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『京都祇園もも吉庵のあまから帖』表紙
株式会社PHP研究所(京都市南区・代表取締役社長 清水卓智)は、『京都祇園もも吉庵のあまから帖』(志賀内泰弘著/700円税別)を2019年9月10日に発売しました。元芸妓でちょっぴり辛口の女将が営む、「一見さんお断り」の甘味処を舞台にした連作短編集です。祇園のお茶屋「吉うた」の女将・高安美三子さんがモデルの主人公・もも吉の活躍を、「いい話」の名手・志賀内泰弘氏が描きます。
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「吉うた」女将(高安美三子さん)
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『京都祇園もも吉庵のあまから帖』表紙
『京都祇園もも吉庵のあまから帖』は、月刊『PHP』で連載中の同タイトル小説の書籍化。2018年10月号から2019年2月号までに掲載した作品を、大幅に加筆した5編を収録しました。連載にあたり、著者の志賀内泰弘氏は「花街のしきたりはたくさんあり、安易にペンを執るのは恐れ多い」という思いから、小説の舞台である祇園を1年以上にわたって取材。このとき協力を惜しまなかったのが「吉うた」の女将です。「吉うた」は作家・長田幹彦の常宿で、「月はおぼろに東山」の出だしで有名な『祇園小唄』も滞在中に作詞したと言われる老舗のお茶屋。取材を重ねるうちに、女将の人柄そのものに魅かれた著者は、女将をモデルに主人公・もも吉を生み出しました。もちろん、ご本人公認です。
書籍化がすすむ2019年7月8日、祇園で火災が発生。火元の隣家からの類焼によって「吉うた」は全焼してしまいます。その災難から一カ月後、著者の志賀内氏は、翌春の都をどりの時期に「吉うた」再建を目指すという女将からの手紙を受け取ります。手紙の行間からは、背筋がシャンと伸び、いつでも凛としている女将の「生きる姿勢」が感じられたそうです。その姿は、『京都祇園もも吉庵のあまから帖』の主人公「もも吉」に、そのまま重なります。志賀内氏は「作中での“もも吉”の活躍ぶりが、再建に奔走する女将さんの励みになれば」と願っています。今となっては見ることができない、店内の趣きある様子も詳しく描かれているので、物語を楽しむと同時に、往時の「吉うた」をなつかしむことができる小説です。
元芸妓のもも吉は、わけあって今は祗園で甘味処「もも吉庵」を営んでいる。一見さんお断り、メニューは「麩もちぜんざい」のみの小さな店だ。そんな店を訪れるのは、舞妓になるために十五歳で祗園へやってきた少女、妻を亡くして一人で京都を旅する中年男性――様々な悩みを抱えた人たちへのもも吉の言葉は、ときに辛口だが、彼らの心を解きほぐしていく。京都の四季に彩られた感動の連作短編集。
「『頑張る』と『気張る』、似てるけど違うんや。わかりはるか?」
「……」
「『頑張る』いうんはなぁ、『我を張る』こと。つまり自分一人の頑張り、独りよがりのことやなぁ。それに対して、『気張る』いうんは『周りを気遣って張り切る』ことや」
「そうやなぁ。祇園ではみんな『おきばりやす』と、よう口癖みたいに言いますなぁ」
――本文より抜粋
もも吉:祇園の“一見さんお断り”の甘味処「もも吉庵」女将
美都子:もも吉の娘。京都の個人タクシーの美人ドライバー。
隠源:建仁寺塔頭の1つ満福院住職。「もも吉庵」の常連。
奈々江:舞妓修業中の「仕込みさん」。15歳で一人、祇園にやってくる。
おジャコちゃん:もも吉が面倒をみているネコ。好物は最高級品の「ちりめんじゃこ」。
第一話 桜舞う 都をどりのせつなくて
第二話 悩み秘め 恵美須神社に願いごと
第三話 寺社めぐり 小春日和の栗ぜんざい
第四話 節分会 粋なお兄さんに恋をして
第五話 葛汁粉 春遠からじ吉田山
志賀内泰弘(しがない やすひろ)
作家。世の中を思いやりでいっぱいにする「プチ紳士・淑女を探せ!」運動代表。月刊紙「プチ紳士からの手紙」編集長も務める。人のご縁の大切さを後進に導く「志賀内人脈塾」主宰。思わず人に話したくなる感動的な「ちょっといい話」を新聞・雑誌・Webなどでほぼ毎日連載中。その数は数千におよぶ。ハートウォーミングな「泣ける」小説のファンは多く「元気が出た」という便りはひきもきらない。TV・ラジオドラマ化多数。著書『5分で涙があふれて止まらないお話 七転び八起きの人びと』(PHP研究所)は、全国多数の有名私立中学の入試問題に採用。他に『No1トヨタのおもてなし レクサス星が丘の奇跡』『なぜ、「そうじ」をすると人生が変わるのか?』(ダイヤモンド社)、『ココロがパーッと晴れる「いい話」気象予報士のテラさんと、ぶち猫のテル』(ごま書房新社)、『眠る前5分で読める 心がほっとするいい話』(イースト・プレス)などがある。
タイトル:京都祇園もも吉庵のあまから帖
著者:志賀内泰弘 著
定価:700円(税別)
仕様:文庫判並製/288ページ
発行:PHP研究所
発売日:2019年9月10日
京都祗園もも吉庵のあまから帖 | 志賀内泰弘著 | 書籍 | PHP研究所 : https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-76956-1