小麦ブラン摂取による腸内環境改善のイメージ

小麦ブラン研究会メンバーで、大妻女子大学家政学部長・食物学科教授青江誠一郎氏の最新研究により、小麦ブラン(ふすま)と大麦の一種であるバーリーマックスの相乗効果により、ヒトの腸内環境における「太りにくさ」の指標(FB比)の改善と、小麦ブラン単体摂取による腸内の有害物質排出および短鎖脂肪酸などの有益物質の増加が確認されました。この研究成果は、2018年3月15日~18日に開催される日本農芸化学会2018年度大会にて発表される予定です。



本研究は、高脂肪・低食物繊維食による腸内細菌叢の乱れが社会問題となる中、腸内環境改善作用を有する穀物由来の食物繊維の組み合わせ効果を検証することを目的として、日本人を対象にした試験を国内で初めて実施し、穀物由来の食物繊維が及ぼす人体腸内細菌への効果を網羅的に解析しました。



画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/150999/LL_img_150999_1.jpg

小麦ブラン摂取による腸内環境改善のイメージ



■小麦ブラン(ふすま)とバーリーマックスの同時摂取は、ヒトの腸内環境改善に及ぼす相乗効果により「太りにくさ」の指標(FB比)を改善

試験により得られた各試験食品摂取群の糞便中DNA解析データを、試験食品に含まれる小麦ブランとバーリーマックスそれぞれの単独作用、あるいは両者の交互作用による腸内環境への影響に注目して解析したところ、試験食品摂取4週間目で、小麦ブラン(ふすま)とバーリーマックスの交互作用により腸内細菌のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門、属レベルでバクテロイデテス属の腸内細菌全体に対する占有率が増加していることが明らかになりました。

この結果を反映して、4週間目で小麦ブラン(ふすま)とバーリーマックスの交互作用により、太りやすさの指標と言われるファーミキューテス(Firmicutes)門とバクテロイデテス門の比率(FB比)が低下したことが分かりました。



一方、小麦ブラン(ふすま)とバーリーマックスそれぞれの単独作用は認められませんでした。これらのことから小麦ブラン(ふすま)とバーリーマックスの同時摂取は腸内環境改善に寄与したことが示唆されました。





■小麦ブラン単体摂取による腸内の有害物質排出および短鎖脂肪酸などの有益物質の増加

試験により得られた各試験食品群の糞便理化学分析により、小麦ブラン(ふすま)とバーリーマックスそれぞれの単独作用、あるいは両者の交互作用による腸内環境への影響を解析した結果、小麦ブラン(ふすま)の主効果によって、4週間で有害物質〔p-クレゾールと総毒素物質(アンモニアを除く毒素物質の総和)〕の濃度低下が認められ、同じく4週間で有益物質〔短鎖脂肪酸(酢酸、n-酪酸)および総有機酸〕の濃度上昇が認められました。一方、バーリーマックス単独の作用、小麦ブラン(ふすま)とバーリーマックスの交互作用は認められませんでした。これらのことから、小麦ブラン(ふすま)は有害物質を排出し、腸内細菌の発酵を促進して短鎖脂肪酸などの有益物質の産生を高めていることが示唆されました。







■試験概要

<実施主体>

大妻女子大学家政学部食物学科教授 青江誠一郎



<実施体制>

●試験統括機関 大妻女子大学

●試験受託機関 CPCC株式会社

●倫理審査 あり



<実験デザイン>

●試験種類 介入

●基本デザイン 二重盲検並行群間比較(注1)

●コントロール プラセボ(注2)対照



<U-MINコード>

UMIN000027569



<介入>

●群数 4群

●介入 前観察2週間、摂取4週間後観察2週間

●種類 食品(40gのバーを1日2回主食の代わりに摂取)

被験食品1:プラセボ群(小麦ブラン、バーリーマックスいずれも添加なし群)

食物繊維総量9.2g/日:セルロースおよび小麦粉

被験食品2:小麦ブラン単体群

食物繊維総量9.2g/日

被験食品3:バーリーマックス単体群

食物繊維総量9.2g/日:

被験食品4:小麦ブラン由来かつバーリーマックス由来食物繊維摂取群

食物繊維総量9.2g/日



<検査項目>

次世代シーケンサーを用いたDNA解析による糞便中の腸内細菌叢の変化。糞便中の有機酸濃度・毒素物質の変化。



<実施期間>

2017年5月~9月



<実験対象>

下記2項目に該当する東京都を中心とした20歳以上65歳未満の健康な男女60人

※排便回数が週5回以下、食物繊維の摂取量が少ない人(1日12g以下)



注1 二重盲検並行群間比較

客観的な評価をするため、治験実施に関わる全ての人間が、どんな食品または薬を摂取するのか一切知らされない比較方法。

注2 プラセボ

色、重さ、味及び匂いなど物理的特性を可能な限り被験薬に似せ、かつ薬効成分を含まない偽薬。

情報提供元: @Press