合流式下水道内部イメージ図


現状写真


改善対策と障害表


課題一覧表

一般社団法人 産学技術協会(所在地:東京都千代田区、代表理事:須田 哲夫)は、2025年1月28日に埼玉県八潮市の県道で発生した崩落事故を受け、公表されている雨水の流入による劣化の進行メカニズムを再確認し、合流式下水道の延命化に向け住民協力で出来る具体的な対策を検討しました。本リリースでは、その調査結果を共有するとともに、延命対策の提案および関連する商品とその際の維持管理をご紹介いたします。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/427392/LL_img_427392_1.jpeg
合流式下水道内部イメージ図

当協会は、先日発生した崩落事故について、原因の調査が進められている段階ではあるものの、該当区間が分流式下水道であることを確認しました。分流式下水道は一般的に50年以上の耐用年数があるとされていますが、今回の事故はそれよりも8年早く発生しており、大きな衝撃を受けています。

東京都をはじめ、歴史的に発展してきた都市では合流式下水道が多く採用されており、雨水が流入することで管路の劣化が早まり、対応年数が分流式下水道に比べ約2割短縮されると言われていることから、これらの地域では、すでにいつ同様の事故が発生してもおかしくない状況にあると考えられます。

雨水が流入することで劣化が進む主要な要因としては以下の3点が挙げられます。
1. 豪雨時の内圧負荷(約40~50%の影響)
2. ウェットブラストによる管摩耗(約30~40%の影響)
3. 化学的腐食・閉塞(約10~20%の影響)

なお、硫化水素による化学的劣化、地震、及び地盤沈下等の外的要因は同等としています。
さらに、対応年数を短縮させる要因を分析した結果、以下の対応年数比較表のように分類されました。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/427392/LL_img_427392_7.png
対応年数比較表

合流式下水道が採用されている地域では、豪雨の回数が増えるたびに配管の劣化が進むと考えられます。その結果、近年の豪雨の頻発によって突然の道路陥没が発生し、人々が巻き込まれるリスクが高まっています。

配管の物理的劣化は、適切な維持管理を行えば一定の範囲で抑制が可能です。例えば、豪雨時の内圧負荷による劣化は、設計上概ね10%が想定されています。この問題は、異常気象の影響と考えられがちですが、もう一方で都市化による土壌の浸透率低下が大きく関与しており、雨水が即座に排水路へ流れ込むことが負荷増大の一因となっています。

2015年に制定された「雨水利用推進法」は、雨水の分散型貯水や時間差排水による内圧負荷の軽減も目的としていましたが、強制力の欠如や補助金制度の不備、さらに集水インフラへのゴミや薬剤の混入といった問題により、十分に普及していません。特に、現在の集水システムでは、雨水とともに固形物が下水道へ流入し、管内でウェットブラスト現象を引き起こし、さらなる劣化を促進する要因となっています。

さらに、雨水排水路の維持管理が適切に行われることで、雨水桝では蚊の繁殖に適した環境となり、都市部で蚊の個体数を増加させる一因ともなっています。蚊の繁殖を抑制するために薬剤の投入が行われていますが、降雨時に下水道へ流出しやすく、これが下水道管の化学的劣化や水質悪化を加速させる要因の一つになっています。

以上の検討を踏まえると、合流式下水道の劣化を促進する主な原因は、敷地内の雨水集排水路に雨水以外の物質が流入していること、豪雨の頻発にあると考えられます。したがって、合流式下水道の延命には、敷地所有者、及び利用者がともに雨水以外の流入を防ぐ対策を講じるとともに、敷地面積に応じた一時貯水を行うことで、分流式下水道に近い耐用年数を実現できると結論づけました。


■雨水と固形物を同時に流入させる現状の集水方法と維持管理

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/427392/LL_img_427392_2.png
現状写真

上記の現状写真が示しています。しかし、なぜ現在もなお、雨水と固形物を同時に流入させる非合理的な集水方法が続けられているのでしょうか。さらに、グレーチング上に残ったゴミの処理と、流入した固形物の処理を別々に行い続けている理由は何でしょうか。

この背景には、以下のような課題が存在します。

1. 技術的な要因
土砂や砂利を効果的に捕捉しつつ、排水能力を維持する製品がこれまで存在しなかった。

2. 認識の問題
グレーチングの上で堆積物を止めると、見た目の問題から「詰まりが発生している」という誤解を招き、維持管理者からのクレームにつながり、正しい認識が十分に共有されていなかった。

