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つらいカフェイン断ちを避けたい!
——連載開始前にビジネスライフ公式ツイッターにて読者の皆様から質問を募集したところ、短期間の募集にもかかわらずたくさんの質問をいただきました。ありがとうございます! 今回はその中から、ヘルスケアの基本「睡眠」に関する質問を中心にお伺いしたいと思います。
まずは覚醒効果が実証されているカフェインについてのご質問です。
毎日カフェインを取ると必要最小限の量が増え、効果が消えたらカフェイン断ちでリセットするを繰り返してます。 週何回までのカフェインならこうならないという事はあるのでしょうか? またパレオさんのカフェインとの向き合い方も教えていただきたいです!
鈴木:まずカフェイン断ちの説明をしますね。
体の細胞には「レセプター」という鍵穴のようなものがあって、ここに披露物質が張り付くと疲労を感じるようになっています。
カフェインを摂取すると、このレセプターをカフェインが塞ぎます。その結果疲労物質がブロックされ、覚醒効果が得られるんです。
しかしカフェインを取り過ぎた場合、このブロック機能が衰えてきます。そこで「カフェイン断ち」を行い、効果を復活させるわけです。2週間のカフェイン断ちで疲労物質のブロック機能が復活してきます。自分もたまにカフェイン断ちをするんですが、2週間の間は頭がぼーっとしてしまって辛いですね。
さて、質問は「週何回までのカフェインがいいのか」とのことですが……カフェイン代謝は人それぞれなので一概に数字を出すことはできません。
「カフェインの効果が消えた場合にカフェイン断ちをしている」ということであれば、その対処法は正解だと思います。
——自分にとっての適切なカフェイン量を把握するまでは、カフェイン断ちのつらさは避けられないのですね……。
続いての質問は、カフェイン耐性についてです。
カフェイン耐性がある人はカフェイン断ちで禁断症状が全く出ないことがありますか?
鈴木:あります。
カフェイン断ちをしても眠気や頭痛などの禁断症状が出ない、という人は実際にいます。
先ほども言ったように、カフェイン代謝は人によって違います。コーヒー1杯でもイライラしてしまう人の割合は人口の20%くらい。大体の人は1日1、2杯程度のコーヒーでは副作用は出にくいはずです。そして、何杯飲んでも禁断症状が全く出ないという人も実際にいます。カフェイン代謝が良すぎるんですね。
——そうした「カフェインに耐性がある人」は、禁断症状が出ない代わりに覚醒効果も得られない、ということはありますか?
鈴木:そんなことないですよ。
カフェイン耐性がある人は、覚醒作用の恩恵は受けつつも禁断症状は出ない、という状態なんです。羨ましい限りですね。
——夜勤で生活リズムが崩れてしまう方からの質問です。
仕事の関係上、昼夜逆転した生活を送っています。少しでも体の負担を減らすため、
・寝る時間の固定(8:00~14:00)※起床したらなるべく日を浴びる
・パレオダイエット+リーンゲインズ
・なるべく自然に接触
・アシュワガンダ
といった対策を取っているのですが、上記に加えてこれだけは…!といった対策方法があれば、ぜひご教授頂きたいです。
鈴木:これはよく聞かれる質問です。身もふたもないことを言うと、シフト制で体に受けるダメージはどうにもならないんですよね。光がある時間に寝ているという時点で、通常の生活リズムで過ごしている人には絶対に届きません。
——でも、夜勤を担当する人がいないと困ってしまいますよね。
鈴木:病院勤めの方など、夜勤をどうしても外せない方は大変ですよね。
そういった方のリカバリー方法としては「週末の寝溜め」があります。仕事で規則的な生活が送れない人には効くはず。
あとはもう、睡眠の質をガンガンに上げるしかない。睡眠の質を上げるためには次の項目を絶対に守ってください。
・限界まで部屋を暗黒に
・騒音を断つ
・室温を下げる
鈴木:この質問の方は午後2時に日光を浴びるようにしているところがとても良いですね。自然に接触したり「アシュワガンダ」を摂るのもいい。ただ「リーンゲインズ」はしなくてもいいんじゃないかなと思います。
【アシュワガンダ】…薬草の一種。 ストレスホルモンを減らす効果がある。
【リーンゲインズ】…別名8時間ダイエット。「1日のうち8時間以内は好きに食べて、それ以外の16時間は断食」というプチ断食方法。有名栄養コンサルタントのマーティン・バークマンが推奨している。
鈴木:リーンゲインズって、「体に少しダメージを与えて健康になろう」という方法なんです。この人の体にはすでに昼夜逆転生活のダメージがある。だから余計なストレスをこれ以上増やさなくてもいいと思いますね。
——もう一つ、夜勤の方からのご質問です。
シフト制の仕事で月に6回夜勤があります。できるだけ身体への負担を減らす方法のアドバイスをお願いします。
鈴木:この人の夜勤は「月に6回」なんですね。この頻度ならまだなんとかなるかもしれない。夜勤の日が3分の2以上になるとマズいですが……。
・週末のリカバリー
・普段の睡眠環境維持
以上の2つを守れば大丈夫と言っていい範囲に入るかなと思います。
——以前「パレオな男に聞いてみた」連載第1回にて、鈴木さんイチオシのガジェット「oura ring」が紹介されました。このoura ringを実際に使用している方からの質問が届いています。
oura ringを利用しています。結果の数値と体の感覚が合わないことがあります。
(例:数値は低いけどテンションが高い、数値は高いけどそんなにすっきり感がない)
パレオさんもそんな肌感覚のときはありますか?
