『一流の人はなぜそこまで、靴にこだわるのか? (Business Life)』
(クロスメディア・パブリッシング)
この記事では、失敗しない靴選びの方法をご紹介します。自分に合った靴を選ぶために、欠かせない知識ですので、お店に行く前に必ずこちらを覚えておいてください。
実際にお店で靴を試着する際のポイントは、次の5箇所です。これらがすべてOKであれば、是非とも購入の候補としましょう。
まず、自然に伸ばした指が靴のつま先の先端にぶつかってはいけません。歩く時に足は靴の中で少し前後するので、ここには若干の余裕=「捨て寸」が必要で、靴のスタイルで異なりますが、親指から約10~25mm程度確保するのが一般的です。
親指と小指が靴の側面から不要な圧迫を受けていては、窮屈過ぎるのですぐにダメと判断できます。一方で、そこに余裕があり過ぎてもいけません。指が靴の中で横滑りするので、歩く時に指の動きが不安定になってしまうからです。
また、上下にも指、特に親指と靴の天井との間に僅かな余裕が必要です。ここに多過ぎても少な過ぎても、指が上から圧迫されてしまうからです。
親指と小指双方の付け根同士を結んだ線の周辺(ここを「ボールジョイント」と言います)の位置や幅が、足と靴とで一致しなくてはなりません。ここは靴の横幅で一番太い個所であるとともに、足と指の動きの正にジョイントになる部分なので、合っていないと指が思うように動かせなくなるからです。この周辺がキツ過ぎてアッパーの革が横に飛び出ていたり、逆にゆる過ぎて履きジワが斜めに錯綜していたらアウトです。
また、レースアップ・シューズ(紐靴)を買われる際は、靴ひもを通す鳩目のある羽根の閉じ具合もチェックしてください。新品では靴紐を結びきった時に、一番かかと寄りの鳩目が左右に5~10 mm程度開いているのが理想です。
靴と足の土踏まずの位置や長さが一致している必要があります。全体としてゆる過ぎず、キツ過ぎず、土踏まずが靴のインソールとアッパーとで適度に支えられている感触を確かめてください。特に偏平足気味の人や、その逆の「ハイアーチ」と呼ばれる状態の人は、この確認を念入りに行いましょう。高い品質の靴は得てしてこのエリアが立体的にえぐれて成形されていて、靴メーカーの腕の見せ所の一つになっています。
また、ここのフィット感を改善するために、靴によってはこの部分の内側に「アーチサポート」と呼ばれるクッション材を備え付けている場合もあります。
くるぶし、つまり歩く際に足と脚とのジョイント部分の収まる場所ですので、ここも過度の余裕や食い込みは禁物です。あまり知られてはいないものの、靴メーカーにより造形のポリシーが大きく異なる個所であるため、足のこの部分との相性が良くない靴を履くと、靴の見栄えが悪くなるだけでなく、くるぶしに擦れて歩くどころではない激痛が走ります。そんな経験をお持ちの方も多いのでは?
さらに申し上げると、ここが鬼門になるのはレースアップ・シューズ以上に実はローファーのようなスリッポンタイプのものです。何せシューレース(靴紐)のような調整代がありませんので、足と靴との相性が悪いと「履き口が笑う」、つまりここがカパッと開いた状態で、醜く露出しがちだからです。
靴のここで足のかかと全体を、包むように適度に喰い付いているかどうかがポイントになります。ここがゆる過ぎると当然、靴が脱げやすくなる一方で、キツ過ぎると足のアキレス腱が圧迫され、はっきり言って歩けません。
具体的には、レースアップ・シューズでは「足を靴の前に押し付けて生じたかかとの余裕代」の中に手の小指を入れると、その第一関節あたりまでがキツ目に入る程度が最適です。かかとの抜けやすいスリッポンでは、この余裕代は更に少なめに考えます。
なお、ここの大きさや形状についても、靴メーカーごとに設計思想が大きく異なるため、足との相性の良いブランドを探す際の大きな目安になります。
さらには、次の2つの事柄も知っておくと、より確実に「ぴったり」な靴を見つけることができると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
昼は直立歩行して動き、夜は体全体を水平にして眠る人類の足のむくみは、一般的には重力の関係で足に水分や老廃物が溜まりがちな夕方に起こります。「靴は夕方に買え」と言われるのはそのためです。
実際には、朝にむくむ人も結構いるようですが、いずれにせよ1日の中で足がむくみがちな、つまり足が少し膨張する時間帯が誰にでもあるので、そこで靴を買うのがベストです。それが不可能でも、むくむ時とそうでない時との大きさの差を認識した上で靴を選ぶと、失敗するリスクが大幅に減ります。
実際に試着する時は、必ず複数のサイズのものを履いて、そこからベストなものを絞り込みましょう。より具体的には、「自分のサイズ」と皆さんが思っているサイズからハーフサイズ上辺りから、順にハーフサイズずつ下げていくといいでしょう。
例えばいつもはUKサイズで6のものをお履きでいらっしゃる方なら、UK6・5辺りから順にダウンサイズさせて試着していくのがお勧めです。今まで履いたことのない、新しいモデルのもののご購入を検討される際はなおさらです。
以上、実際の靴選びの重要ポイントの紹介でした。靴は基本、高価なもの。できることなら選ぶ際に失敗はしたくないものです。今回のポイントを押さえておけば、靴選びでの失敗もなくなるはずです。
ビジネスパーソンにとっては相棒とも呼べる靴。自分に合う靴を履くか履かないかで仕事のパフォーマンスが違ってくるといっても過言ではありません。ぜひ自分に本当にぴったりと合う大切な一足を見つけてください。