軽度認知障害から考えるDHAの市場規模


60℃虐待試験における過酸化物価(酸化劣化)の比較


60℃虐待試験における臭気成分の比較


食品1点から約100mgのDHA・EPAを摂取できる食事・シーンの例

不二製油グループ本社株式会社(本社:大阪市北区中之島3丁目6番32号、代表取締役社長:清水 洋史)は、2016年6月14日(火)に、事業構想に関する記者発表会を開催しました。

当社は、「おいしさと健康」を両立させた食の新市場を創造し、社会に貢献していくための事業を本格的に展開していきます。



不二製油グループ本社株式会社: http://www.fujioilholdings.com/





■「おいしさと健康で社会に貢献する」

「おいしさと健康」は本来一体であるべきものですが、「おいしいものは体に悪い」、「体に良いものはおいしくない」という対立概念で捉えられがちです。当社は、お客様企業のその先にいる消費者のニーズや課題を踏まえた「B to B for C」の視点でマーケティングを強化し、「おいしさと健康」を技術の力で両立させることで社会に貢献していきたいと考えています。





■おいしさと健康担当役員の設置

「おいしさと健康」の取り組みをより具体化させるため、おいしさと健康担当役員として、不二製油グループ本社株式会社 取締役常務執行役員 小林 誠が就任いたしました。

小林の役割は、食の素材提供を通じて、「おいしさと健康」で社会に貢献していくということを、様々な機会や取り組みを通じて、社内外に発信していくことです。





■安定化DHA・EPA事業

「おいしさと健康」を実現する具体的施策として、世界で初めて安定化DHA・EPAを実現いたしました。

DHA・EPAは、健康優位性の報告が数多くされている成分ですが、酸化が著しく速く「魚臭」が発生することから、食品に利用するにはリスクが高く、世界中で一般食品への採用がほとんど進んでいません。そのため、消費者にとっては「摂りたいけれど摂取手段が限定されている成分」となっていました。

当社では、安定化DHA・EPAによって、誰もが毎日の食事を通じて、おいしく摂り続けていただける未来像を実現させたいと考えています。そのためにも、安定化DHA・EPA事業を油脂事業における新たな柱のひとつとして育成していきます。





【DHA市場から考える安定化DHA・EPAの市場性】

DHAには認知機能の改善や認知症発症リスクの低下が期待されることから、主な対象者としては認知症有病者、軽度認知障害の高齢者、50歳以上の高齢者などが考えられます。

特に軽度認知障害は、何もせずに放置していると5年間で約50%が認知症に移行する(*1)といわれており、予防対策の必要性が指摘されています。そこで、軽度認知障害を放置することで認知症に移行するリスクの高い200万人(400万(*2)人の50%)を「安定化DHA・EPA」の主たる対象者と考え、50歳以上の高齢者1日当たりのDHA不足量約0.45g(*3)を補うと仮定すると、DHAの国内の想定需要量は年間328.5トンになります。また「安定化DHA・EPA」配合食品の単価を仮に200円とし、1日に4つ摂ることでDHAの不足分を補った場合の市場金額規模は年間5,840億円に達すると考えています。



(*1 山本 泰司、軽度認知障害(MCI)に関する最近の話題、精神経誌、2011;113(6):584-592.)

(*2 朝田 隆、都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応、厚生労働科学研究費補助金認知症対策総合研究事業報告書、2013. より、2012年時点軽度認知障害の高齢者の推計)

(*3 機能性表示食品で認められているDHAの摂取量は880mg/日。50歳以上のDHAの加重平均摂取量は429mg/日で不足するDHA量は451mg/日となります。)



・軽度認知障害から考えるDHAの市場規模

https://www.atpress.ne.jp/releases/105520/img_105520_1.jpg





【DHA・EPAの必要量と課題】

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2010年版)によると、「EPA及びDHAを1g/日以上摂取することが望ましい」とされています。しかし、摂取量は全世代で不足(*1)しており、成人における1日当たりのDHA・EPA不足量は加重平均で542mgと、望ましい摂取量の半分以下しか摂れていないことになります。



(*1 小児の摂取目標量については「成人の値を参考にして、魚を摂取する習慣を身に付けることが望ましい」としている。)



摂取が推奨されており、消費者ニーズが高い一方で、DHA・EPAは油の中でも極めて酸化が速く、酸化すると特有の「魚臭」を発するため、食品に利用するにはリスクが高く、一般食品への採用がなかなか進んでいませんでした。そのため、現在は摂取手段が魚かサプリメントに限られ、日常的に継続摂取することが難しいという課題がありました。





【全く新しい発想の技術】

「魚臭」を抑制するには、油脂に溶けやすいトコフェロールなどの易溶性抗酸化成分を使うことがこれまでの「常識」でした。しかし、易溶性抗酸化成分は効果が弱く、「魚臭」を抑えるには十分ではありません。

一方、当社は油脂領域でさまざまな加工技術を開発してきており、油脂に溶けにくい難溶性成分を混ぜる技術に着目してきました。不二製油 未来創造研究所では、難溶性抗酸化成分を油脂に安定的に混ぜることで、DHA・EPAの酸化安定性が極めて高くなることを発見し、世界で初めて安定化DHA・EPAを開発しました。



・60℃虐待試験における過酸化物価(酸化劣化)の比較

https://www.atpress.ne.jp/releases/105520/img_105520_2.jpg

・60℃虐待試験における臭気成分の比較

https://www.atpress.ne.jp/releases/105520/img_105520_3.jpg



油脂酸化劣化で発生する過酸化物質を指標とした酸化安定性の評価において、安定化DHA・EPA油は一般の油脂を大きく上回る結果が得られています。また、臭気成分の比較においても、安定化DHA・EPA油は一般のDHA・EPA油の数%以下に抑えられ、劣化臭はほぼ感じられないことが明らかになっています。





【安定化DHA・EPAが目指す世界】

当社では、今回実現した安定化DHA・EPAを通して、「DHA・EPAを、普段の食事で、おいしく、無理なく摂取できる」世界をお客様とともに創り上げていきたいと考えています。

具体的には、1日当たりのDHA・EPA不足分を一つの食品だけで補おうとするのではなく、1日の食事シーン(朝食・昼食・間食・夕食)の中で、1点当たり約100mgのDHA・EPAを配合したさまざまな食品を自由に組み合わせてDHA・EPAを摂ることができる食環境づくりに向けて、お客様の商品開発をサポートしていきます。



・食品1点から約100mgのDHA・EPAを摂取できる食事・シーンの例

https://www.atpress.ne.jp/releases/105520/img_105520_4.jpg
情報提供元: @Press