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1853年、ニューヨーク州のムーンズ・レイクハウスで働いていたシェフ、ジョージ・クラムは、厚切りのフライドポテトを提供した際、客からこれを薄くスライスして再度揚げるよう要求された。要求に腹を立てたクラムは、ポテトを意図的に極薄にスライスし、キツネ色になるまで油で揚げ、塩を振って提供した。この偶然が予想外に顧客に好評を博し、ポテトチップスが誕生したとされている。
1895年、オハイオ州クリーブランドのウィリアム・タペンドンは自宅でポテトチップスを製造し、地元の食料品店へ供給を始めた。この取り組みにより、それまではレストランやリゾート地に限定されていたポテトチップスの提供が、一般市場に広がることになった。
アメリカのハーマン・レイ(Lay's社)はアトランタのポテトチップス製造会社を買収し、全国的なブランドを確立した。1950年代には、アイルランドの「TAYTO社」がフレーバーを付ける技術を開発。その後、Lay's社とフリトー社が合併して誕生した「フリトレー社」が追従した。現在、ポテトチップスはアメリカで年間約70万トンの消費がされ、偶然の産物から世界中で愛されるスナックに成長した。
今回は、スーパーやコンビニで簡単に購入できる「海外のポテトチップス」に焦点を当て、下記の項目に基づいて食べ比べてみた。
1. フレーバーと独自性
2. 食感(カリカリ、サクサク、厚み、波状カットなど)
3. 塩分と味付け(塩分過多は健康に影響)
4. 油っぽさ(多すぎれば重く感じる)
5. パッケージと量(デザイン、開封のしやすさ、内容量、空気の割合)
6. 原材料(使用状況を比較、自然原料、無添加)
7. 価格(量と質)
8. オリジナリティー(どのような独自性を出しているか、新しい試みか)
1968年にアメリカで初めて発売された後、プリングルズは世界中で販売されるようになった。現在、ヨーロッパ、ニュージーランド、南米、イスラエルなど多くの国で入手可能で、様々な味や地域限定のバリエーションが提供さている。日本ではアメリカ版のプリングルズが販売されている。
「PRINGLES」CHEEEEEESE 4種類の濃厚チーズ
・購入場所:まいばすけっと
・購入価格:199円(税込)
・内容量:105g(100g/535kcal)
・原産国:マレーシア
・輸入販売:日本ケロッグ株式会社
原材料はポテトフレーク、植物油、小麦でん粉、調味粉(マルトデキストリン、食塩、砂糖、酵母エキスパウダー、チーズパウダー(チェダーチーズ、クリームチーズ、モッツァレラチーズ、パルメザンチーズ)たんぱく質濃縮ホエイパウダー)、米粉、マルトデキストリン/乳化剤、香料(大豆由来)、調味料(アミノ酸等)、ph調整材、パプリカ色素。
チーズの濃厚な香りは食欲を刺激する強烈なインパクトを持っている。チェダー、クリーム、モッツァレラ、パルメザンの4種類のチーズが使用されており、厚みは中間で、断面には美しいチーズ模様があり、見た目も魅力的だ。食感はサクサクしており、塩分と油分のバランスも良い。プリングズの定番キャラクターとチーズを連想させるイエローのパッケージは店頭で目立っている。合成着色料や合成保存料を使用していない点も評価できる。1g当たり1.8円と、コストパフォーマンスが非常に高い。極めて濃厚なチーズの風味でオリジナリティーを高め、非常に美味しいポテトチップスだ。
「PRINGLES」おつまみ海苔 旨み!きわだつ
・購入場所:まいばすけっと
・購入価格:199円(税込)
・内容量:97g(100g/511kcal)
・原産国:マレーシア
・輸入販売:日本ケロッグ株式会社
原材料はポテトフレーク、植物油、コーンフラワー、小麦でん粉、調味粉(砂糖、マルトデキストリン、食塩、植物油、海苔パウダー、醤油パウダー(大豆等を含む)、海苔フレーク、マルトデキストリン/乳化剤、調味料(アミノ酸等)、ph調整材、酸味料。
香りは控えめながら、ほんのりと海苔の風味が漂う。厚みは中間で食感はサクサクしており、断面には海苔の色と模様が美しく、これはシリーズの特徴の一つだ。塩分と油分は控えめで、品のある海苔の味わいが楽しめる。シンプルで食べやすいため、次々と食べ進めてしまう。プリングルズの定番キャラクターと、海苔を連想させる深いグリーンのパッケージ。1g当たり2.0円とコストパフォーマンスも素晴らしく、シンプルながらも安定のクオリティーを持つ、多くの人に好まれる味わいだ。
上述のハーマン・レイがスナック食品事業を開始したことに起源を持つ「Lay‘S」シリーズ。 日本ではカルビー傘下のジャパンフリトレー社が輸入販売を行なっている。