鈴木:体感とoura ringのスコアがズレるのは、一日単位で比較しているからだと思います。
ダイエットの場合、1日ごとに「500g減った、増えた」と一喜一憂するより、長いスパンで体重の推移を見る方がいいですよね。
oura ringでも同じように全体としてのスコアと体感を比べるしかないかな。だいたいひと月のうち、スコアと体感が7〜8割一致していればそれが正しいんじゃないでしょうか。
しかし「oura ringのスコアは低いけどテンションが高い」というのはどういうことだろう。テンションが高いのは、体がダメージを受けてアドレナリンが分泌されたからかもしれませんよ。
——瞑想を行うことで不安が和らぎ、睡眠の質が高まると言われています。続いてはそんな瞑想に関するご質問です。
現在、マインドフルネスのアプリは何を使用していますか?
鈴木:瞑想を始めた頃はアプリを使っていましたが、今は使いませんね。今は寝る前に20〜30分、ただ座ってるだけ。
——20分も何もせずに座っているなんて、辛くならないんですか?
鈴木:はじめは5分も保ちませんでしたよ。はじめたばかりの頃は絶対ガイダンスがあった方がいい。慣れが大事で、今では2〜3時間は瞑想できるようになりました。
慣れるまでに使っていたのは「マインドフルネス・アプリ」ですね。
——どういった点がオススメですか?
鈴木:音声ガイダンスが豊富だったところですかね。
『スタンフォードの自分を変える教室』という本の著者がガイダンスを担当していたのも高ポイントでした。有名人がやってるというのが、ミーハーな自分にはたまらないところ(笑)
——鈴木さんは「寝る前20〜30分の瞑想」をするということですが、時間帯は「就寝前」がオススメなのでしょうか。
鈴木:時間帯自体はいつでもいいんですよ。自分が寝る前に瞑想するのはただ単にその時間が空いているから。
1日10〜15分でも瞑想時間を確保できれば効果が期待できます。
「慈悲の瞑想」と「マインドフルネス瞑想」ではどちらの方がエビデンスが高いのでしょうか?
勿論併用した方がいいのは分かりますが、論文やメタ分析に詳しいパレオさんにお聞きしたいです。
【慈悲の瞑想】…自分や他人の幸福を祈りながら行う瞑想
【マインドフルネス瞑想】…今、この瞬間の体験だけに意識を向ける瞑想
鈴木:質問には「勿論併用した方がいいのは分かりますが」とありますが、併用した方がいいかどうかはわからないですね。
研究の量としてはマインドフルネス瞑想の方が多いので、エビデンスが高いと言えるでしょう。ただ、瞑想方法は自分の好きな方法でやるのが一番だと思います。
自分の場合、慈悲の瞑想はあまり向かないんです。英語で慈悲の瞑想を行うとしっくりくるんですが、日本語に訳すとなんだか恥ずかしくなってしまって。
瞑想方法に迷ったら、目標によって使い分けるといいと思います。普段からネガティブな人は「慈悲の瞑想」、集中力アップを狙う人は「マインドフルネス瞑想」とか。
——続いては、鈴木さんオススメのサプリ「ナイトレスト」に関する質問です。
パレオさんが愛用していたサプリでもあるナイトレストの成分のメラトニンの長期的な安全性に関してブログにて言及されていますが、メラトニン以外の成分の安全性に関してお聞きしたいです。
【ナイトレスト】…寝る2時間前に飲むと自然に眠りにつけるサプリメントとして、ブログ「パレオな男」で紹介された。日本では海外の健康食品を扱うネットショップ「iHerb」のみの販売。
鈴木:メラトニンには睡眠の質の改善に効果があるので現在も使っています。
子供や妊婦の方は注意が必要ですが、健康体なら問題ないと思いますね。基本的に害はない。
他の成分のうち、マグネシウムは摂取しすぎると下痢になるかもしれない。それぐらいですね。
——現在鈴木さんが使っているサプリについての質問も届いています。
パレオさんの今現在のスタメンサプリはどんな感じですか?
