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管理栄養士 濱裕宣先生
年末年始、すでに忘年会シーズンがスタート。コロナ禍も明け、今年の年末やお正月には思い切りお酒を飲んでしまおう、という方も多そうですが、未だ人類が解決できていない症状…二日酔いの脅威をお忘れではないでしょうか?
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大正製薬株式会社が2023年12月に全国の20代~60代の男女1000人を対象に「実際に行っている二日酔い予防対策」をきいたところ、トップ5は「水を一緒に飲む(440人)」、「飲む前に少し食べる(346人)」、「会話を楽しみながらゆっくり飲む(155人)」、「アルコール度数の低いお酒やウコンハイなどのお酒を選ぶ(130人)」、「ウコンやタウリン・を含む栄養ドリンクを飲む(126人)」の順でした。
また、予防対策として食べているおつまみや食事に限ると、トップ5は、「豆腐、枝豆などの豆類を食べる(121人)」、「味噌汁を飲む(84人)」、「肉系のおつまみを食べる(81人)」、「タコ、イカ、魚などの魚介類系のおつまみを食べる(73人)」、「揚げ物系のおつまみを食べる(70人)」となっていました。
皆さんの二日酔い対策は、ほんとうに効果的でしょうか? お久しぶりの全力飲酒で翌朝後悔しないよう…いまいちど、二日酔い対策をしっかりおさらいしておきましょう。
栄養に詳しい東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部長で管理栄養士の濱裕宣先生に、二日酔い対策になる栄養素と、それらを摂取できるおつまみメニューをうかがいます。
【調査概要】
調査名称:二日酔い予防対策に関するアンケート 調査機関:Freeasy
調査対象:全国の20代~60代の男女1000人(年齢・性別 均等割付) 調査方法: Webアンケート
調査日:2023年12月20日〜2023年11月21日
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管理栄養士 濱裕宣先生
【監修】管理栄養士 濱裕宣先生
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 部長
『その調理、9割の栄養捨ててます!』や、レシピ本『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』など多数の栄養、健康レシピ本にかかわる。日常生活のなかで活かせる健康と栄養バランスを大事にし、日ごろから患者の立場に立った食生活の向上指導にあたっている。
二日酔いの歴史は古く、旧約聖書の時代からその記述があったそうです。二日酔いの診断基準などははっきりとは示されていません。代表的な症状は、頭痛・胃腸症状・睡眠障害・感覚や認知の障害・うつ気分・自律神経症状など多岐に渡ります。二日酔いのメカニズムの全貌は、実は完全には解明されていません。軽度の離脱症状(アルコール依存症に伴う離脱症状の軽症・短時間版)、ホルモン異常・脱水・低血糖・炎症反応の亢進・睡眠や生体リズムの障害・アセトアルデヒドの蓄積・胃腸障害・メタノールによる影響・酒に含まれる不純物など、さまざまな要因の可能性が探られています。
アルコールの分解には大量の水と酸素も必要です。かつ、アルコールを摂ると、アルコールを体外に排出しようとして利尿作用が働き、尿で大量の水分が失われます。この経緯により、脱水状態を引き起こすこともあります。
身体が脱水を起こすと、通常大量の水分を蓄えている筋肉がこわばってつってしまったり、脳血流も減ってしまったりすることで頭痛につながることも。二日酔いの頭痛や倦怠感の原因が脱水である可能性もあります。
アルコールの血中濃度を急激にアップさせないような食べ方も重要です。