3. 慣習の継続
従来の方法を続ける方が波風を立てず、組織的な抵抗を受けにくいという意識があった。

4. 既得権益の問題
現行の維持管理システムを変更することで、一部の関係者の利益が損なわれる可能性があり、積極的な改善が進められなかった。

もしこれが世界に一点しかない骨董品であれば、人工物であっても丁寧に扱われるでしょう。しかし、日本は水資源が豊富である一方、雨による被害も多いため、雨水排水路に固形物が流入することに対する問題意識が低く、その結果、合流式下水道の対応年数が短くなっていることに気付いている人はほとんどいません。この事実は専門家の間では知られていましたが、一般の方々にはほとんど認識されていませんでした。

しかし、今回の事故を通じて、地下に広がる排水インフラの延命がいかに重要であるかが再認識されました。合流式下水道の維持管理を適切に行うためには、敷地の所有者や利用者が「配管内部を削る要因を流さない」意識を持つことが不可欠です。合流式下水道に対する配慮が高まることで、敷地内の雨水排水路への固形物の流入を防ぐ動きが促進されることが期待されます。

以下の改善対策と障害の表は、合流式下水道の耐用年数を短縮させている要因とその割合を示したものです。参考としてご覧ください。

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/427392/LL_img_427392_3.png
改善対策と障害表

上記表から読み取れる重要なポイントは、主要な3つの要因のうち2つが集水口から流入するものであるという点です。これに対する対策として、敷地内排水路の集水口を極細分別化し、グレーチング上の堆積物を適切に処理することで、理論上は100%の改善が可能であることが分かります(※予算の制約を考慮しない場合)。つまり、これは私たちの生活様式に起因する課題であり、適切な対策を講じることで十分に解決できる問題なのです。

この改善により、従来の物理的劣化要因のうち単純計算で50%が解消され、その結果、下水道設備の対応年数が概ね5年から10年延長されることが期待されます。さらに、敷地内排水路のもう一つの課題である蚊の繁殖も抑制され、これまで必要とされていたIGR剤(昆虫成長制御剤)の使用が不要になります。投入人員費や薬剤費などの経費が削減されます。

また、この対策により、雨水利用の普及を妨げていた課題である薬剤の流入や、集水インフラのゴミ詰まり・ゴミ処理の負担が解消されるため、雨水活用の促進にもつながります。そのため、雨水の貯留施設が増え土壌浸透の低下を補う対策としても機能することから、豪雨時の内圧負荷の減少にもなります。

このように、敷地内の雨排水路で集水時に固形物を適切に制御し処理することで、関連する問題が連鎖的に解決へと向かい、最終的には持続可能な都市環境の整備へとつながるのです。

なお、表に示された改善対策として、集水口の極細分別集水化や「サンドストップG」を導入することで、下記の極細分別集水化後の状況写真のような状態となり、合理的維持管理に改善されます。

画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/427392/LL_img_427392_5.png
極細分別集水化後の状況写真

もともと、下水道局も固形物の流入を防ぐよう呼びかけており、本製品の導入により、その方針と一致した形で下水道への負担を軽減することが可能となります。


■サンドストップGと分別集水マット(砂止めタイプ)のご紹介
このたび、グレーチング上に堆積する砂、砂利、落ち葉、枝、ゴミなどを効果的に捕捉し、極細分別化を実現する新たな商品として「サンドストップG」および既存グレーチング用の分別集水マット(砂止めタイプ)をご提案いたします。本製品の導入により、下記課題一覧表に示す(1)~(7)の課題を一挙に解決し、下水道の維持管理にかかる経費や人的負担を大幅に削減。結果として、インフラの長寿命化と省人化を実現し、持続可能な都市環境の整備に貢献します。

画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/427392/LL_img_427392_4.png
課題一覧表

サンドストップGは、グレーチングの製造過程において2種類のマットを一体化することで、優れた集水能力と固形物のキャッチ機能を両立した製品です。本製品を導入することで、雨排水路の設計上の勾配や排水断面を確保しながら、維持管理の効率化を実現できます。また、分別集水マット(砂止めタイプ)は、既存のグレーチングにサンドストップGと同等の性能を持たせるための後付け可能な部材です。現場での簡単な加工により、砂や砂利、落ち葉、ゴミなどの流入を抑え、雨水排水インフラの負担を軽減します。


