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レトルトカレーの歴史は、1960年代に開発されたレトルトパウチ技術により、長期保存と品質維持が可能になったことから始まった。日本でのレトルトカレー市場は1968年に大塚食品が「ボンカレー」を発売して以降、手軽に美味しいカレーを楽しむことができる商品として急速に普及したのだ。
売り場に数えきれない種類のレトルトカレーが並べられており、改めてレトルトカレー市場の広がりを感じさせる。
あまりに種類が多すぎて商品選定に困ったため、今回は価格が高い順にランキングし、5種類を食べ比べてみた。比較ポイントは下記を中心とした。
1.味:辛さレベル、スパイス、深みやコク
2.具材:質と量で差別化されているか
3.価格:価格に似合う価値が提供されているか
4.パッケージデザイン:購入意欲に影響を与える要素、分かりやすさ、高級感
5.オリジナリティ:コンセプト、独自の製法
・購入場所:マルエツ
・内容量:180g
・販売者:ハウス食品株式会社
パッケージは非常に高級感があり、商品名と商品画像がシンプルに記されている。特製デミグラスソース仕立てのビーフカレーだ。
ビーフはオーストラリア産を使用。
原材料は、牛肉、マッシュルーム、ソテーオニオン、ホワイトルウ、チャツネ、トマトペースト、牛脂豚脂混合油、りんご濃縮果汁、赤ワイン、カレーパウダー、チキンエキス、チキンブイヨン、豚ゼラチン、食塩、でんぷん、フォン・ド・ボー調味料、酵母エキス、ぶどう酢、ウスターソース、玉ねぎ加工品、香辛料、デミグラスソース、ブラウンルウ/調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、乳化剤、香料、酸味料、酸化防止剤(ビタミンE)、香辛料抽出物、(一部に乳成分・小麦・牛肉・大豆・鶏肉・豚肉・りんご・ゼラチンを含む)。
開封しやすいように工夫されたパッケージが印象的だ。
しかも上記のように、箱ごと電子レンジで加熱することができる優れものだ。
袋の封をきらずに「箱ごと」レンジへ!
フランス料理の基本を重んじつつ、懐かしく親しみやすい洋食を提供する名店「グリル満天星麻布十番」監修のビーフカレーだ。赤ワインの香りと炒め玉ねぎの深いコク、特製のデミグラスソースが特徴的である。
品の良いデミグラスソースの香りが漂い、赤ワインの酸味とたまねぎの甘さが深い味わいを生み出している。ビーフは多少煮崩れしているものの、マッシュルームの食感がとても良い。中辛にしては辛さが少し物足りないものの、それを上回る上品なまろやかさがあり、万人に食べやすく、どこか懐かしい洋食の味わいが楽しめる点が嬉しい。価格に見合うクオリティーを十分に備えている。
・購入場所:マルエツ
・内容量:180g
・販売者:株式会社サンフリード
パッケージは、素朴でありながらも老舗の落ち着いた店内を連想させる色合いである。じっくり煮込んだ牛すじカレーだ。
原材料は、野菜(玉ねぎ(国産)、ジンジン、にんにく)、牛すじ肉、カレールゥ(小麦粉、豚肉、砂糖、その他)、牛脂、砂糖、しょうゆ、中濃ソース、カレースパイス、食塩、コーヒー豆/増粘剤(加工デンプン)、調味料(アミノ酸)、カラメル色素、乳化剤、酸味料、香料、(一部に小麦・乳成分・牛肉・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・りんごを含む)。
袋のままレンジで加熱することができる。
長崎学生街で40年以上愛されてきた、長崎名物のトルコライスなどを提供する老舗洋食店「フラワーメイト」が監修した牛すじカレーである。柔らかく煮込んだ牛すじの旨味が特徴的だ。
甘口で辛さはほとんど感じられない。まろやかで万人が楽しめる味わいである。じっくりと煮込まれた牛すじは、パッケージ画像と異なり形はほとんど残っていないため、牛すじの食感を楽しむことはできないが、旨味は十分に感じられる。玉ねぎと牛すじのまろやかさが非常に印象的で、価格に見合ったクオリティーを備えていると言えるだろう。
・購入場所:マルエツ
・内容量:200g
・販売者:アヲハタ株式会社
パッケージは、瀬戸内海と牡蠣を連想させるシンプルでストレートな訴求であり、これ以上の説明が不要なほど分かりやすいコンセプトである。
原材料は、かき(広島県産)、ソテーオニオン、牛乳、小麦粉、にんじん、トマトペースト、植物油脂、砂糖、カレー粉、バター、食塩、魚介エキス(魚介類)、ココナッツミルク、しょうゆ、酵母エキスパウダー、香辛料/調味料(アミノ酸等)、香辛料抽出物、(一部に乳成分、小麦、大豆、魚介エキス(魚介類を含む)。
