私たちの食と健康の礎でもある農業ですが、昨今、日本の農業は、生産者の高齢化や農業就労人口の減少など多くの問題に直面しています。そうした課題に対し、中小企業が結集し、安心・安全なお米作りをサポートする活動に注目が集まっています。

中小企業の経営者が農業復興のために立ち上がる

8月にスーパーの棚からお米が消えた“令和のコメ騒動”は記憶に新しいところ。そんな苦い経験を経て、食料自給率38%と言われる日本の食料事情に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

実際、生産者は就労人口減少の問題を抱え、耕作放棄地も年々増えています。個人農家の急激な減少によって、今後も農業の生産力は減少すると言われており、高騰する肥料や燃料を計算に入れると、日本の食料自給率は10%しかないという試算さえあるのです。

そうした中、中小企業の経営者たちが集結し、地域の農家が安心して米作りが続けられるよう支援する社会貢献活動に注目が集まっています。

その活動の主体となっているのは、経営者の教育機関「World U Academy」で学んだ中小企業の経営者団体「ヒーローズクラブ」とそのサポートメンバーによる「豈プロジェクト」です。

「私たちは中小企業の経営者の団体なので、会社の売り上げや数字には関心が高いのですが、農業に関しては消費者の立場から一歩も出ることはありませんでした。しかし、コロナ禍の時期に開催した勉強会を機に、私たちは今の日本の現状をもっと学ぶ必要があると思ったんです」

そう語るのは株式会社World U Academy代表取締役で、ヒーローズクラブ・豈プロジェクト主宰の仲村恵子さん。

株式会社World U Academy代表取締役 仲村恵子さん

「とくに、東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授の鈴木宣弘先生からは食料自給率や農業の置かれている現状、農薬の問題といったお話をお聞きし、無関心ではいられなくなりました。私たちは商人ですから、農業の“農”はできないけれど“業”の部分で何かできることがあるのではないかと思い、地域の農家の方々を訪れることにしたんです」(仲村代表)

中小企業の経営者たちが応援するのは、有機農業を営んでいるものの後継者の問題を抱えていたり、肥料や燃料の高騰で廃業の危機にあるような小規模農家です。

本当に美味しいお米を後世にしっかり伝えていきたい。そうした思いから、ヒーローズクラブは栃木県塩谷町で有機農業を続ける農家と提携。お米を全量買取りし、地域の子ども食堂へ寄付を行ったり、プロジェクトに賛同する方々が購入できるよう、仕組みづくりを行いました。

地域活性化包括協定を結び、「奇跡のお米 神宝米」が誕生!

2022年 地域活性化包括協定締結

「最初に提携したのは塩谷町で江戸時代から続く農家の杉山さんという方ですが、農薬の散布をやめてからアトピー性皮膚炎の症状が治まり、以来、有機農業に取り組まれています。ものすごく研究熱心な方で、一度菜の花やレンゲを栽培し、それを肥料として土を活性化させて元気な稲を育てているんですよ」(仲村代表)

とはいえ、農業のことは全く初心者の東京の経営者の集まりです。当初は門前払いされたヒーローズクラブですが、その後、何度も足を運び、プロジェクトについて説明。その熱心さが次第に通じて信頼関係が生まれ、お米を買取ることから豈プロジェクトの農業支援がスタートしました。

ヒーローズクラブのメンバーは、塩谷町で収穫した有機米を「奇跡のお米 神宝米」としてブランド化し、販売を確保することだけでなく、自らも草刈りや袋詰めに従事。人手が必要となる時期にお手伝いに赴き「半農半X」に挑戦しています。

そうした活動から塩谷町と地域活性化包括協定を結んだヒーローズクラブは、地元の小中学校で和太鼓演奏のイベントを開催するなど、地域の活性化や関係人口の増加にも貢献。「神宝米」は2022年より、ふるさと納税の返礼品にもなっています。

「奇跡のお米 神宝米」による農業支援の取り組みはメディアにも紹介され、現在は、塩谷町のほか、福井県、鳥取県、兵庫県にも広がっています。

2024年 豈プロジェクト塩谷町公演にて

「私たちは本業で利益を上げていますから、このプロジェクトは全額自分たちで負担し、農家さんの収益以外はすべて活動資金に回しています。私たち中小企業も本業以外にこうした社会貢献活動や文化・教育活動を行い、付加価値を付けていくことで、結果として皆さまに応援いただけるような会社になってきました。参加企業の社長さんは、美味しいお米を食べて農業も手伝って、みな健康ですしね。こういうことが本当の働き方改革だと思います」(仲村代表) もちろん参加企業が社内で食べるお米自給率は100%。会社給食やボーナスの上乗せ分として社員に還元したり、お中元やお歳暮などの贈り物としても好評だといいます。

