「働き方に関する価値観」全体分布


働き方改革施策に関する期待度/男女別


働き方改革施策に関する期待度/結婚


働き方改革施策に関する期待度/子どもの有無

組織・人事コンサルティングを手掛ける株式会社シンカ(本社:東京都港区、代表取締役社長:田中 裕也)は、首都圏の中小企業で働く正社員1,000人以上を対象に「働き方に関する価値観アンケート」を実施しました。その結果、一般的に信じられていた「『結婚』『子どもが生まれる』などのライフイベントは働き方への意識に大きく影響する」との見方は誤りであることがわかりました。





◆結果概要

★働き方改革施策への期待度はライフイベントではなく、働き方に関する価値観(労働価値観)で比較したほうが大きな差があった

★労働価値観は、年齢・ライフイベントなどの属性によって大きな差異はなかった

★属性で労働価値観に大きな差異が見られないことから、その人がもともと持っている価値観は外的要因で変化しにくいことが推測される。つまり企業にとっては、「もともと勤労意欲の高い人」の採用・育成・定着を図ることが重要だと考えられる

★働き方改革の文脈においては、自社の従業員がどのような労働価値観を持っているかを把握し、対象を見据えて投資をすることが大切である





◆調査の背景

働き方改革関連法が今年4月から順次施行され、中小企業においても、時間外労働の上限規制が2020年4月から、同一労働同一賃金が2021年4月からそれぞれ適用となることが決まっています。こうした状況下において、中小企業の経営者にとっても働き方改革に関する対応は事業運営上の必須事項であり、従業員が高いロイヤルティを維持できる組織づくりが急務となっています。

そこで、「フレックスタイム」「テレワーク」「兼業・副業の解禁」など、働き方改革において取り上げられることが多い施策(働き方改革施策)について、中小企業の従業員が何を求めているのかを調査しました。この結果を回答者の属性(性別・年代・結婚・子供有無・管理職・年収)や労働価値観と照らし合わせて分析し、属性や労働価値観によって希望する働き方改革施策が異なるかどうかを調べました。





◆調査概要

回答者 :従業員300名以下の企業に勤める20~50代の正社員の男女1,032名

(大卒以上/一都三県在住者)

調査期間 :2019年10月31日~2019年11月5日

調査方法 :インターネット調査

調査委託先:株式会社マクロミル

※本リリースによる調査結果をご利用いただく際は、「シンカ調べ」と付記のうえご使用くださいますようお願い申し上げます。





◆属性別に見る働き方改革施策の活用・改善要望

調査では、働き方改革施策として「フレックスタイム」「テレワーク」「兼業・副業の解禁」など11の具体的な施策をピックアップ。20~50代の男女各516名の回答者に、それぞれの施策について期待度の度合いを5段階で尋ねました。



画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/200153/LL_img_200153_2.jpg

働き方改革施策に関する期待度/男女別

働き方改革施策に関する期待度を男女別に比較したところ、男性は「勤務時間インターバル制度」や「残業・休日出勤改善」への関心がやや高く、女性は「兼業・副業」や「テレワーク」がやや高いことがわかりましたが、全体的に男女間で顕著な差は認められませんでした。





画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/200153/LL_img_200153_3.jpg

働き方改革施策に関する期待度/結婚

既婚者は「フレックスタイム」や「定年制廃止」への期待度がやや高く、未婚者は「兼業・副業」への期待度がやや高いことがわかりましたが、他の項目については大きな差異はありませんでした。





画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/200153/LL_img_200153_4.jpg

働き方改革施策に関する期待度/子どもの有無

全体的に、子どもを持つ働き手のほうがより多くの働き方改革施策を求めていることがわかりましたが、子どものいない回答者との差はわずかであり、一般的に信じられているような「子どもを持つと仕事への取り組み方や考え方が変わる」といった現象はそれほど起こっていないことがわかりました。





画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/200153/LL_img_200153_5.jpg

働き方改革施策に関する期待度/世代

働き方改革施策への期待度を年代別に分けてみると、ある程度はっきりとした差が見えてきました。20代・30代は「フレックスタイム制」「兼業・副業」「テレワーク」「ワークシェアリング」といった自由度の高い働き方、自分の強みを生かした働き方を求める傾向が高く、40代・50代は「定年制廃止」を除けば、全体的に働き方改革施策への期待度が高くないことがわかります。一概には言えませんが、40代・50代の働き手はこれまでの働き方が当たり前のものとして身についているため、若い世代に比べれば職場環境に関して不満を感じていないことを表しているものと思われます。



このほか、「管理職/平社員の別」「年収」といった属性でも働き方改革施策に対する期待度の高さを比較しましたが、特に目立った差異は見られませんでした。





◆労働価値観の違いで見る働き方改革施策の活用・改善要望

「年代」を除けば、回答者の目に見える属性(性別・結婚・子供有無・管理職・年収)と働き方改革施策への期待度との相関関係はそれほど顕著には見られなかったため、今度は回答者の労働価値観と働き方改革施策への期待度との関係性を比較してみることにしました。