鈴木:ビタミンD、メラトニン、それと筋トレ用にクレアチン。今使ってるのはそれだけですね。ビタミンDは日光を浴びることで体内で合成されるのですが、室内で働いているとどうしても日光不足になりがちです。
■参考記事「日本人に不足しているビタミンDは、日光浴と食事でカバーしよう!ビタミンDの効果と効率的な増やし方を解説。」
鈴木:ビタミンDにはとにかくいろんな効果があるんですよ。ガンの予防効果や脳機能アップも期待できるし、骨や血液にも必須です。
——ビタミンDサプリと日光の関係についての質問もありました。
ビタミンDサプリは、普段から日光に当たっている人(半日くらい)も毎日摂取しても大丈夫でしょうか?
サプリを飲む場合、日光に当たる日と当たらない日でサプリの摂取量を変えた方がいいのでしょうか?
鈴木:この方は……半日も日光に当たっているんですか! それならビタミンDサプリを摂取しなくても問題ないと思いますよ。1日に合計15〜20分日光を浴びる時間があれば、1日の必要量は満たせます。
もし日光に当たる日と当たらない日によってサプリ摂取量を変えるなら、次の数値を目安にしてください。
・日に当たらない日、冬場…1000〜3000IU
・日に当たる日…1000IU
——ビタミンDの摂りすぎは体に悪いのでしょうか。
鈴木:ビタミンDを摂りすぎると血中のカルシウムレベルが増えすぎてしまうというのはありますね。
日光を十分に浴びつつサプリを飲んでも健康に害はないと思いますが、摂取するにしても1000IUぐらいでいいですよ。
——最後の質問です。
プロフィール&ヘッダー画像の猫ちゃんめっちゃ可愛いですね。名前はなんていうんですか?
鈴木:謎の質問ですね(笑)
画像の猫の名前は「哲平」です。由来は好きなお笑いタレントの有田哲平から。普段はセンセイと呼んでます。
——名前の由来が意外です! 名前も呼び名も可愛いですね。
鈴木さん、本日はありがとうございました。
次回の「パレオな男のヘルスケア相談室」のテーマは「食事」。
既にいただいた質問の中から食事に関するQ&Aをお届けします。
【目次(一部抜粋)】
第1章「文明病」
「文明病」が心と体を蝕んでいく
かつてないレベルのカロリーを摂取している
古代ではあり得ない「肥満」という現象
都市部の若者とヒンバ族では集中力に大差が!
豊かになればなるほど鬱病が増えるのはなぜ?
第2章「炎症と不安」
《炎症編》
長寿な人の共通点は、体の「炎症レベル」が低い
炎症が長引くと全身の機能が低下する
内臓脂肪が減らない限り、体は燃え続ける
《不安編》
不安障害の患者は15年で2倍に増加
「ぼんやりした不安」と「はっきりした不安」
不安は記憶力、判断力を奪い、死期を早める
第3章 腸
現代人の腸はバリアがどんどん破れている
衛生的な生活が免疫システムを狂わせる
抗生物質を使うと腸内細菌が大量に死ぬ
発酵食品の凄い効果─ロンドン大学の研究
このサプリを使えば症状は改善する
第4章 環境
人は環境に影響を受ける─グーグルの実験
自然を失い、友人を失った人類の末路
疲れたらマッサージ? もっといい方法がある
孤独だった人に友人ができると寿命が延びる
〝偽物の自然〟にもリラックス効果がある
第5章 ストレス
過剰なストレスが全身を壊していく
ストレスを感じたときに効くひと言とは?
寝不足が続くとダメージを修復できない
優良ホルモン「メラトニン」が増える眠り方
40分の昼寝で完全回復─NASAの研究結果
第6章 価値
ぼんやりした不安を解消するたった1つの方法
未来に目的があれば迫害すら乗り越えられる
原始人にとって生きる意味は単純だった
あなたの人生における価値観とはなにか?
ミシシッピ大学の「価値評定スケール」とは?
第7章 死
死を想うことでより良い生き方を選べる?
無意識に死への不安を感じている
死の不安に対して原始仏教が示した解決策
畏敬の念をもつと体内の炎症レベルが下がる
自然、アート、偉人、嘆するのはどれ?
第8章 遊び
もし「遊び」を奪われたら人はどうなる?
娯楽があふれているのに楽しくない
ルール化することで〝いまここ〟に集中できる
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