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アイエンガーさんは、
「こうなりたい、と想うところへ自身を運んでくれる力が“選択の力”なのです。選択には発見をする力、それから新しい可能性を創り、創造するという力があります。」
と、“選択”することの力について来場者たちへ語りかけました。
「人は選択肢が多くなると選択することができなくなる」ということを実験で実証したアイエンガーさんによると、24種類のジャムの売り場と、6種類のジャムの売り場を比較したところ、前者は後者の10分の1の売り上げしかないことが判明。
「全ての選択にできるだけ時間をかけるというのが、私たちが目指していることではありません。重要なのは、どの選択が私たちにとって重要なのか、ということを判断しなくてはなりません。選ぶということは、創造することなのです。」
と、訴えかけました。
そして基調講演に続けてアイエンガーさんと、小池百合子都知事、アサヒグループホールディングスの小路明善会長が登壇してのパネルディスカッションを実施。
各登壇者が自身のキャリア形成のポイントや、自身が選んだ選択、そして希望のキャリアを選ぶことができる職場に変えていくためにしなければならないこと、意識すべきことについて語りました。
小路会長は、40年を超えるビジネスキャリアの中で、ビジネス人生を辞めたくなった瞬間などを説明し、政治や思想・哲学の本、また異文化や異論に触れることが非常に重要なのだとコメント。
一方、小池都知事は自身のキャリアを振り返り、
「父の本棚に中東北アフリカ年鑑という本が置いてありまして、それを見て、世界はいろいろな地域があるんだなと思いました。そこで私は、多くの方は欧米など留学を考えられると思うんですけれども、私はあえて中東を留学先に選んだのです。」
と語り、後押しをしてくれた両親に感謝をしたいと語りました。
アイエンガーさんは小池知事と同じ旅行が趣味だったそうで、1989年にスペインへ行き、そこで留学することも選択したのだとか。
ベルリンの壁が崩れるという時期だったこともあり、いまでも良い選択だったと語ったアイエンガーさんは、日本に訪れたことでものの見方が変化したこともあり、これも良かったと自身の選択について披露しました。
経営者としての意識や行動について、どのようなことが必要かと聞かれた小路会長は、
「ジェンダーギャップを払拭するためには、環境・制度・意識、この3つの改革が必要です。例えば家庭環境では女性が理工系の大学に進学し、電気・電子・機械・物理の分野に進もうとすると、親御さんがまだ反対されることが多いと聞きます。理工系で女性が活躍できないことはあり得ませんので、家庭環境を変えていく必要があります。」
と説明。
また、提供機会の平等だけではなく「結果の平等」も制度の中に組み込むこと、そして女性としての良さを認識してキャリアプランを作っていくことが大切なのだと訴えかけました。
イベント後半には、都内の高校生6人が登壇し、アイエンガーさん・小池都知事・小路会長との意見交換会を実施。
カナダは日本に比べて男女差別がないと考えていたが、実際には賃金格差が広がっていたことを知ったという高校生は、“日本でも、男女雇用機会均等法の制定から40年が経った日本で男女差別や格差が続いている中、何ができるか?”と質問。これに小池都知事は、
「男女雇用機会均等法によって、働く女性というのが本当に当たり前になってきて、そこで様々な法令・制度がさらに整備され、女性の就職・就労率は約5割から約7割まで上昇しています。管理職や経営者の女性比率も徐々に増えてきています。これは男の仕事、これは女の仕事と決めつけないでください。そして、自分がやりたい、興味があることはどんどん突き詰めてください。」
とエールを送りました。
また、将来の夢は外交官か警察官になりたいものの、圧倒的に男性の方が多いことに気づいたという高校生から、“今までのキャリアの中で女性の数が少なく、怖気付いてしまった経験がありますか?”と聞かれたアイエンガーさんは、
「外交官や警察官になりたいのならば、自身の大きな志を忘れずに、ずっと想い続けるということが何よりも大切です。」
と回答しました。
より自分らしいキャリア形成をするにはどうすればよいのか、どのような考え方があるのかを知り、男・女というものを意識せず、ダメな理由を考える前にポジティブに捉えることが自分らしいキャリアの形成につながっていきます。
「どうせ無理」「女性はこの分野では…」などと頭ごなしに否定せず、自分にできることを進めていくことが、これからの時代では大切となってくることでしょう。