画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/200153/LL_img_200153_1.jpg

「働き方に関する価値観」全体分布

回答者には、「自分の能力や経験を活かして、新たなものを生み出したり、新たな市場を開拓していきたい」「お金を稼いでお金持ちになりたい」「出来る限り趣味や友人に時間を費やしたい」など、労働価値観を問う18の質問に対して「まったくその通り」から「まったくそうは思わない」まで5段階で答えてもらい、それをもとに分布図を作成しました。



縦軸は、上に行けばいくほど仕事に対するロイヤルティが高く、下に行けばいくほどプライベートに対するロイヤルティが高くなります。横軸は、右に行けばいくほど勤労意欲が高いことを表します。



その結果、中小企業の従業員は右上の「仕事重視」タイプ(第1象限)と左下の「私生活重視」タイプ(第3象限)に大きく分かれている傾向が明らかになりました。次に、働き方改革施策への期待度を4つの象限別に見たところ、労働価値観によって期待度に大きな差があることがわかりました。





画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/200153/LL_img_200153_6.jpg

働き方改革施策に関する期待度/象限

「仕事重視」(第1象限)に属する人は全体的に働き方改革に対する期待度が高い傾向にあります。仕事に対するロイヤルティも勤労意欲も高いため、よりその価値観を満たせる働き方を会社に対して求めていることがわかります。



また、「個人事情」(第4象限)に属する人は、プライベートへの時間の優先度合いは高いですが、同時に勤労意欲も高いために、働き方改革施策を強く求める傾向が見られました。



一方、勤労意欲の低い「安定重視」(第2象限)・「私生活重視」(第3象限)に属する人々は、意外にも働き方改革施策に対する要望が平均より低いことがわかりました。仕事は仕事と割り切っており、会社に対して多くを期待していないことの表れなのかもしれません。



働き方改革に関する様々な施策をただ漠然と社内で採用するのではなく、企業の生産性向上のカギとなる「仕事重視」(第1象限)・「個人事情」(第4象限)に分類される社員が求める施策から手を付けることが効果的であると考えられます。





◆考察

今回の調査結果により、勤労意欲および仕事に対するロイヤルティが高い従業員が新しい働き方改革施策をより求めていることがわかりました。勤労意欲が高く、仕事に対する時間のロイヤルティが高い人材は、恐らく会社に対する付加価値貢献度も高いことが想定されます。彼らの希望は、単なる個人のわがままではなく、企業の生産性をより上げるための投資事項として中小企業にとっても検討に値すると考えられるでしょう。



従業員がそれぞれ持っている労働価値観は、入社後教育によって大幅に変化するとは考えにくいことから、まず第1象限にあたる人材を獲得し、定着するためにロイヤルティを維持するよう働きかけ、さらにライフイベント等で一時的に時間のロイヤルティを変化させざるをえない従業員(第1象限から第4象限に変化した従業員)に対するサポートを行っていくことが重要であるといえます。



政府が主導する“官製”働き方改革では、残業時間削減に焦点が当たりがちですが、経営者にとっては、時間に比例して業績が下がることは恐怖です。働き方改革で真に必要なことは、人口減少・人手不足のなか、生産性を上げながら、労働付加価値算出総量を増やすことではないでしょうか。そのためには、経営者の働き方改革に関する方針宣言と成果に対する従業員への分配を事前に約束することが重要であり、従業員も巻き込んでいく必要があります。勤労意欲が高く、仕事に対するロイヤルティも高い従業員が、より生産性が高まる方向に移行していけば、働き方改革にともなって経営者と従業員が対立構造になることはなく、同じ目線で取り組みを図っていくことができるのではないでしょうか。





◆「働き方に関する価値観アンケート」のご紹介

株式会社シンカは、今回調査対象とした従業員300名以下の企業の組織・人事コンサルティング業に注力しており、会社経営が“我がごと”になる組織運営の実現をコンセプトに掲げ、組織・人事に関するテーマについて、従業員主導で取り組んでいただくことを推奨しています。



その一環として、希望する企業様を対象に今回と同様のアンケートの実施を受け付けています。結果(収益)を生む「真の働き方改革」の実現に向けて従業員にアンケート調査を行うことにより、優先的に寄り添うべき従業員の要望と、優先度の低いものとを把握することができます。30問程度の選択式アンケートです。実施をご希望の経営者様・人事担当者様は、下記へお知らせください。





◆本件に関するお問い合わせ先

株式会社シンカ コンサルティング部

担当 : 山内

電話 : 03-6432-0221

メール: info1001-shinka@shinka.co.jp





■会社概要

社名 : 株式会社シンカ

代表者 : 代表取締役社長 田中 裕也

本社 : 東京都港区新橋四丁目7番2号 6東洋海事ビル7階

設立 : 1995年10月

事業内容: “我がごと”経営の実現を支援する組織・人事コンサルティング

(組織・人事制度・採用・教育・働き方改革)

URL : http://www.shinka.com/

情報提供元: @Press