■奇跡のお米 神宝米(栃木県産)
神宝米プロジェクトがスタートした栃木県塩谷町産のお米。地球上のすべての生き物たちが平和に暮らすことが出来る環境、互いの命を尊重でき命が循環していく環境づくりを目指し、有機栽培で丁寧に育てた逸品です。
玄米(3kg) ¥6,480(税込)
白米(3kg)  ¥7,100(税込)
https://yamato.world-u.com/ec/1557/

■【福井 弱アルカリ】奇跡のお米 神宝米(福井県産)
弱アルカリ米は、土の中のシアノバクテリア(ラン藻)を生かした有機農業でつくられたお米です。シアノバクテリアが酸素を作り、その酸素によって微生物が育ち土の中でビタミンやミネラルを多く生み出します。そのため、通常よりもカルシウムやビタミン、特にビタミンB12を多く含みます。
玄米(3kg) ¥7,700(税込)
白米(3kg) ¥8,300(税込)
https://yamato.world-u.com/ec/1561/

■【蛇紋岩】奇跡のお米 神宝米(兵庫県産)
蛇紋岩神宝米は、ミネラルがたっぷりで一粒一粒がしっかりし、ふっくらしたお米です。但馬牛で有名な美方ファームと農畜連携を行い、田んぼに入れている有機肥料に但馬牛の有機堆肥で作られています。
玄米 (5kg) ¥10,800(税込)
白米 (4.5kg) ¥11,100(税込)
https://yamato.world-u.com/ec/1565/

賛同者の方々へ「智恵のある生き方プロジェクト」と題して勉強会を開催中

「智恵のある生き方プロジェクト」にて

有機農法でつくられる「奇跡のお米 神宝米」は、栽培する土地によって食味に違いが出るのも大きな特徴。
例えば兵庫県の八木川流域の「神宝米」は、日本にはほとんどない蛇紋岩(温石)を多く含んだ土壌でつくられる幻の米。

そして、神宝米は、残留農薬検査の全220成分で農薬検出ゼロ。まさに「奇跡のお米」と呼ぶにふさわしい最高級米です。
「お米は白米でずっと保管していても大丈夫だと思いがちですが、本来は生鮮食品なんですよ。日が経つにつれて鮮度が落ちるので玄米で貯蔵しないといけない。精米したての神宝米は、こんなにも味が違うのかと思うほど美味しいです」(仲村代表)

現在、仲村代表が立ち上げた日本中小企業経営審議会(JSMB)では、中小企業×農業で日本の農業復興をめざす仲間を募集するとともに、賛同会員に向けた「出張勉強会」を開催しています。
「この勉強会は、子どもたちの未来のため、賛同会員の皆さま向けに、会社を教育の場として農業を中心に、経済、教育、文化など日本の現状を学び、ともに考えるものです」(仲村さん)

勉強会では、様々なプログラムを用意。農業は「世界に逆行、日本の農薬ルール」「ご飯を食べても栄養失調!?」と題し、食料自給率や食料調達についてや、廃農・耕作放棄地の増加の問題を。経済では「メディアが煽る、国民の借金のウソ!」など、お金の側面から日本の現状について学びます。

出張勉強会は、本記事でもご紹介した有機農業による「神宝米」の試食会付き。学びの中で気づいたことをシェアしながら炊き立てごはんのおむすびを食べる。試食やお土産で神宝米などのプロダクトを体験できるようになっており、つまり参加した分だけ、農家さんの応援に繋がるのです。ヒーローズクラブのメンバーが申し込み企業に伺い、2時間程度で開催するため、企業・団体、グループでの研修にぴったりです。

「農業を自分ごととして捉えられる人が増えれば、日本の農業復興はすぐにできると思うんです。本当に安心・安全な美味しいお米を通じて、ぜひ会社を学びの場にしていただければと思っています」(仲村代表)

中小企業から日本を元気にしていこう!そうしたヒーローズクラブの活動に興味のある方は、勉強会に参加してみてはいかがでしょうか。
「神宝米」をとりあえず食べてみたいという方は、豈プロジェクトの「応援オンラインショップ」から購入することも可能です。


■出張勉強会のお問い合わせ
一般社団法人日本中小企業経営審議会 事務局
info@japan-sbc.co.jp (担当:幾田・上村)
https://japan-sbc.co.jp/

■豈プロジェクト 応援オンラインショップ
https://yamato.world-u.com/kamtakaramaipj/

情報提供元: アーバンライフメトロ
記事名:「 日本の農業を復興し、子どもたちの未来を育む。 ヒーローズクラブが農業の出張勉強会を開催