キムチの歴史は非常に長く、数千年前まで遡る。最初のキムチは、塩や米の粥で漬けた野菜で、辛味はなかったようだ。15世前後にポルトガル人がアメリカ大陸から唐辛子を持ち込んだことにより、辛い味わいを持つようになったと伝えられている。時代が進むにつれて、キムチの種類は多様化し、朝鮮半島の各地域で独自のキムチが作られるようになった。世界的な普及は 20世紀後半から21世紀にかけて、韓国文化の国際的な普及に伴い世界中で知られるようになった。現在は、発酵食品の利点が認識され、健康食品としても注目も集めている。

味わい、辛さ、香りなど8つの項目に注目し、7種を徹底レビュー!

一般的なキムチのイメージとしては、「白菜を主材料とした発酵食品」「唐辛子の辛さと酸味」「独特な香り」「韓国の食べ物」などだろうか。

国内で製造されるキムチは、そもそも「発酵」させていない。本来「キムチ」と呼べるものなのか、それともただの「漬物」の一種に過ぎないのかは、今回は考慮しないことにして、スーパーで簡単に購入できるキムチを実際に食べ比べてみた。レビューでは下記の項目に注目した。

1.味:辛さ、甘み、酸味のバランス

2.食感:シャキシャキ、やわらかさ、歯ごたえ

3.香り:ニンニク、ショウガ、魚醤、発酵による香り

4.見た目:色の鮮やかさ

5.原材料:野菜の種類、調味料、添加物

6.辛さ:赤唐辛子、黒胡椒などスパイシーさ

7.健康面:特徴

8.価格とコスパ

「いちおしキムチ」 株式会社美山

・価格:199円(税込)

・購入場所:マルエツ

・内容量:180g

原材料は、はくさい(国産)、漬け原材料[糖類(砂糖、ぶどう糖果糖液糖、水あめ)、食塩、赤とうがらし粉、にんにく、イワシエキス、ラージャン(唐辛子食塩)、かつお節エキス、昆布エキス、乳酸菌]/調味料(アミノ酸)、酸味料、増粘多糖類。

ジャパンフードセレクション「ランプリ」受賞。国産白菜を使用し、3種類の魚介と昆布の旨みが特徴的で、甘さが際立つあま辛キムチとして紹介されている。また、植物性乳酸菌ミヤビスLB27が1440億個含まれている点もこのキムチの特徴だ。

食べてみた感想としては、「あま辛」との記載があるものの、辛さはほぼ感じられず、にんにくの効いた味わいが際立つ。魚介と昆布の旨みが加わることで、まろやかで甘い印象を受けた。国産白菜はシャキシャキとした食感。万人向けの商品だ。価格は1g当たり1.1円で、乳酸菌が含まれており、コストパフォーマンスも優れている。

「国産白菜使用 キムチ」 イオン株式会社(TOPVALU)

・価格:188円(税込)

・購入場所:マルエツ

・内容量:300g

原材料は、はくさい(国産)、漬け原材料[砂糖、だいこん、赤とうがらし粉、オキアミ塩辛、にんにく、食塩、もち粉、かつお節調味液、昆布エキス、乳酸菌、醸造酢、イワシエキス、しょうが]/調味料(アミノ酸)、酸味料、増粘多糖類、アナトー色素、ビタミンB1。

「いちおしキムチ」同様に、国産白菜を使用し、植物性乳酸菌LB27を含んでいる。販売者はイオン株式会社で、製造は「いちおしキムチ」と同じく株式会社美山。

食べてみると、甘辛い味わいながらも、赤唐辛子のピリピリ感と生姜の効いた風味がある。適度な酸味も感じられ、全体として非常にバランスが取れている。国産白菜のシャキシャキとした食感も魅力の一つ。価格は1g当たり0.6円で、バランスの良い味を考えても、コストパフォーマンスは非常に優れている。

「吉野家キムチ」 備後漬物株式会社

・価格:179(税込)

