コロナ、テレワークの影響について(単位:件数)


コロナ、テレワークの影響を受けた悩みの内訳について(単位:%)


相談者の属性割合と昨年比較(単位:%)


悩みの項目別割合と昨年比較(単位:%)

働く人の心の問題解決を支援する「産業カウンセラー」を養成する一般社団法人 日本産業カウンセラー協会(代表理事:田中 節子)では、世界自殺予防デーにあわせ、9月9日(金)から3日間、全国23か所で「働く人の電話相談室」を開設、産業カウンセラー資格を有する専門家が各地で相談にあたりました。
今年で16回目を迎えた「働く人の電話相談室」は、電話では話しにくい、気軽に相談をしたいという声にも応えて、今回初めてSNSによる相談窓口を設置し、若い層からの相談が多く寄せられました。新型コロナウイルスによるテレワーク化などの影響については、昨年に比べると大きく割合が減少しています。期間中に寄せられた延べ223名、369件(※相談者からの主訴を最大3つまで選択する方式として集計)の相談から、その相談内容を集計し結果をまとめましたのでご報告いたします。
3年目となったコロナ禍の影響は引き続き尾をひきながらも、少しずつ社会が日常に戻りつつある中で、昨年までと比べて相談件数、割合ともに大きく減少しました。環境に慣れてきた、あるいは収束傾向に安堵しているという見方も考えられる一方、厳しい企業経営環境を反映してか、キャリアに関する相談の割合が高くなっています。また、「正規社員」の方からの相談が件数、全体割合とも昨年からさらに増加し、特に職場でのハラスメントに対する割合が増えています。今回初めて導入したSNSによる相談には、20代から40代を中心とした若い世代から多く相談が寄せられました。


<第16回「働く人の電話相談室」の結果 主なポイント>
・コロナ、テレワーク慣れでコロナ関連相談減少も不安定な経済背景にキャリアへの悩み突出
・正規社員の相談が増加、職場でのハラスメントが増加も
・初のSNSによる相談に20代から40代中心に利用者顕著


■コロナ、テレワーク慣れで関連相談減少する一方、経済環境の影響でキャリアへの悩みが顕著
相談の対応にあたっては、3年目に入ったコロナ禍の影響と、それに伴って拡大したテレワーク環境が相談内容にも影響があったのかを確認しています。コロナ感染症そのものについては収束化の傾向も見えてくる中で職場環境もそれに順応し、徐々に不安の解消と、コロナ慣れが進んでいると思われます。しかし今年になって感染症だけでなく戦争や、円安の影響による物価高も加わっているためか、先行きが見えない経済環境から自身のキャリアへの不安を訴える割合が昨年より増加しています。
また大企業を中心に進んだテレワーク環境が定着する一方、夏以降は徐々にテレワークから通常の体制である対面による勤務へと戻る企業も増えたことも影響したと思われます。


<コロナ、テレワークの影響について>

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/333763/LL_img_333763_1.png
コロナ、テレワークの影響について(単位:件数)

<コロナ、テレワークの影響を受けた悩みの内訳について>

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コロナ、テレワークの影響を受けた悩みの内訳について(単位:%)

■正規社員の相談が増加、職場でのハラスメントも増加へ
相談者の属性割合は正規社員が昨年に比べ約1.4倍に増加しています。相談内容の項目では「職場の悩み」(43.6%)が例年通り高く、ついで「自分自身に関する悩み」(14.6%)が昨年に比べて増加しています。

<相談者の属性割合と昨年比較>

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相談者の属性割合と昨年比較(単位:%)

<悩みの項目別割合と昨年比較>

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悩みの項目別割合と昨年比較(単位:%)

■初のSNS相談の利用者は20代から40代が中心
今回よりSNSを活用した相談に取り組みました。SNSの利用が日常化している今、いつでもどこからでもアクセスできるSNSを相談に活用することで、電話では言いにくいことや、周りの環境を気にせずに相談することができるなど、SNSのメリットを活かすことができました。今年は電話も含めた全体の相談数の3割近くがSNSに寄せられました。電話利用者は30代から50代が中心、SNSは20代から40代が主で(※)、より若年層にSNS利用者がシフトしていることがわかりました。
※年代不明者を除く

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電話、SNS相談の割合(単位:%)

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電話、SNS相談の割合(年代別割合)(単位:%)

■女性、30代から50代の働き盛りの相談割合が大きく増加
女性からの相談割合が全体の6割を越えました。相談者全体では30代から50代が中心となっているのは昨年と同様ですが、今年は若年層へのシフトが見られました。

<男女別相談者の割合>

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男女別相談者の割合(単位:%)

<SNS、電話相談の男女割合>

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SNS、電話相談の男女割合(単位:%)

<年代別相談者の割合>

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年代別相談者の割合(単位:%)

■対人関係とキャリアに関する悩みが増加
最も割合の高い「職場の悩み」は昨年と同様「職場の人間関係」(46.0%)でしたが、「パワハラ」(14.3%)が約1.4倍増と職場環境における課題を表しています。また「自分自身に関する悩み」(14.6%)が同じく1.5倍程度増加していることから、悩みの問題点がより内省化しているともいえます。
「キャリアに関する悩み」では「就職・転職・退職」(46.7%)とコロナ禍で停滞する経済や社会状況も反映して、不安要素となっていると思われます。

<「職場の悩み」項目別相談比率>

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「職場の悩み」項目別相談比率(単位:%)

<「自分自身に関する悩み」項目別相談比率>

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「自分自身に関する悩み」項目別相談比率(単位:%)

<「キャリアに関する悩み」項目別相談比率>

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「キャリアに関する悩み」項目別相談比率(単位:%)

【2022年度「働く人の電話相談室」実施概要】
●実施日時:2022年9月9日(金)~11日(日)午前10時~午後10時
●実施場所:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会13支部23拠点
●実施方法:フリーダイヤルによる電話およびSNSによる受付
●集計総数:延べ223名、369件

●集計方法:相談内容をA~Hまで8つのカテゴリーに分類、それぞれのカテゴリー内に最大11個の項目を設定し、相談者からの主訴を1つから最大3つまでを選択する方式として集計した。また、カテゴリーA『職場の悩み』のうち、(1)職場の人間関係、(2)セクハラ、(3)パワハラ、(4)その他のハラスメント、の4項目については、悩みの対象が誰なのか「1 男性」「2 女性」、相談者との関係性「1 上司(役員含め)」「2 部下」「3 同僚」「4 非正規社員」「5 その他・不明」と細分化し、項目の選択から悩みの内容を類推できるようにした。


【日本産業カウンセラー協会について】
日本産業カウンセラー協会は、1960年に創立、1970年に社団法人として認可され、60年を超える歴史と実績があります。主な事業としては産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの育成、企業・団体向けの研修や相談、個人向けの電話相談活動など多岐にわたります。

所在地 : 〒105-0004 東京都港区新橋6-17-17 御成門センタービル6階
代表理事: 田中 節子
URL : https://www.counselor.or.jp/
情報提供元: @Press