北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が遭難した事故は30日、発生から1週間を迎えた。これまでに14人の死亡が確認され、依然12人が安否不明。現場付近の海底では29日に船体が発見され、第1管区海上保安本部(小樽市)などは船内の捜索を急ぐが、水深は約120メートルで視界が1~2メートルしかなく、難航も予想される。 同保安本部によると、船体が見つかったのは救助要請があった「カシュニの滝」から西北西約1キロの沖合。海上自衛隊の掃海艇が水中カメラで確認した。 同本部は船内に不明者がいないか確認を進める方針だが、海保の特殊救難隊の潜水士が潜れる限界は水深60メートル。このため、当面はカメラを使った捜索を中心とし、特殊技能を持つ民間潜水士の活用も検討する。 船舶や航空機による捜索も継続。国後島周辺海域での捜索の可能性を見据え、ロシアと連絡調整も続けている。 カズワンは23日午前10時に出航。午後1時13分、「カシュニの滝だが戻るのが遅れる」と同業他社に無線連絡し、5分後に「船首が浸水している」と救助要請した。午後2時ごろ、「30度ほど傾いている」と運航会社に連絡したのを最後に消息を絶った。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕測量船「天洋」が29日に調査した海底地形図の処理画像。「KAZU Ⅰ(カズワン)」は115メートル付近に沈んでいる(第1管区海上保安本部提供)