「交通人身事故の示談金額、不当に低い」 損保4社に弁護団が質問状
中古車販売大手ビッグモーターによる自動車保険金の不正請求問題を巡り、仙台弁護士会の所属弁護士でつくる「保険トラブル対策弁護団」は13日、交通人身事故の被害者に対し損害保険会社が提示する示談金額が裁判基準を下回っているのは不当だとして、大手4社に金額の算定根拠などを問う公開質問状を送付した。
質問状は、東京海上日動火災保険▽損害保険ジャパン▽三井住友海上火災保険▽あいおいニッセイ同和損害保険――の4社に送付。示談金の算定基準やその根拠など質問は4項目で、27日までの回答を求めている。
弁護団によると、人身事故で損害保険会社が提示する示談金額は独自の基準に基づいており、交通事故の賠償金に関する判例を日本弁護士連合会がまとめた「民事交通事故訴訟・損害賠償算定額基準」よりも低額になるケースが相次いでいるという。
弁護団はビッグモーターによる保険金不正請求問題を踏まえ「(保険会社が)一部の事業者に対し不正に水増しされた保険金の支払いを行う一方で、人身事故においては低廉な示談金額を提示し続ける姿勢は極めて問題が大きい」としている。
弁護団に所属する佐藤靖祥弁護士は13日の記者会見で「むち打ちなどで後遺症が残った場合、(判例よりも)100万円以上示談金額が低くなるケースもある。自分たちの定めた基準からさらに8~9割減額する場合も増えてきている」と説明。「ほとんどの被害者は保険会社から示談金額を提示されればうのみにせざるを得ない。金額が異なる理由や根拠を明確に示すべきだ」としている。
質問状送付に合わせ弁護団は19日午後1時~同6時、保険会社との交渉トラブルを解決するための無料電話相談(022・343・8023)を行う。【遠藤大志】