『顎がゆるめば、不調は改善される』
(クロスメディア・マーケティング)
歯の健康を阻害し、ドライマウスを引き起こす意外な原因を3つ、ご紹介しましょう。
まずは、現代人の大敵であるストレス。
仕事や人間関係、生活面など、あらゆる場面でストレスは積み重なっていきます。
精神的にはもちろん、身体的にも大きく影響を与えますが、口腔内への影響も例外ではありません。
緊張状態になってグッと歯を噛みしめてしまうことで、歯や顎の骨にも負担がかかりますが、影響はそれだけではないんです。
結婚式でスピーチをしなければいけない、会社で重役の面々を前にプレゼンをしなければならないといった、大勢の前で話すシーンがあったとしましょう。
あがり症でなければいいのですが、多くの人はガチガチに緊張し、頭は真っ白、そして喉がカラカラになってしまい、話している途中で舌が回らずに噛んでしまう ……なんていうのはもはや〝お約束〟。
このとき口の中で何が起こっているのかというと、
緊張している=大きなストレス
がかかっていることによって、唾液の分泌量が一気に低下しています。
唾液には抗菌作用、口腔内の酸性を中性に戻す中和作用、舌や唇がスムーズに動くための潤滑作用など、さまざまな役割を果たしています。
唾液の分泌量が下がった状態が長く続くと、それらの作用が失われるのはもちろん、舌痛症になったり口腔内に傷がつきやすくなったりしますし、菌が繁殖して口臭も強くなったりと、実に悪いことだらけ。
いわゆるドライマウスの症状が出てしまいます。
当然むし歯や歯周病の原因にもなります。
さらに身近なもので、唾液を減らす原因になるものがあります。
それは風邪薬や抗生物質などの薬剤。
私もつい先日、風邪をひいて鼻水が出るので鼻炎薬を飲んで出勤したのですが、喉が渇いて話しづらいし、目までカラカラに乾燥してしまって、勤務中に非常に困りました。
鼻炎薬の中の鼻水を止める作用が、唾液や涙にまで影響してしまったんですね。
もちろん薬の種類にもよりますが、抗生物質などは唾液の分泌量に影響するものは多いので、副作用の1つとして「喉の渇き」が記載されている場合も珍しくありません。
女性は歯のホワイトニングや口臭ケアなど、男性と比べても日ごろから〝口元の美と健康〟に余念がない方は多いですよね。
しかしながら、40代、50代で一気に歯ぐきや顎の骨がダメになってしまう例は、実は女性に多い傾向があります。
歯の健康に性別が関係あるの?
と不思議に思うかもしれませんが、女性の場合はホルモンバランスが影響してくると考えられているんです。
「妊娠すると歯が悪くなる」と聞いたことはありませんか?
あるいは、実際に妊娠中や出産後にむし歯ができやすくなったり、歯周病にかかったりしたという人もいるのではないでしょうか?
女性は月経、妊娠、出産、閉経と、身体の成長・老化にしたがってホルモンバランスが大きく変化します。
妊娠・出産時などは特にバランスが崩れやすく、人によっては味覚が変わったり髪が抜けやすくなったりと、体質に変化が出る方も多いですよね。
同様に歯ぐきや骨にも影響が出やすくなっているのでは、と歯科の分野でも最近言われるようになりました。
逆に男性は妊娠も出産も経験しないので、ホルモンバランスの変化が少なく、影響を受けにくいと考えられています。
さらに女性は更年期になると女性ホルモンが一気に低下し、身体のほてりやイライラ、うつなど、いわゆる更年期障害の症状が出やすくなります。
閉経後は、女性ホルモンの分泌が減少することで骨粗しょう症にかかりやすくなり、歯を支える歯周組織の破壊を加速させてしまうこともあるんです。
こうした症例の中に、今後は「歯周病」や「歯ぐきの衰え」なども入ってくるかもしれませんね。
まだまだ歯科診療の認識が十分とは言えないのでいつになるかわかりませんが、症例として多く挙がるようであれば、追加される可能性はあります。
ホルモンバランスは年齢による身体の変化なので、避けることは難しいですが、
「以前に比べてむし歯や歯周病になりやすくなったな」と感じたら、
ホルモンバランスの乱れが1つの可能性として考えられることを、
女性のみなさんには覚えておいてもらえればと思います。
ドライマウスの症状が出たときの対策は、とにかく口の中を乾燥させないこと。
口の中は唾液で常にうるおっている状態が理想的なのです。
緊張するシーンなど症状が出やすいときは、口周りのマッサージや舌を動かす体操をこっそり実践して乗り越えましょう。
飲み物を持ち歩いておき、渇きを感じたらすぐに喉をうるおすようにするのもいいですね。