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『渋谷ファッションウイーク 2024 春』は「THINK」をテーマに、渋谷から「サステナブルとは何か」を問いかけます。
渋谷ファッションウイーク実行委員会、大西賢治実行委員長は、
「今春の渋谷ファッションウイークは「THINK」というテーマに挑戦します。多様な個性や気持ちを表現し、彩ることが出来るファッション。そんな日々のファッションに向き合う時、少し意識を変えることで子供たちに繋ぐ未来に明るい可能性を繋ぐことが出来るかもしれません。春の渋谷に足をお運びいただき、ぜひみなさんに「THINK」のきっかけを見つけていただけたら嬉しいです」とコメント。
中里氏も、
「この渋谷という、文化、フューチャー、流行というダイナミックな街。サステナビリティという何が正解で何が不正解かわからない、とても難しい問題。それをこの街から”考え続けていく”ということが大事なのではないか」
と発信されました。
渋谷駅東口地下広場にて、次世代のクリエイターに学びと評価の機会を提供してきた「FASHION FRONTIER PROGRAM」とのコラボレーションによるランウェイが行われました。
「FASHION FRONTIER PROGRAM」は、勇気と志を持った未来のファッションデザイナーを発掘し、称え、そして育む事が“ファッション業界だけでなく社会全体が良い方向へ変化していく原動力となる”という考えのもと、中里氏を発起人として2021年に設立。
プログラムは「アワード」「インキュベーション」「スカウティング」「マッチング」「ラボ」の5つの要素で構成され、期間中に提供される学びの場や参加企業・他参加者との交流、そして受賞後のサポートなど継続して関係性を構築していける内容になっています。
100年に一度の再開発で変化を続ける渋谷の街を舞台にし、私が日常的に通っている駅地下の広場をなんとランウェイとして使用。
ファッションショーというと、敷居が高く一部の人のみが見に行くものだと思っていたので、華々しくもありつつ、日常的な渋谷駅東口地下広場というこの空間で見れたことに圧倒されました。
中里氏も「ファッションショーはクローズドな世界で閉鎖的になりがちなので、このような公共の場所で多くの方に見てもらえるというのは嬉しいこと」と話しています。
こちらは落ち葉や枝・綿素材、でんぷ・のりなど土に還すことができる素材を使い、廃棄する前提で循環する服として作られたMISAKI NAKANO氏による衣服。
レシートなどで制作したYUDAI YAMAMOTO氏の衣服は記憶の中にある映像を浮かび上がらせるなど、目には見えない「記憶」というものを表現されています。
15名のデザイナーによる、社会へのメッセージや眼差しを感じる作品は、これまでのファッションの概念や在り方について考えることのできるファッションショーとなっていました。
パリ・オートクチュールウィークに参加している唯一の日本ブランド「YUIMA NAKAZATO」が、今年6月に個展『BEYOND COUTURE』をフランスにて開催。
なんとヨーロッパ出身以外のデザイナーとしては初なのだそう。
そして個展と連動し、バイオベンチャー企業「Spiber」が開発する人工タンパク質素材「Brewed Protein」を使用したクチュール衣装を観ることが出来る、街なかインスタレーションが実施されています。
今回の渋谷ファッションウイークが「糸」をモチーフに様々なことを展開しています。中里氏のこちらの作品も人工たんぱく質の素材を使った糸のドレス作品「ATLAS(アトラス)」。
植物由来の原料を基に微生物発酵で作られる人工タンパク質素材「Brewed Protein」にデジタルプリントで柄を付け、水分で縮む素材の特性を生かして水分につけることで針や糸を使わずに形成しています。
そして「ATLAS」は、今年の6月に行われる個展『BEYOND COUTURE』のメインビジュアルになるそうで「日本でお披露目することの許可を取るのが難しかった」のだとか。
渋谷でこの作品を展示できることについて中里氏は、
「『何だこれ』と街行く人が目を止めて衣服について考えるアクションにつながることで未来が変わっていくと思う。なのでこのようなパブリックな環境で発表していることは意義深く、貴重な機会をいただけた。」
と、喜びを伝えました。
こちらの「YUIMA NAKAZATO」の2021年春夏コレクションの作品「ATLAS」は、渋谷駅東口地下広場にて3月24日まで展示。
本ランウェイでは『燃えるドレスを紡いで』の関根光才監督が登壇されました。
本作は関根監督が中里唯馬氏に密着し、アフリカ・ケニアへ同行すると共に、中里氏のショーの裏側にも密着。
普段は見られないクリエイターの葛藤、新しい事への挑戦、チーム一丸となってショーの成功へ向かっていく姿など、ファッションだけではない「中里唯馬」という人物にフォーカスされたドキュメンタリー作品です。
関根監督は、
「今回、唯馬さんのパリコレの制作プロセスを追いかける中で、ファッションが抱える大きな社会課題にチャレンジしている画期的な技術が日本にあることも知りました。近しい夢を見ている人々と共創して、ゴミという概念も服に対する概念も、もしかしたら“何がオシャレでスタイリッシュなのか”ということに対する概念も、違う角度から見れるようになるきっかけになれればというのが今回の作品です。」
とコメント。
『燃えるドレスを紡いで』はシネクイント、K’s cinemaにて上映中。ほか全国の映画館にて順次上映予定です。
日本の伝統工芸“水引”で作られた衣装を着るハチ公像。「THINK」の繋がりを表現する衣装を期間限定着用していました(3月19日まで)。
着飾ったハチ公像の周りには記念写真を撮る方で溢れており、今回のファッションウイークのモチーフである”糸”のもつ意味「人と人を結ぶ」に相応しい光景でした。
(渋谷ファッションウイーク事務局長 寄本健氏、渋谷ファッションウイーク実行委員長 大西賢治氏、中里唯馬氏、関根光才氏、渋谷ファッションウイーク クリエイティブディレクター 田中ヒロ氏)
ファッション・アート・映画など渋谷という街から発信するカルチャーを通して、「THINK」することを問いかける10日間。
【渋谷ファッションウイーク 2024 春】は見て体験して感銘を受けるだけでなく、これからは社会課題についても考えていくことが必要とされていることを訴え続けていきます。
展示エリア:渋谷駅東口地下広場