本実証実験システム概要図


測定点ごとの粒子拡散状況確認


生菌数測定条件


生菌数

株式会社空間除菌(代表取締役:森久 康彦)、東洋熱工業株式会社(代表取締役社長:芝 一治)、新晃工業株式会社(代表取締役社長:末永 聡)、株式会社NSFエンゲージメント(代表取締役社長:廣松 茂)は、食品添加物、殺菌料メーカーである本部三慶株式会社(代表取締役:合田 学剛)と、コンサートホール「Zepp」(ゼップ)を運営する株式会社Zeppホールネットワーク(代表取締役:上原 昌)の協力のもと、「Zepp Haneda(Tokyo)」※1(東京都大田区)において、既存の空調設備に付設する大空間向け除菌システムの実用化に向けた実証実験を実施しました。



新型コロナウイルス感染が再拡大する中、ホールや劇場、商業施設やオフィスビルなどの大空間における感染対策としては換気が有効とされていますが、換気に加えてさらなる感染の予防策に対するニーズが高まっています。空間除菌、東洋熱工業、新晃工業、NSFエンゲージメントの4社は、大空間における安全・安心な室内環境の提供を目指し、空調設備向け除菌システム(以下、本システム)を新たに開発。3,000人規模のコンサートホール「Zepp Haneda(Tokyo)」で2020年9月より実証実験を複数回にわたって実施し、有効性を確認しました。



本実証実験では、本部三慶が製造特許※2を有する「クロラス酸水」(亜塩素酸水)を採用しています。クロラス酸水は、食品工場や飲食店・スーパーマーケットなどで実績のある除菌剤で、多様な細菌・ウイルス・カビに対して優れた除菌力を有し※3、噴霧での除菌効果も第三者機関によって実証されています※4。アルコールや次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸水に比べて水や汚れの影響を受けにくく、その効果が穏やかに長続きするのに加え、手肌に優しく、金属が錆びにくく、布も変色しにくいのが特徴※5です。

本システムは、空間除菌が開発した専用の噴霧ユニットによってクロラス酸水の微細なミストを生成します。独自の特許技術によって一般的な加湿器では難しい0.3~0.5μmの粒子径を実現、空気中で落下しにくく拡散するため、空間で長く滞留することができます。このミストを既存の空調設備を介して空間に行き渡らせることで、大空間の空気中に浮遊する細菌やウイルスなどの除菌を行うものです。



4社は今後も共同で「Zepp Haneda(Tokyo)」などにおいて実証実験を継続して最適化の考察などを行い、ホールや劇場、オフィス、工場などの大空間における空気感染予防対策として、本システムの製品化を目指していきます。





■実証実験の概要・結果

1.目的

空調設備に付設する大空間向け除菌システムの有効性の検証



2.本システムの概要

対象室内体積:11,920m3

外気量 :93,800m3/h

換気回数 :7.9回/h



1階客席を中心としたホールおよびステージ部(床面積:1,023.6m2、天井高:11.6m)は4台の空調機でカバーしている。各空調機に複数台の噴霧ユニットを付設し、ダクトを介してクロラス酸水の微細なミストをホールの空間に供給させる。



画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/233074/LL_img_233074_1.jpg

本実証実験システム概要図



3.具体的な検証結果

●空調設備を介したクロラス酸水のミストの大空間への噴霧

4台の空調機に付設された計12台の噴霧ユニットを同時に稼働させ、30分噴霧した後、30分休止する間欠運転を繰り返し、1階客席(北、中央、南)、ステージ中央、2階客席中央にて、ホール内の空気中に浮遊する粒子をサイズごとに測定した。

その結果、クロラス酸水の微細なミスト、特に0.3ミクロンの粒子径のミストが空調設備を介してホールの大空間に到達し、換気によって減少していくことを確認。各測定点での測定値に差があまりないことから、クロラス酸水のミストがホール全体に行き渡っていることがわかる。



画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/233074/LL_img_233074_2.jpg

測定点ごとの粒子拡散状況確認



●空間の容積および空調による換気量に対するクロラス酸水の噴霧量の最適化

4台の空調機に付設された複数台の噴霧ユニットの運転条件を変えながら、1階客席中央にて、ホール内の空気中に浮遊する粒子をサイズごとに測定した。

その結果、クロラス酸水の微細なミスト(0.3~0.5ミクロン)について、換気による減少を相殺しながら増減を平準化させる運転条件を特定できた。



●大空間におけるクロラス酸水(濃度:200ppm)の噴霧による空気中の細菌やウイルスなどの除菌・不活性化

噴霧前、噴霧後において複数回にわたりホール内の空気を採取し、菌数を測定(1m3当たりの菌数を希釈倍率に応じた乗数で計算)。測定:株式会社HACCPジャパン



噴霧を開始した11:00から1時間後には効果が顕著に確認されはじめた。最も大きな減少率が表れた時間(13:15)で噴霧前(10:45)と比較すると90.9%の減少、最大菌数の時間(11:15)と比較すると93.3%の菌数減少が見られた。オーダー数(桁数)の減少が見られることから、一定時間経過後におけるクロラス酸水の噴霧による大空間での除菌効果が得られていると考えられる。