胃がからっぽだとアルコールが胃から小腸へすぐに移動してしまい、小腸から一気に吸収され、アルコール血中濃度が急上昇してしまい悪酔いにつながります。胃にアルコールがとどまる時間を長くし、ゆるやかに小腸へ送ることが重要。
胃で食べ物などが滞留しやすくなるのは、実は「油分」の多いもの。油は実は、消化管ホルモンを分泌させ、胃を活性化してくれるはたらきもあります。血糖値を急激に上げないけれども油も適度に入っているものを飲み会の序盤に摂るのも意外におすすめなのです。
肝機能力を高め、アルコール分解をサポートしてくれる食品の代表が、カキやタコ、イカ、ハマグリ、アサリ、シジミなどの魚介類ですが、これらには「タウリン」が豊富に含まれています。タウリンは、肝臓の胆汁酸分泌を促し、アルコールを分解して体外への排出を促す解毒作用を持つことが示唆されています。また、近年では免疫機能の向上にも役立つことがわかってきているので、免疫機能を下げてしまいがちな飲酒シーズンには積極的に摂りたい栄養素。
タウリンは水に溶け出しやすい性質があるので、魚介類の煮物や汁物の汁も一緒に摂ると、タウリンを十分に摂取でき、二日酔い予防に効果的です。水分を摂ることで、脱水を防ぐ働きも期待できます。
ウコンとはカレー粉に含まれる黄色い「ターメリック」のことです。ウコンに多く含まれる成分「クルクミン」には、胆汁の分泌を活発にし、肝臓の働きをサポートする作用があります。アルコール分解能力を高め、アセトアルデヒドの分解を促進します。ただし、ウコンを一度に大量摂取すると逆に肝障害を起こすこともあるので摂りすぎに注意しましょう。
肝臓の解毒を助ける働きがあり、強力な抗酸化作用を持つことでも知られています。豚のレバーや牡蠣、アボガド、トマト、ブロッコリーなどに含まれます。
卵に含まれていることで有名なメチオニンは、肝臓でアルコールを分解する際に必要なアミノ酸。二日酔いの薬にも入っている成分です。 卵は実は痛風などの要因になるプリン体もゼロなので、アレルギーでない限り安心して取り入れたい優秀な食材。
肝臓でアセトアルデヒドを分解する成分が含まれており、肝機能を改善する働きがあります。また、血中に残った毒素を分解したり、頭痛などの緩和にも効果があったりするといわれ、しじみや枝豆、きのこ類に含まれます。
●枝豆
居酒屋でもよく見る枝豆は、優秀なお酒のパートナー。アルコール分解をサポートするといわれるビタミンB1、ナイアシンや、肝臓を活性化させるといわれるメチオニン、オルニチンを含んでいます。お酒を飲む前に枝豆を食べるのはおすすめなのです。
●オイルをかけたカルパッチョ
オリーブオイルのかかった魚介類のカルパッチョを最初に食べるのは、前述のオイルファーストの観点で実は理にかなっているのです。魚介類にはタウリンも豊富なので、肝臓も活性化できます。唐揚げやフライドポテトもオイルという点では良いのですが、小麦やじゃがいもは血糖値を急激に上げてしまう炭水化物でもあるので、いちばん最初には不向きです。
●タコとブロッコリーのアヒージョ
タウリン豊富なタコと、グルタチオンを含むブロッコリーにオリーブオイルをかけたアヒージョ風も、食前におすすめの一品。
●イカのカレー炒め レモンがけ
クルクミンを含むカレーで味付けしたイカのカレー炒め。イカにはタウリンが含まれるため、アルコール分解効果が期待できます。また、レモンにふくまれるビタミンCも肝臓の代謝を助けるので、レモン汁をかけるとより良いです。
●だし巻き卵の大根おろしがけ
メチオニンの宝庫、だし巻き卵はぜひ取り入れましょう。大根おろしも一緒にとると、大根に含まれる消化酵素で、デンプンを分解してくれるアミラーゼ(ジアスターゼ)が消化を促進し胸やけや胃もたれを防いでくれるのでよりおすすめです。
●しじみの味噌汁
しじみはオルニチンやタウリンを含み、肝機能を助けてくれます。塩の入った汁物は、効率よく吸収されて水分補給にもなります。ただし、高塩分だと脱水を促してしまう可能性があるため、薄味がおすすめ。
【大正製薬レター】年末年始忘年会シーズン二日酔い対策.pdf
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