「Lay‘S」オリジナル
・購入場所:マルエツ
・購入価格:579円(税込)
・内容量:140g(100g/539kcal)
・原産国:タイ
・輸入販売:ジャパンフリトレー株式会社
原材料はじゃがいも、植物油、食塩。
品の良いジャガイモの香りが心地よく漂う。原材料は、じゃがいもと植物油、食塩のみで、素材の風味が際立っている。厚みは薄切りで、食感はパリパリしており、余計な塩分や油っぽさは感じられない。シンプルで素材の味を活かした、非常に美味しいポテトチップスだ。パッケージはイエローを基調とし、「Lay‘S」のロゴと写真が数枚ある。国内メーカーのパッケージとは異なり目立っている。空気が多く含まれているため少し大きいが、これはポテトチップスが割れないようにする工夫であり、原材料へのこだわりとオリジナリティーが高い製品だ。1g当たり4.1円と高価であるが、そのコストパフォーマンスは食べてみれば納得できるものだろう。
「Lay‘S」サワークリーム&オニオン
・購入場所:マルエツ
・購入価格:579円(税込)
・内容量:140g(100g/525kcal)
・原産国:タイ
・輸入販売:ジャパンフリトレー株式会社
原材料はじゃがいも、植物油、ホエイパウダー、砂糖、食塩、全粉乳、オニオンパウダー、パセリパウダー、黒コショウパウダー、酵母エキスパウダー、チリパウダー/調味料(アミノ酸等)、香料、酸味料(一部に乳成分、大豆を含む)。
サワークリームのほのかでまろやかな香りが心地よい。原材料は同じ「Lay‘S」オリジナルと異なり、サワークリーム風味を出すための砂糖や野菜、香辛料のパウダーが使われている。味わいも、サワークリームのインパクトが際立っている。薄切りでパリパリとした食感は「Lay‘S」シリーズの特徴の一つだ。塩分は適度だが、少し油っぽさを感じる。パッケージは植物を思わせるさわやかなグリーンが基調。最大の特徴は味付けで、サワークリームのまろやかさとオニオンの甘さが混ざり合ったと2種類の風味が楽しめる。
ハンターフーズは、1985年にドバイで創業されたスナックメーカー。同社の厚切り手揚げポテトチップスや野菜チップスは、アジア、欧米、アフリカを含む40以上の国で愛されている。
「HUNTER‘S」黒トリュフ風味
・購入場所:マルエツ
・購入価格:528円(税込)
・内容量:140g(100g/525kcal)
・原産国:アラブ首長国連邦
・輸入販売:エヌアイエフフーズサービス(株)
原材料はじゃがいも、植物油脂、シーズニング調味料(マルトデキストリン、食塩、砂糖)/香料)。
中東メーカーが製造するポテトチップスで非常に興味深い。黒トリュフ風味のチップスは、独特の強い香りが特徴だが、実際には黒トリュフは使用されていない。コストを考慮すると理解できる部分だ。塩分も強めで、油っぽいが、薄切りの堅揚げされたカリカリの食感が魅力だ。食べ応えのあるポテトチップスで、パッケージは黒トリュフを思わせるブラックとゴールドで高級感がある。珍しい幅広の缶タイプは店頭でも目立っている。オリジナリティーは強烈で好みが分かれるが、大人向けの商品だ。苦めのビールや辛いお酒と相性が良いだろう。1g当たり3.7円と高価だが、試す価値のある商品だ。
「HUNTER‘S」白トリュフ&ポルチーニ風味
・購入場所:マルエツ
・購入価格:528円(税込)
・内容量:150g(100g/507kcal)
・原産国:アラブ首長国連邦
・輸入販売:エヌアイエフフーズサービス(株)
原材料はじゃがいも、植物油脂、シーズニング調味料(マルトデキストリン、食塩、砂糖、乾燥粉末(白トリュフ、ポルチーニ、ホエイパウダー(乳成分を含む)/アラビアガム、香料。
ポルチーニが支配的だが、白トリュフとポルチーニの組み合わせは独特の香りと品がある。このポテトチップスには白トリュフとポルチーニの粉末が使われている。油っぽさは感じられるが、塩分は適度で、薄切りでカリカリとして食感は食べ応えがある。パッケージはブラウンとゴールドで、HUNTER‘Sの特徴である高級感と存在感がある。黒トリュフほどのインパクトは無いが、十分なオリジナリティーがあり、非常に美味しいポテトチップスで、どんどん食べ進めてしまう。
全体の感想として、海外産のポテトチップスについては、以前は大まかな味付け、高カロリー、量が多いというイメージを持っていたが、実際はそのようなことはない。多くの商品が高品質で、原材料にこだわり、フレーバーに独自性を持ち、オリジナリティーが高く、品質も優れていた。次回は国産メーカーのポテトチップスを食べ比べてみたいと思う。