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「インプラント」という言葉は一般的にも知られつつありますが、まだその内容についてはよく分かっていない方が多いのではないでしょうか。
本記事では一万人以上の患者を診てきた歯科医・滝澤聡明氏の著作、『切らない!縫わない!怖くない!フラップレスインプラント』から、インプラントについてよくある疑問に答えながら他の治療法との違いを紹介していきます。
インプラントとは、人工の材料や部品を、からだに入れる治療の総称です。
歯科の分野でのインプラント治療とは、失ってしまった自分の歯の代わりに、人工の歯根をあごの骨に埋め込み、それを支えとし、その上に人工の歯を入れる治療法です。
入れ歯と違い、固定性のため、ガタつきもなく、自分の歯のように噛める利点があります。ブリッジ(後ほど解説します)の場合は隣の健康な歯を支えにしなければいけませんが、インプラントは歯根を埋める手術のため歯根がなくても治療可能です。また、インプラントは、からだとの親和性が高く、骨と結合性の高い性質の金属である“チタン”などでつくられていますので、 金属アレルギーが起こりづらくなっています。
また、歯根を植えることや、治療時の麻酔などに恐怖感を持って、「歯を入れたいけど……」と気が引けていた方でも、本書 でお伝えする「切開・剥離・縫合」のないフラップレスインプ ラントや、麻酔の種類の工夫、丁寧なカウンセリングにより、痛みを軽減して治療に臨むことができます。
【インプラントに向いている人】
・ブリッジができず、入れ歯も安定しにくい
・健康な歯を削らずに、失った歯を治療したい
・入れ歯の異物感が大きく、なじめない。うまく使えない
・歯根の本数の少ない人
・神経のない歯が多い人
上記のような悩みや希望をお持ちの方は、インプラント治療に向いています。
インプラントは固定式ですから、異物感なく、まるで自分の歯で噛んでいる感覚になれるのも大きな利点です。
少食や偏食が改善されるため、食事のバランスが整い健康状態もよくなります。
インプラントを選ばない方の選択肢としてよく挙がるのが、「ブリッジ」です。
ブリッジは、失った歯の両隣の歯を支えとして、連結した人工の歯をかぶせる治療法です。セラミックなどの素材にこだわらなければ保険が適用され、安価に治療できるメリットもあります。見た目は生まれつきの歯と違いのないものもできますし、 同じように噛むことができます。
ただし、支えとなる両隣の歯は、健康な歯であっても、人工の歯を取り付けるために削らなければならず、両隣の歯への負担が大きくなります。特に神経を抜いた歯を支えとする場合、 負担が大きく、歯根がわれ、抜歯になるケースもあります。
ブリッジの最大の問題は、歯の根がない状態で両隣の歯を支えとしている点です。歯根がないということは、建物で考えると柱の少ない家と同じ。どれほど屋根や窓がしっかりしていても、柱が1 本なくなれば必然的に建物は弱くなり、当面倒れなくても数年後にはガタがきます。数年かけてこのように歯がどんどん失われてしまうことを「咬合崩壊」といいます。
建物の柱、つまり口内で考えると歯根を保つためには、インプラントか歯の移植、この2つしか選択肢はないのです。
【ブリッジのメリット 】
・固定式のため、装着していて違和感がない
・生まれつきの歯とほぼ同じように噛むことができる
・見た目では、生まれつきの歯と違いのないものができる
【ブリッジのデメリット 】
・健康な歯を削らなければならない(歯の寿命が短くなる)
・土台となる歯と骨に負担がかかる(歯根が折れる、骨が溶ける可能性もある)
・歯の抜けた部分の骨が痩せていく場合がある
・隙間に食べ物が詰まることがあり、むし歯や歯周病になりやすい
・発音に問題が出ることがある
・神経を抜いた歯に用いると歯根がわれるケースが多い
・歯ぐきが下がりやすくなるため歯周病のリスクが高まる
結果的に、噛み合わせがずれたり、一部の歯の負担が大きくなり残っている歯が欠けてしまうことがあります。そして、年数をかけてさまざまな箇所に亀裂や破折が生じて、次々と歯を喪失してしまう「咬合崩壊」に陥り、最終的にインプラントしかない、と当院を訪れる患者さんがたくさんいます。
何度も治療を行わなければならない金銭的なリスクや手間、 からだへの負担を考えれば、はじめからインプラントを選ぶほうが患者さんにとってメリットが大きいと思います。
【入れ歯のメリット】
・簡単に治療を受けることができる
・保険診療ができ、治療費の負担が少ない
・取り外してお手入れできる
【入れ歯のデメリット】
・留め金が見えたり、見た目が悪い場合がある
