受賞作《Repetition and life: bud, P2424》は、反復によって生まれる秩序とズレを通じて、生命的な揺らぎを表現すると同時に、ポスターという形式そのものを問う作品です。3枚の同一ポスターを重ねることで、図と地の関係や画面の天地が曖昧になり、構造の全体像は一見して捉えづらくなっています。観る者が自ら注意深く読み解こうとする中で、ようやくその仕組みや意味が立ち上がってくるような作品となっており、ポスター表現の可能性を静かに拡張する試みです。
ゑ藤准教授は、多摩美術大学大学院博士後期課程修了後、佐藤晃一デザイン室、廣村デザイン事務所を経て、2016年 STUDY LLC.を設立。2018年に本学に就任。本学では、芸術学部デザイン学科に籍を置き、ビジュアルコミュニケーションを用いた魅力的な表現探求や適切な情報伝達・視覚化を演習や講義をとおして指導しています。研究面では、グラフィックデザイン固有の思考や表現を空間や環境へと展開することを実践しています。