・購入場所:マルエツ

・内容量:200g増量

原材料は、白菜(国産)、漬け原材料[還元水飴、大根、唐辛子、食塩、リンゴピューレ、しょうが、オキアミ塩辛、おろしにんにく、いか塩辛、ねぎ、砂糖、こんぶエキス、タラとかにみその塩辛、アミエビ塩辛、ごま、にら]/酸味料、調味料(アミノ酸)、香料、増粘多糖類、甘味料(アセスルファムK)、キトサン、ビタミンB1、カラシ抽出物、ホップ抽出物、(一部にえび、かに、いか、ごま、りんごを含む)。

製造は備後漬物株式会社が行っているが、発売には吉野家のブランド名がキムチに使用されている点が興味深い。国産白菜と5種類の塩辛を使用しており、辛さのレベルは6段階中の3と表示されている。

食べた感想は、シンプルに美味しい。キムチらしい特徴がしっかりとしており、水を飲んでもピリピリ感がしばらく続く。酸味も効いており、白菜の食感はシャキシャキで非常に心地よい。万人向けではないかもしれないが、本格派の大人向けキムチといった印象を受けた。1gあたり0.8円と、コストパフォーマンスも優れている。

「ご飯がススム」 株式会社ピックルスコーポレーション

・価格:199円(税込)

・購入場所:マルエツ

・内容量:200g

原材料は、白菜(国産)、大根(国産)、にら、漬け原材料[醸造酢、唐辛子、食塩、りんご、にんにく、還元水飴、オキアミ塩辛、魚介エキス、糖類(果糖、砂糖)、蛋白加水分解物、発酵調味料、かつお節、生姜、ごま、乳酸菌(加熱菌体)、昆布、魚醤(魚介類)、酵母エキス、大豆発酵調味料、昆布エキス]/調味料(アミノ酸等)、酸味料、増粘多糖類、甘味料(ステビア、スクラロース)、(一部に小麦、ごま、さけ、大豆、りんご、魚醤(魚介類)を含む)。

パッケージには「キムチ」との表記はないものの、キムチ売り場に置かれており、見た目も完全にキムチだ。商品名は「ご飯がススム(甘っ辛っ)」。

キムチと表記していない理由は不明だが、割り切ったネーミングと分かり易いコンセプトが面白い。国産白菜の使用と乳酸菌Pne-12が入っている点も特徴だ。

食べた感想は、とろみとぬめりがありフルーティーな印象。原材料を見れば納得できる。国産白菜はシャキシャキの食感でアクセントとなっており、辛さはほとんどなく甘い味付けだ。子供も美味しく食べられる商品で、家族で楽しめるだろう。1g当たり0.9円。コストパフォーマンスも良い。

「ごはんに合う こくうま」 東海漬物株式会社

・価格:299円(税込)

・購入場所:マルエツ

・内容量:320g

原材料は、はくさい(国産)、だいこん、にじきん、にら、漬け原材料(果糖ぶどう糖液糖、食塩、とうがらし、りんごピューレ、発酵調味料、にんにく、たんぱく加水分解物、魚介エキス、醸造酢、しょうゆ、魚醤、しょうが)/調味料(アミノ酸等)酸味料(増粘多糖類)、カロチョノイド色素(一部にえび・小麦・いか・大豆・りんごを含む)。

ご飯に合うというコンセプトのもと、国産白菜を使用し、コクと旨みを前面に押し出している。

食べた感想としては、辛さは控えめながらも、後から徐々に感じるピリピリ感が特徴的。酸味もしっかりと効いており、コクが感じられる点が好印象だ。クセがなくバランスの取れた美味しさで、キムチの特徴を保ちつつも、幅広い層におすすめできるクオリティー。価格は1g当たり1.0円で、質を考えてもコストパフォーマンスも優れている。

「キムチくんマーク」とは

韓国でキムチの品質や安全性を保証するために使用される認証マーク。韓国食品産業協会によって管理されており、特定の基準や条件を満たしたキムチ製品にのみ付与される。キムチ君マークが付いている製品は、製造過程、原材料、衛生状態などが一定の基準以上であることを示している。主に韓国内で販売されるキムチや、韓国から輸出されるキムチに見られ、高品質なキムチを選ぶ際の目安となる。キムチ君マークを持つ製品は、味の品質だけでなく、発酵度合い、栄養価、保存方法においても優れていると認められているので、キムチを選ぶ際の参考にしてみて欲しい。(※)

