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すっかりライフスタイルの一部に定着したランニング。
以前は部活やトレーニング色が強かったものの、今では日本人のおよそ460万人が定期的に行う最も身近なスポーツです。
近年は「通勤ラン」「帰宅ラン」という言葉が生まれるなど、ランニングを日常生活に取りこむスタイルが増えています。
場所・時間を問わずできる手軽さから、忙しいビジネスマンや会社経営者にもブームは拡大しています。
ただ、外で行うスポーツのため、モチベーションも質も、どうしても天気に左右される感は否めません。
そこで今回は、フルマラソンのベストタイム2時間58分21秒のサブ3気象予報士・村木祐輔が、
「天気を考慮してスマートに練習計画を立てるコツ」や、「記録更新につながる、大会当日の天気予報の活用方法」をご紹介します!
日本のランニングブームのきっかけになったのは、今年ももうすぐ開催される【東京マラソン】。街中を見渡してもランナーがだんだん増えてきています。
そんな市民ランナーの皆さんのランニングを始めたきっかけは実にさまざま。
2018年度ランナー世論調査(アールビーズスポーツ財団)によると、
・健康のため(53%)
・レース出場のため(30%)
・精神鍛錬のため(8%)
など、十人十色です(複数回答可)。
ただ、個人競技のため強制力がなく、“天気”を理由に日々の練習をサボってしまった経験はあるんじゃないですか?
2019年は、この壁をクリアして一歩レベルアップした自分になりましょう!
きっと相乗効果で、仕事もこれまで以上に駆け抜けられますよ!
まずは練習時に役立つ便利ツールを2つご紹介!
「あ〜ぁ、仕事が早く終わったのに今日は雨かぁ…」
「雨が降りそうなどんより天気。どうしよう…」
皆さんもこんな経験ありませんか?
走りたい日に限って、天気が味方してくれなかったりするもの。
そんな悩みを抱えるランナーにオススメなのが、「週間予報の信頼度」!
テレビの天気予報で目にする週間予報。
「でも1週間先の天気予報ってしょっちゅう変わるでしょ?」
という声も聞こえてきそうですが、そこは知的ランナーとしてもう一歩踏み込みましょう。
週間予報をよく見ると…、
(気象庁の週間予報:http://www.jma.go.jp/jp/week/319.html)
ABCのアルファベットがついているのがわかりますね。
これは“週間予報の信頼度”と言われていて、予報にどれだけ自信があるかという指標なのです。
Aだと当たりやすく、Cだと天気マークが変わる可能性があるということ。
つまり、
・「晴れや曇りの予想で信頼度A」→練習日
・「雨の予想で信頼度C」→変わる可能性があるため走る準備はしておく
・「曇りの予想で信頼度C」→(雨の可能性もあるので)仕事日or飲み会
などと、1週間の練習計画をあらかじめ立てるのに活用できます!
これで練習も仕事も無駄なく時間を捻出することができるというわけです。
また、雨や雪の日でも諦めてはいけません。24時間降り続いているという日は稀。
つまり雨のやむタイミングさえ分かれば外でのトレーニングは可能です。
そこで活用したいのが、「気象レーダー」。
こちらもテレビでよく見る画像ですね。
今ではインターネットの気象庁ページやアプリなどでも気軽に見ることができます。
時間をさかのぼって雨雲の動きを確認したり、15時間先までの雨雲の予想まで見たりすることができるため、強い雨雲が自分のいる方に進んでくるか、はたまた離れていくのかもわかります。
(気象庁レーダー:https://www.jma.go.jp/jp/kaikotan/)
これを見て、雨や雪が降り始めるタイミング・やむタイミングを見極めて練習に出かけることができます。
練習を天気に左右されるのではなく、天気によって“意図的に”練習を左右する!
天気を味方にしたランニングが、新時代ランナーの練習方法になってくるのです。
Let’s セルフ天気予報!!
そして、ランナーがさらなるステップアップのために取り組むのが
市民マラソン大会への出場!
それまでの自分の頑張りが数字として表れます。
そんなマラソン大会。市民ランナーが事前に把握しておくべき天気要素はなんだと思いますか?
サブ3気象予報士・村木が考えるのは“風向き”です。
気温も大きく影響しそうですが、過去の東京マラソンの気温と完走率を調べたところ、
暑くても寒くても完走率に大きな違いはありませんでした。
私が風の重要性を顕著に感じたのは、2018年の東京マラソン(2月25日開催)。
当日の予報は曇り、気温は日中でも10℃以下とランナーには絶好のコンディション。
ただ、気象予報士として気になったのは、“レース終盤の風向き”。
全体として風は弱い予想でしたが、
当日、「最もきつい35km過ぎの折り返し以降は向かい風になる!」と予想しました。
これを考慮して、前半抑えめに入ったのが大成功!
最後まで大きな失速もなく、自己ベストを8分以上縮めて初のサブ3(3時間切り)を達成しました。
公認のフルマラソン大会は、
「スタート地点とフィニッシュ地点の直線距離は21.0975km以下にしないといけない」
というルールがあります。
言い換えると、必然的にワンウェイのコースは存在せず、フルマラソン中、どこかで向かい風になる可能性が高いわけです。
向かい風ってきついですよね? 特にレース後半には心が折れそうになりますよね??
その風の変化を味方につけられるかが知的ランナーの腕の見せ所です!
気象庁ホームページでは、3時間ごとの風向きを予想しています。
(気象庁時系列:http://www.jma.go.jp/jp/jikei/319.html)
この風向きとコースを照らし合わせることで、レース中どこが追い風でどこが向かい風になるか予想を立てることができるわけです。
それをもとに、ペースを抑える所・勝負をかける所をあらかじめ目星をつけておくと、一歩上の知的ランナーになれますよ。
3月3日開催の東京マラソンは、東西南北どの方向にも向かうことになるコース。
きっと向かい風になる所があるので、今回はぜひ“風向き”に注目してレース計画を立ててみてください。
◆東京マラソン2019コースマップ:https://www.marathon.tokyo/about/course/)
また、私のTwitterでは、マラソン大会当日のコースの天気予報とレース計画をアドバイスする「ラン天」を掲載しています。
もちろんレース中の風向きの変化も。リクエストもお待ちしておりますので、ぜひ参考にしてください。
【サブ3気象予報士 村木祐輔Twitter】https://twitter.com/yusuk_murak
<出典・参考資料>
・2018年度ランナー世論調査(アールビーズスポーツ財団調べ)
https://runnet.jp/project/enquete/2018/
・笹川スポーツ財団スポーツライフ・データ
https://www.ssf.or.jp/report/sldata/tabid/381/Default.aspx