ロシアの軍事侵攻を受けて神戸市に避難してきたウクライナ出身のユリヤ・ゴルバチュクさん(22)が12日、受け入れ先の同市の日本語学校で記者会見した。通訳を通じ「ここは安全でとても安心」とほっとした表情を見せる一方、「ウクライナに住む家族や友達の安否がとても不安」と複雑な心境を明かした。 昨年12月に大学院を修了したばかり。弁護士資格を取得し、新しい生活が始まろうという矢先に軍事侵攻が起きた。家族全員で首都キーウ(キエフ)から西部チェルノフツイの別宅に逃げ込み、1カ月ほど不安な日々を送った。 3月中旬、友人に紹介されて日本語学校に入学希望のメールを送った。「あなたをサポートできることを楽しみにしています」。すぐに返事が届き、学校側が身元引受人を探してくれた。これまでに日本を2度訪れたことがあり、「恋をした」と話すほど日本の文化に引かれていた。母からも「一度チャレンジしてみたら」と背中を押され、日本行きを決意した。 今月4日にバスでウクライナを出国し、ハンガリー、ドイツを経て7日に神戸空港へ着いた。空港には支援団体「ウクライナサポート」の関係者ら約20人が集まり、無事の到着を喜んだ。 新型コロナウイルスの水際対策で、支援団体が提供する住居に数日間滞在。毎日家族と電話していたといい、「キーウの町が燃やされているなどの情報を聞き、とても安全と言えない」と表情を曇らせた。 12日には初めて登校。いよいよ勉強が始まる。「日本語はとても役に立つので、国際的な会社で働けたら」と語った。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕語学学校で記者会見するユリヤ・ゴルバチュクさん=12日午後、神戸市