b. 次に、本調査にてMMMの導入経験者にMMMの導入時期を聞くと、2020年の導入者が6.1%なのに対し、2021年は16.3%と約2.7倍になっており、2021年にMMMの導入数が急増したことがうかがえる結果となった。2020年にGoogle、Appleがサードパーティクッキー廃止を発表し、2022年3月には日本でも改正個人情報保護法が公布されたことで、サードパーティクッキーの代替手段としてMMMを導入・検討する層が増えたことが増加の要因の一つと推測される。MMM導入数は2022年以降も増加傾向にあり、MMMの市場自体は拡大傾向にあるものの、認知・導入状況を合わせて見ると、マーケティング業界全体にはいまだ十分に浸透していないことがわかる。
b. MMMの導入経験者に興味・関心層を加え、導入前、MMMに期待したことを聞いた。TOP3は、「最終成果(KGI)に直接つながる直接効果や波及効果(間接効果)を加味した分析ができる(25.6%)」「データを基に将来の最終成果(KGI)を予測できる(21.9%)」「認知度や指名検索数などの中間成果(KPI)ではなく、売上や販売数などの最終成果(KGI)に対するマーケティング効果を可視化できる(20.5%)」となっており、施策の直接効果だけではなく波及効果(間接効果)も加味した分析をおこない、精度の高い最終成果予測が期待されている。
c. さらに、MMM導入経験者に、MMM導入によって実現できたことを聞いた(*3)。上の「MMMに期待したこと」と比較すると、「最終成果(KGI)に直接つながる直接効果や波及効果(間接効果)を加味した分析ができる(24.1%)」は一定実現できているように見える。一方、「データを基に将来の最終成果(KGI)を予測できる(19.0%)」と「認知度や指名検索数などの中間成果(KPI)ではなく、売上や販売数などの最終成果(KGI)に対するマーケティング効果を可視化できる(17.7%)」は、期待に対して多少の落ち込みがあった。
a. MMMの導入経験者に興味・関心層を加え、MMMを導入する際に重視するポイントを聞いたところ(*4)、TOP2は、「分析結果の納得感や実務での活用のしやすさ(16.9%)」「提供企業のスキルの高さやマーケティング知識の豊富さ(12.6%)」となった。分析精度の高さや、マーケティング活動の実態に沿ったわかりやすく納得感のある分析が求められていることがわかる。
b. MMMの導入経験者に興味・関心層を加え、導入時の不安・懸念点を聞くと、第1位が「価格(費用対効果)(39.8%)」となり、価格が導入時の最大のネックになっていることがわかった。また、第2位が「レポートの内容(わかりやすさや示唆・提案の充実性)(30.3%)」、第3位が「分析結果の納得感や実務での活用のしやすさ(29.9%)」となっており、分析結果を理解し、施策へ落とし込めるかという点でも不安・懸念を感じていることがわかった。
c. 「MMMで分析できない新たな課題が出てきている」と回答した対象者に対してMMMで解決できない課題について聞くと、「予算配分の最適化はできるが、施策自体をどのように改善すればよいのかがわからない(20.0%)」「広告出稿後、数年~十数年にわたって最終成果(KGI)につながるブランド蓄積効果がわからない(20.0%)」がTOP2に挙がった。分析結果を得たあとに具体施策へ落とし込むフェーズと、ブランド蓄積効果の可視化に新たなマーケティング課題があると考えられる。