(※)韓国農水産食品流通公社HPより

「釜山発 韓国農協キムチ」 東海漬物株式会社(輸入者)

・価格:499円(税込)

・購入場所:マルエツ

・内容量:300g

原材料は、はくさい、だいこん、にんにく、たまねぎ、しょうが、せり、にら、ごま。

漬け原材料は、とうがらし、食塩、えび塩辛、砂糖、いわし塩辛]調味料(アミノ酸)、(一部にえび・ごまを含む)。

韓国産の「発酵キムチ」。キムチくんマークが付けられており、食べごろの時期や、使用する料理ごとに最適な日数も表示されている。これは、発酵や熟成度合いによって、料理との相性が変わることを示している。

食べてみると、強烈な酸味とピリピリする辛さがあるが、非常に心地よい辛さだ。雑味がなく、さっぱりしており、白菜の食感も非常に良い。爽快感があり、素晴らしい仕上がりだ。数日後に食べてみると、酸味がさらに増していた。まさにクセになる味わいだ。本格的な「キムチ」を求める方には間違いなくおすすめ。価格は1g当たり1.6円で、国産キムチの約2倍近い価格だが、質を考えれば、コストパフォーマンスは決して悪くない。

「韓キムチ」 モランボン株式会社(輸入者)

・価格:449円(税込)

・購入場所:マルエツ

・内容量:300g

原材料は、白菜、漬け原材料[大根、赤唐辛子粉、玉ネギ、ニンニク、食塩、アミ塩辛、長ネギ、砂糖、生姜、ニラ、イワシ塩辛、カツオエキス]ソルビートル、調味料(アミノ酸)、pH調整剤。

韓国の農水産物にこだわった、本場韓国の発酵キムチ。

食べた感想としては、強烈な酸味と持続するピリピリとした辛さが際立つ。辛さも強いが酸味の方がさらに強い。「韓国農協キムチ」と同様に、非常にすっきりとした味わいが特徴的だ。コクのある熟成キムチであり、発酵感が非常に強く、本格的なキムチの証だ。価格は1g当たり1.4円と高価だが、その品質を考えればコストパフォーマンスは十分に納得できるレベル。

【総評】国産キムチと韓国キムチの違いは?

一般的にキムチは辛い食べ物というイメージがあるが、国産キムチを食べてみると、辛さが想像以上に控えめであることに驚かされる。色が赤いからといって必ずしも辛いわけではないのだ。日本人の好みに合わせてマイルドに仕上げられた商品が多く、乳酸菌を加えた商品がトレンドとなっている。

一方で、発酵している韓国産のキムチは、しびれるような辛さと強烈な酸味が特徴的。発酵の過程で色も味も変化し、食べ頃の時期は料理への使用方法や個人の好みによって異なる。キムチの発酵は主に乳酸発酵によるもので、乳酸菌を入れる必要もない。野菜の糖分が乳酸菌によって乳酸に分解されることで、特有の酸味を生み出し、保存性を向上させている。

しかし、発酵させたキムチと発酵させていないキムチ(漬物とも呼べるかもしれない)では、価格に大きな差があり、一方が他方より優れているとは一概に言えない。味の好みは個人差が大きい。また、国産商品の中にはパッケージに「キムチ」と書かれていないものもある。マイルドで家族みんなが楽しめる国産キムチか、本格的なキムチを求めるなら韓国産を選ぶと良いだろう。シチュエーションに応じて選択することが大切だ。そして、国内で最も売れている漬物が「キムチ」であることも事実であり、発酵させていない国産キムチも侮ることのできない存在だ。多くの商品が陳列されているが、キムチ選びの一助となれば幸いだ。

情報提供元: おためし新商品ナビ
記事名:「 【キムチ7種食べ比べ】あなたの好みを見つけてみて! スーパーで購入できるキムチを徹底比較