南米チリにあるアルマ望遠鏡(提供元:国立天文台)

工学院大学(学長:佐藤光史、所在地:東京都新宿区/八王子市)の小麥真也(こむぎしんや)准教授(教育推進機構)らを中心とする国際研究チームが、従来の電波望遠鏡に比べて圧倒的に高い分解能と感度をもつアルマ望遠鏡を用いて、従来は観測が困難だった塵に覆われた銀河を観測し、超巨大ブラックホールと銀河の意外な関係性を発見しました。



画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/149905/LL_img_149905_1.jpg

南米チリにあるアルマ望遠鏡(提供元:国立天文台)



【本件のポイント】

●小麥真也准教授(教育推進機構)らを中心とする国際研究チームが、アルマ望遠鏡を用いて、従来は観測が困難だった塵に覆われた銀河を観測し、それに付随する一酸化炭素ガスの検出に成功。

●超巨大ブラックホール起源の電離ガス流が銀河に付随する分子ガスにどう影響を及ぼすか等の意外な関係性を発見。

●小麥准教授の宇宙物理学研究室では、宇宙物理学における様々な問題に理論・観測の両面から取り組んでおり、「星形成」を一つのキーワードとして、銀河進化の歴史の解明・星や惑星の形成シナリオの構築をテーマとしている。





【本件の概要】※詳細は別添資料をご覧下さい

「アルマ望遠鏡」は南米チリ共和国北部、標高5,000メートルのアタカマ砂漠に建設された電波干渉計で、2011年の科学観測開始から、日本の国立天文台を含む東アジア・北米・欧州等の加盟国と建設地チリを合わせた22の国と地域が協力して運用しています。自然科学研究機構 国立天文台チリ観測所の客員准教授(2015年4月~2017年3月)も務めた、工学院大学の小麥真也准教授は、国際研究チームの活動において、アルマ望遠鏡を用いて、中心部から非常に激しい電離ガスを放出している活動的な銀河を観測しました。その結果、銀河に付随する一酸化炭素ガスの検出に成功し、この一酸化炭素の分子ガスが銀河中心からの激しい電離ガス流の影響をほとんど受けずに銀河中に存在していることが明らかになりました。

これまで、超巨大ブラックホールが存在する銀河中心部からのガス流は、周囲の分子ガスの運動や星形成活動に影響を及ぼすと考えられてきましたが、今回の発見は、超巨大ブラックホールと銀河は必ずしも影響を及ぼし合っているわけではないことを示唆しており、超巨大ブラックホールと銀河の共進化の謎がさらに深まったと言えます。



■「超巨大ブラックホールは銀河進化と無関係? ~ アルマ望遠鏡で見えてきた、電離ガス流と分子ガスの意外な関係 ~」

研究発表内容掲載WEBページ https://alma-telescope.jp/news/press/dog-201802





工学院大学は2019年4月に「宇宙物理学専攻」を先進工学部 応用物理学科に新設し、「応用物理学専攻」と2つの専攻となります。物理学を中心に、工学的な応用分野を学術的研究の対象とし、「宇宙物理学専攻」においては、現代物理学のテーマである素粒子や宇宙について深く学び、多様な産業分野で活躍できるイノベーション人材の育成を目指します。

情報提供元: @Press