歯ぎしり、知覚過敏から耳鳴りまで!噛み合わせは様々な症状の元凶だった

「顎がゆるめば、不調は改善される」(著: 滝澤聡明)より



歯ぎしりは無自覚に起こる場合も


「口の中を見ると、歯がすり減ってしまっていますね。歯ぎしりをする癖はありませんか?」


「いえ、歯ぎしりなんてしていないはずなんですけど……」


問診の際にそう話していた人に、寝ている間にマウスピースをつけてもらうと、翌月マウスピースに傷がついていたり穴が開いていたり……。それを見てはじめて「私、歯ぎしりしてたんだ!」と気づく患者さんはたくさんいらっしゃいます。


歯ぎしりはストレスや噛み合わせの悪さなどが原因で、本人が無意識のうちに繰り返していることがとても多い、いわば悪癖です。歯に力がかかりすぎていることで歯や骨が摩耗し、レントゲン写真で見たときに歯の周りの骨が透けて見えてしまうほど、深く噛みしめてしまっている場合もあります。


 


知覚過敏は歯磨き粉だけでは解消しない



歯ぎしりが引き起こす症状の1つに、知覚過敏があります。


むし歯じゃないのに歯が染みる。冷たいものや甘いもの、風や歯ブラシの毛先が当たっただけでも痛いというこの症状、みなさんも経験したことがあるのではないでしょうか。


もう何年も前から、テレビで知覚過敏専用の歯磨き粉のCMが流れ、むし歯や歯周病に次いでかなり一般化してきた歯科症状だと思います。あれだけCMが流れて薬局やドラッグストアにも必ずと言っていいほど置かれているのは、それだけ知覚過敏を感じる人が多いということですね。


しかし、知覚過敏用の歯磨き粉を使うのはあくまで対処療法。市販されているものはもちろん、それよりさらに成分濃度の高い知覚過敏材を使用して、クリニックでコーティングすることもあるのですが、結果的に歯ぎしりや噛みしめでそのコーティングもはがれてしまいます。


あくまで「染みるのを一時的に抑える」という対処療法なので、根本的な歯ぎしりや噛みしめを改善しないことには、決して安心できません。


 


知覚過敏が続くなら早めの受診を


知覚過敏用の歯磨き粉で磨いているのに、歯が染みるのが治らないと、「歯医者さんは知覚過敏だと言っていたけど、本当はむし歯があるのを見落としているだけなのでは?」と考える患者さんまでいます。


そうではなく、自分が毎日歯ぎしりをして噛みしめているからだということに、まずは気づいてほしいですね。特に「歯科医推薦!」などと書かれていると、それさえ使っておけば安心だと思って他の対策をとらなくなってしまう、これが一番危険です。


たしかに歯科医が勧めるものであれば一定の効果はあるはずですが、それで安心していてはいけません。


また、歯磨き粉で知覚過敏を抑え込んでいると、もっと怖いことが待っているかもしれません。むし歯じゃないのに歯が染みるというのは、歯が割れたり、亀裂が入ったりする前ぶれかもしれないのです。


兆候があるということは、身体が異変を検知したと教えてくれている証拠。


その小さなサインに気づかず、歯磨きだけしてごまかしていたら、ある日突然上下の歯が崩壊……という深刻な事態になることだってあり得ます。「私は大丈夫」と思い込まず、知覚過敏が長く続くようならきちんと受診・治療してもらいましょう。


 


いい噛み合わせ・悪い噛み合わせとは?



前回の記事「あなたの噛み合わせは大丈夫?予防歯科のススメ」でも噛み合わせについていろいろお話ししてきましたが、そもそも噛み合わせがいい状態・悪い状態というのはどういうことなのか? ということを改めてお話ししましょう。


噛み合わせがいい状態として参考になるのは、生まれて間もない赤ちゃんの口の中です。人間の下顎というのは頭蓋骨にぶら下がってる状態なんですが、赤ちゃんは歯が生えていないため噛み癖などがなく、筋肉や骨格のバランスが均一で非常にニュートラルな状態。これが噛み合わせの適正な位置なんです。


けれど成長に従って歯が間違った方向に生えてしまったり、むし歯で痛む歯を避けて食事を摂っていたり、歯ぎしりなどをすることで筋肉が変異し、徐々に曲がっていきます。


歩き方が悪いと、左右どちらかの靴だけ靴底がすり減りますよね。噛み合わせも、偏りがあると片側だけすり減るんです。するとだんだん顎や頬の筋肉も変わってきて、全体のバランスが崩れていきます。


右利きのテニスプレイヤーの筋肉が右側だけ張っていて、反対側の筋肉がしぼんでくるように、歯が左右どちらかすり減ったことで片側だけ頬の筋肉がしぼみます。これが噛み合わせの悪い状態です。顎も高い方から低い方へ、重力に任せてスライドするので、ズレてしまうんですね。


顔の中央に縦線を1本引いたとき、鼻の位置と、上唇の内側にある「小帯」の位置が線上に並ぶのが正常なんですが、それがズレてしまっている人は噛み合わせもズレている可能性が高いです。


 


噛み合わせが悪いとどんな症状が出るのか


では噛み合わせが悪いとどんな弊害があるのでしょうか。まず、ものをうまく噛めなくなります。左右のバランスがずれて、食事中などに口の中を噛んで傷つけてしまい、その傷が原因で口内炎になってしまうことも。


さらに顎全体が歪むので、見た目もアンバランスになります。テレビを観ていると、もともと顔立ちが整っているのに、口元だけ左右どちらかに曲がってしまっている女優さんやモデルさんは案外多いです。せっかくの美貌を、噛み合わせの悪さで損なっているのは非常にもったいないなと思いますね。


おせっかいかもしれませんが、周りの人は誰か指摘してあげないのかな? と、歯科医としては疑問に思ってしまいます。


また、噛み合わせが悪いことで、ひどいときは耳鳴りの症状が出ることもあります。


顎関節症になっている人も耳鳴りになる人は多く、悩ましい症状のひとつです。正しい噛み合わせができるようになれば、わずらわしい耳鳴りも治まるかもしれません。


 


噛み合わせを意識して様々な症状を改善しよう


噛み合わせの悪さがいかに様々な症状を引き起こすかお分かりいただけたと思います。日頃意識することの少ない噛み合わせですが、この機会にぜひご自分の噛み合わせをチェックしてみてください。









『顎がゆるめば、不調は改善される』

(クロスメディア・マーケティング)





情報提供元: BUSINESS LIFE
記事名:「 歯ぎしり、知覚過敏から耳鳴りまで!噛み合わせは様々な症状の元凶だった
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