■主な導入メリット
・合流式下水道の劣化抑制:固形物流入を防ぎ、設備の耐用年数を延ばす
・維持管理の省力化:清掃負担を軽減し、管理コストを削減
・環境負荷の低減:薬剤使用の削減、土壌浸透の確保による雨水利用の促進
・蚊の繁殖抑制:雨水桝の適正管理による衛生環境の向上

画像7: https://www.atpress.ne.jp/releases/427392/LL_img_427392_6.png
サンドストップG断面図

パンフレットリンク: https://sangaku.org/sand%20stopPamphlet20250211n.pdf


■推奨される設置場所
サンドストップGおよび分別集水マット(砂止めタイプ)は、最も合流式下水道に負担を掛けている場所でもある、以下のような落ち葉や砂が多く蓄積しやすい場所、人が集まりやすい環境に最適です。

公園、霊園:落ち葉や土砂の流入を防ぎ、環境維持をサポート
学校、公共施設、集合住宅、住宅地:安全で衛生的な排水環境を確保
介護施設、商業施設、屋外駐車場:雨天時の排水機能を向上し、管理負担を軽減
通勤・通学路、観光地、買い物エリア:人の往来が多い場所での水はけの改善


■集水性能に関する実証データ
下記のリンクより、サンドストップGの集水能力や、エアブロワーによる集水性能復旧検証(落ち葉編・砂編)をご覧いただけます。

[集水能力検証]
https://youtu.be/4KCzEgEumV8?si=L64f-l7EKc-ZE661
画像8: https://www.atpress.ne.jp/releases/427392/LL_img_427392_8.png
集水能力検証

[エアブロワーによる集水性能復旧検証(落ち葉編)]
https://youtu.be/XiT3cmmLptY?si=EI5gnJxJLCZ9swZb
画像9: https://www.atpress.ne.jp/releases/427392/LL_img_427392_9.png
落ち葉編

[エアブロワーによる集水性能復旧検証(砂編)]
https://www.youtube.com/watch?v=MDiIDpPXzkE
画像10: https://www.atpress.ne.jp/releases/427392/LL_img_427392_10.png
砂編

■ご支援のお願い
当協会は、公的機関に問題を提起し、その解決策を自治体に提案することを任務としています。
この活動をより強く推進するために、皆さまのご支援が必要です。

<賛助会員募集(年間一口 税込1,000円)>
以下のいずれかの理由で、私たちの活動を応援いただける方は、二次元コードより会員登録をお願いいたします。
・合流式下水道地域に住んでいる
・家族や親戚、知人が住んでいる
・仕事場がある、通勤・通学途中にある
・観光や買い物などで利用する機会がある
・環境保全のために貢献したい
ご支援リンク: https://my.formman.com/t/jQdw/
画像11: https://www.atpress.ne.jp/releases/427392/LL_img_427392_11.png
ご支援リンク

また、本商品を商業的に普及させたい方からのお問い合わせは、以下のメールアドレスより受け付けております。
Mail: sangaku.aiuto@gmail.com


「合流式下水道の物理的劣化要因をみんなで軽減させ、延命させませんか?」
本製品の導入により、下水道への固形物流入を防ぐことで、設備の物理的劣化を抑制し、対応年数の延長が可能となります。さらに、維持管理の負担軽減、雨水排水の適正化、蚊の繁殖抑制といった多面的な効果が期待できます。
私たちは、家族の幸せや未来を見据え、社会の基盤となるインフラを築いてきました。しかし、それを次世代に引き継ぐ前に、適切な維持管理を日常的に行う意識が十分に根付いていなかったのではないでしょうか。
「なぜ、劣化すると分かっていながら、延命対策を日常化しなかったのか?」
そう問われる未来を避けるために、今こそ私たち一人ひとりが意識を変え、下水道インフラの延命と持続可能な都市環境の実現に取り組む時です。
「サンドストップG」および「分別集水マット」の導入を通じて、よりよい未来を築いていけることを願っています。


■会社概要
商号 : 一般社団法人 産学技術協会
代表者: 代表理事 須田 哲夫
所在地: 〒102-0074 東京都千代田区九段南一丁目5番6号
りそな九段ビル 5F KSフロア
設立 : 2014年9月
URL : https://sangaku.org/


■本件に対するお問い合わせ先
サンドストップGで合流式下水道を守る事務局
Mail: sangaku.aiuto@gmail.com
情報提供元: @Press