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羽黒山 を開山したのは、第32代崇峻天皇(すしゅんてんのう/553年?~592年?)の子 蜂子皇子(はちこのおうじ)といわれています。朝廷内の権力争いから逃れるため日本海から東北地方に逃れ、漂着したのが羽黒山に近い乙女浦(やおとめうら)だったのです。上陸した蜂子皇子は、地元の人々の助けや、最後は3本足の八咫烏(やたがらす)に導かれ、羽黒山に入り「羽黒山寂光寺(はぐろさんじゃっこうじ)」を創建しました。その後、月山に登り「暮礼山月山寺(ぼれいざんがっさんじ)」を建立し、下山する途中に温泉の湧く山に出会い「湯殿山」を開山したのです。
蜂子皇子が創建したのはいずれも寺院ですが、現在の出羽三山に寺院はありません。現在は出羽三山に鎮座するのは神社だけです。
それは、江戸時代までは“神仏習合(しんぶつしゅうごう)”といって神社と仏閣が同じ境内に同居している形を取っていたので、出羽三山にも寺院のほか神社がありました。しかし、明治政府は神社(神道/しんとう)を優先する神仏分離政策を打ち出し、出羽三山から寺院を追い出してしまったのです。
羽黒山は「寂光寺」から「 出羽神社(いではじんじゃ/現出羽三山神社) 」となり、本尊だった観世音菩薩(かんぜおんぼさつ/観音様)から祭神として伊氏波神(いではのかみ)と稲倉魂命(うかのみたのみこと)が祀られるようになりました。
同じように「月山寺」(本尊=阿弥陀如来/あみだにょらい)が「 月山神社 」(祭神=月読命/つきよみのみこと)に、「湯殿山」(本尊=大日如来/だいにちにょらい)が「 湯殿山神社 」(大山祗命/おおやまつみのみこと、大己貴命/おほなむちのみこと、少彦名命/すくなひこなのみこと)になったのです。
出羽三山に寺院があった頃、古くから伝わる仏像や経文などの所蔵物があったのですが、神仏分離の際ほとんど廃棄されてしまいました。ようやく1974年(昭和49年)になって、離散した仏像のうち佐藤泰太良氏が個人の私財を投じて収集した243体が羽黒山に戻り、その一部が出羽三山神社境内にある「出羽三山歴史博物館」に展示されています。
羽黒山の山頂にある 出羽三山神社 は、出羽三山の祭神をすべて祀っています。三山が合祀されていることから社殿は「三神合祭殿」と呼ばれ、江戸時代後期に延べ13万人に達する大工、職人、人足などが集められて建立したもので1818年に完成しました。
社殿は高さ28m、桁行(けたゆき/およその奥行き)24.2m、梁間(はりま/およその幅)17mで、主に杉材を使用し、内部は総朱塗り、屋根は厚さ2.1mに及ぶ茅葺きという豪壮な建物です。このような造りの建物は出羽三山神社にしかない神社造りで、国の重要文化財に指定されています。
(ご利益は代表的なものを掲載しています)
羽黒山 は、標高141mの低い山で、また出羽三山神社まで路線バスが通っていて、非常に簡単に参拝できます。しかし、時間に余裕があって、体力に多少自信のある方は 麓から歩いて登ることをおすすめ します。杉並木の中に 2,446段の石段 があり、その間に 国宝の五重塔 をはじめ、 天然記念物のスギ などもあり、それになにより、出羽三山羽黒山のパワーあふれる空気が身体全体に染みわたります。羽黒山は“生きている自分に幸せを与えてくれる”山なのです。
頂上の出羽三山神社 へは入り口の随神門から国指定天然記念物の杉並木の中、 約1時間の登り です。
五重塔(羽黒山五重塔) は、室町時代初期の1373年頃建立され、600年ほど前に庄内地方を治めていた武藤政氏(むとうまさうじ/大宝政氏/だいほうまさうじ)が再建したものといわれています。しかし、平安時代末期に平将門(たいらのまさかど)が建立したとの説もあるなど、その歴史ははっきりとは分かっていませんが、600年以上前には建てられていたこことは確かで、国宝に指定されるほど貴重な五重塔です。
五重塔は本来寺院に建立されていて仏像を安置している建物ですが、この五重塔には神仏分離のため大国主命が祀られています。近くには樹齢1,000年以上といわれるスギの老木 爺杉 (じいすぎ/羽黒山の爺杉)が立っていて五重塔を見守ってきました。羽黒山の爺杉は 国指定天然記念物 です。
※「羽黒山五重塔」は、2023年(令和5年)から2025年(令和7年)春頃まで屋根改修工事のためその姿を見ることができません。
鐘楼 は、1619年に建てられたもので、山内では五重塔に次ぐ古い建物です。鐘楼は本来神社にはないものですが、神仏分離の際神社の建物として五重塔とともに残されました。鐘は1275年の鋳造で、口径は1.68m、総高2.86mと東大寺(奈良県)・金剛峯寺(和歌山県)に次ぐ大きさと古さを誇っています。鐘楼は 国指定重要文化財 です。
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余暇プランナー
雑誌などの取材や撮影で日本全国まわっていたら、いつのまにか47都道府県制覇してました。取材して歩く中で必ず行くのが神社。というのも祖父が仏式から神式に変えたため、行事はいつも神社か神主が来て祝詞を上げるという家柄、お寺には縁がなく、どうしても神社に親しみを感じてしまいます。参拝すればやはりお願い事は必須です。でも神様だって得手不得手はあるので、その神社の神様が一番叶えてくれそうなお願いをすることにしています。