・入れ歯を支える歯に負担がかかる(歯の寿命が短くなる)
・装着時に違和感を覚えることがある
・噛む力が弱くなる
・空気が漏れて、発音に問題が出る場合がある
・使用するうちに合わなくなり、調整や作り替えの必要が出る
・着脱を丁寧に行わないと支える歯に負担がかかり、動揺し、抜けやすくなる
・嘔吐反射の強い人に向かない
差し歯は、残っている自分の歯根の部分に金属の土台をつけ、 人工の歯をかぶせます。
一方のインプラントは、金属の人工歯根を骨の中に埋め込むため、自分の歯だけでなく歯の根っこがなくなってしまった状 態でも施術可能となっています。
患者さんのなかには、「歯を抜いた所を差し歯にしてもらいたい」と相談に来られる方もいますが、差し歯は、根が残っている状態でないと行えません。根も含めて、歯そのものすべてを抜いてしまったら、差し込む所がなく差し歯にできないので す。
そのような場合でも、インプラント治療であれば可能です。
歯を抜いた後、あごの骨に歯根の代わりとなるインプラントを埋め込み、骨とインプラントが結合するのを4~6か月程度 待ちます。
骨とインプラントが結合したら、アバットメントと呼ばれる 土台をねじでインプラントに留め、型取りをしてから歯をかぶせていきます。 歯根も含めて、歯が全くないところから天然の歯に近い状態 に近づけようとする治療法が、インプラントです。
費用面での違いとしては、差し歯は公的医療保険が適用できるのに対し、インプラントは基本的に自由診療であるため高額になります。
インプラント治療に踏み切れない人のなかには、治療費の高さがネックになっている人も多くいらっしゃると思います。しかし、一生涯で歯にかける治療費を考えれば決して高額ではありません。
インプラント治療を受ける人のなかには、一度保険適用の入れ歯を入れて問題が発生し、自費で高品質の入れ歯を買い直してもダメでブリッジを選び、それでも数年後に不具合が起きてインプラントにたどり着く人がいます。何度も高いお金を払って入れ歯やブリッジを購入するのであれば、はじめからインプラントを選択したほうがはるかに安価な場合があります。
入れ歯やブリッジを選ぶデメリットは費用面だけではありません。
ブリッジは失った歯の両隣の歯を支えとしているため、失わなくてもよかった両隣の 2 本の歯まですり減って破損してしまうことがあるのです。
日本は公的医療保険制度が充実しているため、保険診療であれば大丈夫だと思われている傾向があります。私自身、開業した頃は「高額な治療費のインプラント治療は必要なのか」と疑問を持っていたため、歯を失った患者さんにはブリッジや入れ歯を入れることのほうが多くありました。
しかし、治療後の経過を追ってみると、ブリッジや入れ歯を入れた患者さんは、数年調子がよくても 1 0 年、1 5 年後に次々と不具合が起きていきました。はじめからインプラントを選んでいれば、何度も治療費を払う必要はありませんでした。
「安物買いの銭失い」という言葉がありますが、人生 1 0 0 年時代、遠回りをしてインプラントにたどり着くのであれば、はじめからインプラントを治療の選択肢に入れておいてほしいと思います。
「切らない! 縫わない! 怖くない! フラップレスインプラント」
「とにかく痛いのがイヤ」「麻酔も、切るのも怖い」「とにかく早く治したい」
そんな方に知ってほしい「フラップレスインプラント」。
メリットの大きいインプラント治療ですが、「治療は痛い」「手術は怖い」などのイメージが大きく、なかなか治療に踏み切れない人も多いのが現実です。
そこでおすすめしたいのが「フラップレスインプラント」です。
一刻も早く歯を入れたい方や、入れ歯に抵抗のある方、痛みに恐怖感のある方にも対応しやすい治療となっていますので、インプラント治療に踏み切れず悩んでいる方や、これまでインプラントの治療を全く考えていなかった方にこそ、読んでほしい一冊です。
1万人の患者を診てきた著者が、フラップレスインプラントのよさを余すとこなく解説します。
Q インプラントってそもそもどんなものですか
Q 1本からでも、インプラントはできますか
Q インプラントとブリッジってどう違うのですか
Q インプラントの治療費はいくらかかるのですか
Q インプラント体には、どのような種類があるのですか
Q インプラント治療の期間は、どれくらいですか
Q インプラント治療において、安全性が確保されているか心配です。
Q 特に患者さんからニーズの高い、インプラント治療について教えてください。
・実際の治療の流れ-当院の場合-
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