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軽のキャンピングカーで稚内から南アフリカまでドライブしてきた、つがいの旅ガラスです。
民泊している家のオーナーは、近所の庭や空き地を畑とするミニマム農家。
庭いっぱいに牛糞が蒔かれ、堆肥作りのコンポスターが大活躍です。
収穫日の今日、緑色のトマトや萎びた大根、ちっちゃなメロンやらなにやらをいただきました。
野菜なんだか果物なんだか、よくわからなかったのが↓
なんとなくほうれん草に似てなくもないのが↓
よくわからない緑色の葉っぱは↓
ルッコラはハーブの一種で、イタリア人がピザの上に載せるものです。
イタリアに行ったことがないのに偉そうに解説して恐縮ですが、ローマ時代のルッコラは、惚れた相手を「その気にさせる」惚れ薬。いやらしい漢字を使えば、淫靡薬。
精力剤として利用され、若い僧がルッコラを食べて不祥事を起こしたりしたので、仏教で言うところの禁葷食(きんくんしょく:食べてはいけない野菜)。ニラやにんにくみたいな、無駄に元気が出る野菜です。
そんな精の付くものを食べて次々と英雄を手玉にとった女傑が、クレオパトラ。
彼女にあやかって、このローマ帝国伝承の精力剤を食べまくれば新しい人生が開けそうですが、EUの決まりではルッコラは1日50gまで。ボウル1杯分です。
どうやら、硝酸塩という成分が体によくない。食べ過ぎは、ガンの危険性が高まる可能性があるのでご用心です。
さて、厚生労働省によると、日本人は野菜不足です。
1日の摂取目標値350gに対して、成人の達成率84%。
ナニかと達成率の悪い人生を送っている筆者にしてみれば、8割を超えていれば万々歳なんですが、そう呑気に構えていられない別の理由があります。
文部科学省に言わせると、野菜そのものが栄養不足です。
意味がわかりますか?
野菜に含まれる栄養分が、減っているのです。
2010年までの過去50年間で、にんじんのビタミンAは81%も減っています。
5本以上食べてやっと昔の1本に追いつくレベルですから、食べるに追いつく栄養なしってレベル。
ほうれん草のビタミンCは、77%も減少。
キャベツのビタミンC、アスパラガスのビタミンB2、玉ねぎのカルシウムは半分になりました。
子供のころ、もっと野菜を食えと母親に言われてたわけですが、母さん、野菜にこそ「もっと食え!」って言ってください。話はそこからです。
なんでそんなに栄養不足になったのか、野菜にインタビューしてきました。
——にんじんさん、今どきは肥料なんか食べ放題なんじゃないですか?
——手取り足取り育てられてるんじゃないですか、玉ねぎさん?
それがですね……と、栄養失調の野菜が語ります。
「旬じゃない時期にも植えられて、一年中休みなく収穫されたんじゃ、栄養も減るってもんです」
「その証拠に、旬のときは栄養価は高いのです」
「それとですね、ついでに言っときますと、みなさん味とか見た目で判断してますよね、野菜のことを。だから最近は、見てくれ勝負の外来種だとか品種改良ものばっかじゃないですか」
「あいつらは、そもそも栄養が足りないのです」
「それと肥料はですね、確かにありがたくいただいています」
「ただ、肥料の栄養が偏ってまして、窒素やリンとかカリウムばっかり。栄養はバランスよくとってこそ、栄養になるのです」
「でもって、昔みたいに肥溜めとか使わないから、土が痩せるんです。 20年以上も前にアメリカの野菜が言ってましたよ、85%も土のミネラルが減ったって」
「ヨーロッパは、72%減」
「アジアだって76%も減っているんです、ミネラル」
「土に栄養がないんじゃ、どうもならんのです」
野菜のご高説はごもっとも。
しかし、野菜の栄養は減っていないとする一派もいます。
野菜の栄養減少の根拠は、文部科学省の「日本食品標準成分表」ですが、
成分の分析法が時代とともに変わるので単純に比較しにくいし、トマトやかぼちゃのように栄養価が増えた野菜もあるじゃないか、というのが彼らの主張です。
また、過去50年間の数多の論文を寄せ集めると、野菜の栄養価にたいした差はないという説があります。
これは有機栽培と通常栽培の比較ですけど、参考までにどうぞ。
野菜の栄養が減ったにしろ増えたにしろ、確実に増えているのはエンゲル係数と野菜の値段ですから、野菜不足を解消するには、まず給料アップです。
で、ルッコラだけ消費税を安くしたら、精力がついて少子化対策になります。
ボクらはもう精はいらないので、せいぜい精進野菜を食べて野菜クズをコンポスターへ。
未来の子供たちへ、栄養の贈り物です。
そこのお若いの、勝負デートのときはピザをどうぞ。
<参考資料>
ディア・ナチュラル「本当は空っぽ!?野菜の栄養価とビタミンとミネラルのお話。」
GRAIN “Earth matters (in Japanese)”