慢性腎臓病の治療介入の課題


腎機能悪化スピード予測アルゴリズムの狙い

株式会社JMDC(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:野口 亮、以下「JMDC」)は、高額な医療費がかかる透析移行の早期予防介入を目的とした「腎機能悪化スピード予測アルゴリズム」の研究開発を行い、当該アルゴリズムを活用した実装システムの特許を取得いたしましたので以下のとおりお知らせいたします。


■腎機能悪化スピード予測アルゴリズムについて
糖尿病性腎症を含む慢性腎臓病は、重症化すると人工透析が必要となり、患者にとって生活の質(QOL)低下となるだけでなく、公的医療保険制度に一人あたり年間約500万円の高額な医療費負担が生じます。慢性腎臓病は10年以上の長期にわたり徐々に進行する病気ですが、その進行速度は個人差が大きく初期時点でそれを判別することは困難なため、中等度以上まで進行してから本格的な治療が開始されるケースも多いのが現状です。その場合、一度失われた腎機能を回復することは難しいため、透析移行を数年遅らせることはできても透析移行自体を防ぐことはできない点が課題となっています。国としても、この度、糖尿病性腎症重症化予防プログラム(令和6年度版)改訂を行い、さらなる取組強化を図っているところです。

厚生労働省「糖尿病性腎症重症化予防プログラムの改定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38699.html

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/391374/LL_img_391374_1.png
慢性腎臓病の治療介入の課題

JMDCは、今回、透析移行自体を防ぐための予防介入の実現を目指し、慢性腎臓病の進行速度を予測する腎機能悪化スピード予測アルゴリズムの研究開発を行いました。世界的にも稀有な約12万人の腎機能値(eGFR)10年追跡データから、腎機能悪化スピードと多数の健康診断項目・投薬歴との関係性を機械学習で解析することで、予測アルゴリズムを構築しました。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/391374/LL_img_391374_2.png
腎機能悪化スピード予測アルゴリズムの狙い


■本件の特許について
発明の名称:情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
特許番号 :特許第7443613号
登録日 :令和6年2月26日
発明者 :齋藤 知輝(JMDC)
尾谷 和則(JMDC)


■当アルゴリズムのエビデンス獲得について
腎機能悪化スピードは予測が難しいことがアカデミアの世界でも知られており、当アルゴリズムは新規性の高い研究と考えています。予防医療の新たな領域を切り拓くにあたりエビデンス獲得は重要であるため、論文を執筆し学術誌に投稿しました。また、論文原稿は医学論文のプレプリントサーバーである「medRxiv」にて公開されました。
論文URL: https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2024.03.30.24305107v1
※本論文原稿は査読を経ていないプレプリント段階でのものであり、今後、内容が修正される可能性があります。


■今後の展開
エビデンス獲得に向けた取組とあわせて、自治体や健康保険組合の保健事業への具体展開の準備を進めてまいります。当アルゴリズムの活用により、慢性腎臓病の初期段階で進行速度が速い人に積極的な介入を行う保健事業の実現を支援することで、患者本人のQOL悪化の緩和・回避と健康寿命延伸に貢献するとともに、慢性腎臓病の重症患者・透析移行患者の減少を通じた国民医療費の健全化に寄与することが可能であると考えております。
今後も引き続き、JMDCが有する多様なデータを活用したアルゴリズムの研究開発と社会実装を通じ、「社会課題に対しデータとICTの力で解決に取り組むことで、持続可能なヘルスケアシステムの実現」というJMDCの描く未来の実現に資する取組を推進してまいります。


【株式会社JMDCについて】
医療ビッグデータ業界のパイオニアとして2002年に設立。独自の匿名化処理技術とデータ分析集計技術を有しています。12億5,500万件以上のレセプトデータと6,200万件以上の健診データ(2024年3月時点)の分析に基づく保険者向け保健事業支援、医薬品の安全性評価や医療経済分析などの情報サービスを展開しています。また、健康度の単一指標(健康年齢)や健康増進を目的としたWebサービス(Pep Up)など、医療データと解析力で健康社会の実現に取り組んでいます。
URL: https://www.jmdc.co.jp/
情報提供元: @Press