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/233074/LL_img_233074_3.jpg

生菌数測定条件



画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/233074/LL_img_233074_4.jpg

生菌数



4.各社の役割

●空間除菌:専用噴霧ユニットの開発

●東洋熱工業:空調設備における各種検証、本実証実験にともなう工事など

●新晃工業:空調設備における各種検証など

●NSFエンゲージメント:本実証実験の計画立案およびとりまとめ、製品開発



●株式会社空間除菌について

株式会社空間除菌は、空間を除菌する設備機械、およびその周辺材料、機器、サービスの企画開発製造販売に特化した専門メーカーです。2016年からクロラス酸水の専用噴霧器を開発、2020年3月より販売し、大手食品メーカーなどの製造現場や飲食店をはじめ、さまざまな企業・自治体に導入されています。

本社:東京都千代田区



●東洋熱工業株式会社について

東洋熱工業株式会社は、1937年創業の空気調和設備、給排水衛生設備(合せて空調衛生設備)の設計・施工・アフターメンテナンスを行う総合エンジニアリング企業です。人々が快適に生活できる環境を作る、一般のオフィスビル、病院、学校などの空調衛生設備や、工場施設などの「工場の製品に対する空調」として、工業用クリーンルームやバイオクリーンルーム・省エネルギーシステム・氷蓄熱システムなどにより、高度な生産空間を提供しています。

本社:東京都中央区



●新晃工業株式会社について

新晃工業株式会社は、大型ビル・施設、工場・研究所、病院・学校などで使用される業務用空調機器で国内シェアトップの専業メーカーです。研究開発から設計、製造、販売、保守、リニューアルまで、一貫した体制を確立しています。

本社:大阪市北区



●株式会社NSFエンゲージメントについて

株式会社NSFエンゲージメントは、株式会社NTTファシリティーズとソニーコーポレートサービス株式会社(現ソニーピープルソリューションズ株式会社)のファシリティマネジメント&ワークプレイスソリューション事業などに関する合弁会社です。「日本の総務を再定義する」ことをミッションに掲げ、「場から人をエンゲージメントする」というビジョンのもと、「働きたい」と「働きやすい」のために、オフィスから開発・製造現場まで、さまざまな“場”の企画・マネジメント・運用をワンストップで提供します。

本社:東京都品川区





【ご参考】

NSFエンゲージメントの感染症対策ソリューション「coe's air」(コーズ・エア)紹介ページ

https://www.nsf-e.com/coes/air/index.html





※1:Zepp Hanedaについて

東京・羽田の複合施設HANEDA INNOVATION CITY内に2020年夏にオープンしたコンサートホール。収容人員は「Zepp」ホール最大級の3,000人。URL: https://www.zepp.co.jp/hall/haneda/

※2:特許No.5823422・6093799

※3:すべての細菌やウイルスを除菌できるわけではありません。

三慶グループ作成、広島大学実施「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化(除去)効果確認試験の報告書」第1報(2020年6月21日) https://www.sankei-group.com/corona 、第2報(2020年8月31日) https://www.sankei-group.com/corona2 、国立医薬品食品衛生研究所「平成27年度 ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書」(2016年5月13日発行) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000125854.pdf 、第40回 日本防菌防黴学会 年次大会「亜塩素酸水の殺菌効果について」(11Aa-02)(2013年9月11日 香川大学医学部分子微生物学、本部三慶の発表) https://www.sankei-group.com/lp_40th_saaaj 、厚生労働省薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会「亜塩素酸水の新規指定の可否に関する薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会報告書(案)」(2011年5月11日発行) https://www.mhlw.go.

jp/stf/shingi/2r9852000001c3qh-att/2r9852000001c7et.pdf に基づく。

※4:(一財)北里環境科学センターによる亜塩素酸水の噴霧による浮遊菌・ウイルス・カビの抑制試験 https://dvac.co.jp/3.test_report_01.pdf

※5:亜塩素酸水8000ppm(本実験の40倍の高濃度)の安全データシートより https://dvac.co.jp/documents/klorus_sds_1kg.pdf

情報提供元: @Press