに守備範囲が広く、スーツの他に、ブレザーやツイードなどのジャケットスタイルにも合わせられます。黒と茶系、両方持っておいてもそれぞれ重宝するでしょう。ただし、装飾によって全体として華やかな印象になるため、冠婚葬祭に履いていくのは、たとえ黒色であってもNGとなります。
一文字状ではなくW字状にブローギングが入っているのが特徴。セミブローグに比べると、その表情は一段と華やかに。フォーマルユースはできないが、内羽根式なら通常のスーツスタイルにも合わせられる。イギリスのように「仕事には黒、休日は茶系」という使い分けをしてみるのも面白い。
別名「ウィングチップ」。つま先のブローキングが W 文字状に施されたこの靴は、セミブローグ以上にカジュアルな印象になります。
スーツは無地よりも柄物、無地でも素材感のあるものを選んだ方がよりしっくりときます。
もちろん、ジャケットとの相性も抜群。フォーマルユースには使えませんが、欧米諸国や日本では内・外羽根の違いによらず、ビジネススーツに合わせても問題ありません。
最後に、あまり知られていないことをひとつ。
イギリス英語とアメリカ英語では、同じデザインの靴であっても呼び名が異なります。日本では双方がごちゃまぜか、後者が優勢に使われていますが、先ほど挙げた順番にいうと、
これらはすべてイギリスでの言い方です。アメリカではそれぞれ、
という表現になります。
今回は、凡庸性の高いものから、少しマニアックなものまで5つのデザインについて紹介しました。デザインは靴を選ぶ上でも、多くの人が気にする部分。他の人と差をつけるためにも、これらを覚えて自分にぴったりと靴を探してみてください。