岡山大などの研究チームが発表した論文では、小惑星「りゅうぐう」の起源が、彗星(すいせい)の核のような天体だったとする仮説も提唱した。 りゅうぐうは直径約900メートル。岩石を寄せ集めたような隙間の多い天体で、赤道部分が膨らんだ「そろばん玉」に似た形状をしている。独特の形は、現在と比べ2倍以上速い周期(約3.5時間)で自転していた時期があり、遠心力で生じたと考えられているが、詳しい原因は分かっていない。 研究チームは、りゅうぐうの元となった直径数十キロの氷天体が、いずれかの時点で天体衝突によって数キロサイズの破片になったと推測。その後太陽系の内側へと移動し、内部の氷が蒸発して失われたという「彗星核」モデルを提唱した。 この仮説によると、氷と岩石が混じった天体から氷が蒸発。内部からジェットのように噴き出すとともに、岩石が崩壊するなどして隙間が増える。蒸発が進み天体のサイズが縮小すると、自転速度が速くなり、現在のりゅうぐうのような構造が説明できるという。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕探査機「はやぶさ2」が撮影した小惑星「りゅうぐう」=2018年6月26日(JAXA、東大など提供)