封を切らずに沸騰させたお湯に入れて温めることができ、電子レンジでの過熱は避けるように注意書きされている。
全国的にも知名度の高い瀬戸内海広島県産の「かき」を使用したかきカレーである。
ソテーオニオン、牛乳、バター、ココナッツで仕上げたカレーソースにかきが煮込まれていることが特徴である。
かきのまろやかな香りがとても心地よく、まさに磯の香りである。スパイスが効いており、中辛ながらもきちんと辛味が感じられるが、ココナッツミルクの甘みとかきのまろやかさが絶妙のバランスである。かきはどうしても煮崩れはしてしまうが、大粒のかきは存在感も十分。食感もしっかり残してあり、とても満足度が高い。大人向けの贅沢なカレーであり、500円を超える価格に見合った十分なクオリティーを備えている。
・購入場所:マルエツ
・内容量:250g
・販売者:株式会社MeV
パッケージは極めてシンプルである。商品画像はなく、商品名のみが中央に記載された極めてシンプルデザインだ。実際のお店を知らない限り、パッケージからは特徴が全く分からない。
原材料は、牛肉(国産、オーストラリア産)、カレールウ(食用油脂、小麦粉、カレー粉、砂糖、食塩、その他)、ソテーオニオン、リンゴピューレ、ソテーオニオンピューレ、ソテーオニオンペースト、ビーフペースト、チャツネ、小麦粉、野菜(にんにく、人参、生姜)、カレー粉、砂糖、醤油、砂糖・異性化液糖、植物油脂、バター、香辛料、動物油脂、酵母エキスパウダー、食塩/調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、酸味料、香辛料抽出物、香料、(一部に小麦・乳成分・牛肉・大豆・りんごを含む)。
一般的なレトルトカレーとは容器が全く違う。
中味が飛び出さないか少々心配ではあるが、点線まで開封すればそのまま電子レンジで加熱することができる。
「合成着色料・保存料不使用」と明記されており、昔ながらの洋食屋のカレーを再現している。何種類もの厳選されたスパイスとフルーツをふんだんに使用し、コクと旨みを風味豊かに引き出している点が特徴である。
甘い味からピリッとした本格的な辛みがやってくる。余韻がとても素晴らしいカレーだ。甘みの正体はリンゴピューレや野菜、そしてオニオンであろう。ビーフも柔らかく煮込まれている。かなり辛いがスパイスが複雑に効いており、フルーティーで深みがある本格的なカレーである。800円近い価格だが、コストパフォーマンスは十分であり、辛さやスパイスを重視する方は是非一度食べてみて欲しい。
・購入場所:マルエツ
・内容量:220g
・販売者:JA全農ミートフーズ株式会社
パッケージには辛さに関する記載が一切なく、辛口なのか甘口なのかが分からない。商品画像ではなく、飛騨牛のイメージ写真が使われている。商品名が中央に記載されており、高級感のあるデザインであるが、飛騨牛がどのように含まれているのかについては具体的に想像できない。
原材料は、牛肉(岐阜県)、野菜(にんじん、じゃがいも。にんにく、しょうが)、小麦粉、ローストオニオン、ビーフオイル、ラード、乳等を主要原料とする食品、カレー粉、砂糖、チャツネ、りんごピューレ、しょうゆ、ビーフエキス、ウスターソース、バター、食塩、トマトペースト、香辛料/調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、酸味料、香料、(一部に小麦、乳成分、牛肉、大豆、りんごを含む)。
パウチのデザインは、表面には商品イメージが、裏麺には調理方法が記載されている。
封を切らずに沸騰させたお湯に入れて温める。直接電子レンジでの加熱はできない。
厳選された飛騨牛がたっぷり入った贅沢なビーフカレーだ。
しっかりと煮込まれているため、飛騨牛は煮崩れしているが、きちんと食感を残しつつとても柔らかい。表記は無いが甘口で、辛さは感じられないが、カレー全体に飛騨牛の旨味が溶け込んでおり、深いコクがある。オリジナリティーも高く、900円近い価格だが、それに見合う価値がある。
世の中には本当に様々なレトルトカレーが存在しており、家庭的なものから地域性の強いもの、そして高級感を特長としているものまで、その種類の多さに改めて気づかされる。
そして今回、高価格帯のレトルトカレーを食べ比べてみたが、どれも特徴的で本当に様々な味わいに仕上がっていた。カレーといってもそのバリエーションは本当に豊かだ。
購入の際は是非参考にしていただければと思う。