【2022年10月31日 パナマシティー発】

ラテンアメリカとカリブ海諸国の子どもたちは、1歳の頃から家庭や学校、路上で暴力の危険にさらされている。子どもに対する暴力に関する、ユニセフ(国連児童基金)の新たな地域統計報告書によると、この地域の1歳から14歳までの子どものほぼ3人に2人が家庭で暴力的なしつけを受けていることが明らかになった(*1)。

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ラテンアメリカとカリブ海諸国では、幼児期の体罰や心理的攻撃に加えて、性的虐待や殺人が何百万人もの子どもや若者を苦しめています。この地域の子ども・若者の殺人発生率(10万人あたり12.6人)は、世界平均(10万人あたり3人)の4倍です。そして、殺人は10歳から19歳の思春期の男の子の死因の第1位となっています(*2)。

「ラテンアメリカ・カリブ海地域のほとんどの子どもたちが、生まれて間もない頃から暴力にさらされていて、しかも、彼らが最も信頼している人たち、つまり両親、養育者、仲間、隣人からの暴力であるというのは、実に恐ろしいことです」と、ユニセフ・ラテンアメリカ・カリブ海諸国地域事務所のユースフ・アブデル・ジェリル臨時代表は述べています。 「残念ながら、この地域の多くのコミュニティでは、暴力によるしつけが社会的に受け入れられています。おとなになった子どもたちが、自分の子どもに同じことを繰り返し、暴力の連鎖が永続するのです」。

暴力は、この地域の少年と少女に異なる影響を与えます。報告書によると、男子は女子に比べて殺人で死亡する確率が7倍も高いことがわかりました。一方、少女は10歳を過ぎると特に性的暴力にさらされやすくなります。

ラテンアメリカとカリブ海諸国では、子どもに対する暴力は、社会的、またジェンダーに基づく負の規範によってだけではなく、不平等や社会的な不安定さ、人々の移動、人道危機といった他の要因によっても引き起こされています。この地域の5人に2人の子どもは、家庭や学校、児童養護施設での体罰から法的に保護されない国で暮らしているのです。

「おとなが子どもに暴力をふるうのは、それが自分たちの知っていることであり、経験したことだからです。この悪循環を早く断ち切るために、私たちは早く行動を起こし別の手段を提示しなければなりません。親、養育者、教職者、地域社会、そして政府が力を合わせれば、暴力を使わずに子どもを育て、すべての人のためにより安全で豊かな社会を築くことは可能です」と、アブデル・ジェリルは付け加えました。

子どもに対するあらゆる形態の暴力をなくすために、ユニセフは各国政府に以下を要請します。

あらゆる場での体罰を完全に禁止する法律を採択すること。
養育者に必要な支援とリソースを提供する「体罰等によらない子育て」プログラムなど、暴力を防止するためのプログラムに投資する。
子どもに対する暴力の常態化を切り崩すため、社会変革および行動変容のための介入を実施する。
子どもに対する暴力を予防し、発見し、対応するために、社会サービス従事者の能力を強化する。
暴力を測る標準的な尺度を用いることで、子どもに対する暴力に関するデータ収集を改善し、子ども時代の性的暴力などのさまざまな問題と関連するデータの不足を埋める。

注記:
*1 特に断りのない限り、本信のすべてのデータの出典は、ユニセフ『A Statistical Profile of Violence against Children in Latin America and the Caribbean(ラテンアメリカとカリブ海諸国における子どもに対する暴力の統計情報)』より。報告書はこちらでご覧いただけます。(英語)
https://www.unicef.org/lac/en/reports/statistical-profile-of-violence-against-children-in-latin-america-and-caribbean

*2 同上

情報提供元: NEWS VISION
記事名:「 ラテンアメリカ・カリブ海諸国の子ども、3人に2人が家庭内での暴力を経験…幼児期の体罰や性的虐待が蔓延