近年、就職活動のスタイルが大きく変わりつつあります。かつては「就活解禁」とともに企業の説明会やエントリーが始まり、夏以降にインターンシップ、秋から冬にかけて本格的な選考が進んでいくのが一般的でした。しかし、今の大学生たちは、もっと早い段階から就職を意識し、企業との接点を持ち始めています。特に、2026年卒(現在の大学3年生)の就活生は、すでに「最終面接」を受けている人が前年の約1.5倍もいるというデータが発表されました。

この変化の背景には、人手不足による企業側の採用活動の早期化や、学生たちの意識の変化があります。「なるべく多くの企業を知りたい」「就活の準備を早めに進めたい」という思いから、説明会やインターンだけでなく、新たに注目されている「オープンカンパニー」と呼ばれる仕組みを活用する学生も増えています。

「オープンカンパニー」は、企業や業界について学ぶことを目的としたもので、大学1・2年生でも参加できるのが特徴です。就職を目前にしていない段階から、企業のことを知り、将来の働き方を考える機会が増えているのです。こうした変化は、単なる就職活動の早期化だけでなく、若い世代の「働き方」に対する価値観の変化も反映しているのかもしれません。

では、実際に今の学生たちはどのように就活を進めているのでしょうか。今回発表されたデータをもとに、最新の就活事情を詳しく見ていきます。

就活の早期化が進行中 2026年卒の動向とは

TimeTree未来総研の最新データによると、2026年卒の就職活動は前年と比べて大きな変化を見せています。合同説明会への参加時期が大幅に前倒しされ、企業理解の新たな手法として「オープンカンパニー」が定着しつつあります。また、最終面接に進む学生の数も前年の1.5倍に増加するなど、就活全体の流れがこれまで以上に早まっていることがわかりました。

就活のスタートがさらに前倒しに? 4月・5月の合同説明会参加が急増

4月・5月の合同説明会の予定登録数は、前年の最大4倍に達しました。合同説明会は、企業と学生が初めて接点を持つ重要な場ですが、従来は夏以降に活発化していました。しかし、2026年卒の学生は大学3年生に進級してすぐに動き出しており、特に夏以降の登録数が減少傾向にあることから、就活全体の前倒しが進んでいると考えられます。

この背景には、人手不足の影響で企業側の採用活動が早まっていることが挙げられます。その結果、学生も「早めに情報を集め、選考に備えたい」という意識を強めているのかもしれません。今後は、企業研究や自己分析をより早い段階で進めることが求められる一方で、焦らず自分に合った企業を見極める冷静さも必要になりそうです。

「オープンカンパニー」が本格始動 企業理解の新たな選択肢に

2026年卒では、新たな企業理解の方法として「オープンカンパニー」の活用が広がっています。前年にはそれほど多くなかったこの取り組みが、6月頃から急増し、9月をピークに定着しつつあるようです。

オープンカンパニーは、企業や業界への理解を深めるための場として設けられたもので、大学1・2年生でも参加できる点が特徴です。従来のインターンシップとは異なり、説明会や交流を中心とし、実際の業務体験は含まれません。そのため、「とりあえず企業のことを知っておきたい」「就活の準備を始めたい」と考える学生にとって、気軽に参加できる機会となっています。

2025年卒の時点では導入されたばかりで、参加者はまだ少なかったものの、2026年卒では急速に利用が広がっていることがデータからも読み取れます。これにより、学生がより早い段階で業界研究を進め、企業との接点を持つことが当たり前の流れになりつつあるのかもしれません。

最終面接の早期化が加速 26年卒は前年の1.5倍に

2026年卒の就職活動では、選考の最終段階である「最終面接」に進む学生の数が大幅に増加していることがわかりました。10月から2月にかけての「最終選考」や「最終面接」の予定登録数は、前年と比較して1.5倍に増加しています。

この結果からも、就職活動の早期化が加速していることが明らかです。企業がより早い段階で優秀な学生を確保しようとしていることが背景にあり、その影響で学生側も早期から本格的な就活を進める傾向が強まっています。

特に、最終面接は内定直前の重要なステップであるため、本来であれば就活が本格化する3月以降に集中するものと考えられていました。しかし、10月から2月の段階で既に多くの学生が最終選考に進んでいることから、企業と学生の双方が「できるだけ早く内定を確保する」動きを強めていることがわかります。

この流れは今後も続く可能性が高く、就活生にとっては、より早い段階から企業研究や選考対策を進めることが求められる時代になっているといえそうです。

就活の早期化が進む中で大切なこと

今回のデータから、2026年卒の就職活動はこれまで以上に早期化していることが明らかになりました。合同説明会への参加が前倒しになり、オープンカンパニーの活用が広がり、最終面接の進行も加速しているなど、企業と学生の接点は年々早まっています。

しかし、早く動けばよいというわけではありません。焦って就職先を決めてしまうのではなく、しっかりと企業研究を行い、自分に合った働き方やキャリアを考えることが大切です。企業との接点が増えている今だからこそ、さまざまな選択肢を知り、自分の価値観に合った仕事を選ぶ視点を持つことが重要になってくるでしょう。

就活の形が変わり続ける中で、自分にとって最適なタイミングと方法を見つけながら、納得のいく選択をしていくことが求められています。


TimeTree 未来総研について

TimeTree 未来総合研究所は、全世界の登録ユーザー数が6,000万人を超えるカレンダーシ ェアアプリ「TimeTree」に登録された100億超の予定データを統計的に分析する TimeTree の社内研究所です。多様性に溢れ、先の読めない時代においても、みなさまが納 得して未来を選べるきっかけをつくるために、予定データから見える世の中の動きや未来 の兆しを発信しています。

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情報提供元: ナイスコレクション
記事名:「 就活のスタイルが変わる?「オープンカンパニー」で企業を知る時代へ