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最初に、本アワード主催の株式会社SmartHR代表取締役CEOの芹澤雅人氏からご挨拶がありました。2021年に創設された本アワードがおかげさまで3回目を迎えることができたことに感謝し、ご応募くださった方や熱意をもって審査にあたってくれた審査員の方々に心からの感謝の意を述べました。弊社が掲げる「労働にまつわる社会課題をなくし、誰もが自分らしく働ける社会を作る」というコーポレートミッションの一環として、本アワードが位置づけられていることに触れ、企業活動としての重要性を強調しました。 今年は様々な企業や団体から106件もの応募を頂き、自らも審査員として全応募作品を精査したとのこと。最後に、今後も「WORK DESIGN AWARD」を通して、日本中で生まれ続けている意義深い取り組みを発見し、それを広く伝えていきたいと語りました。
続いて「ACTION」「PRODUCT」「PERSON」の部門賞の発表が行われました。
まず始めにACTION部門の部門賞の発表がありました。
こちらは企業などの組織や団体、個人の働き方を前進させることに貢献した取り組み・活動・制度・組織文化の創造などを対象とした部門です。
株式会社NEXT LEVEL
■取り組み名
少子高齢化を問題とだけで捉えるのではなく、高齢者の個性、特性を生かした高齢者雇用の笑始高齢化飲食店運営
株式会社NEXT LEVEL 吉川 空氏
私たちはスープカレー奥芝商店を運営し、北海道と東京で12店舗を展開しています。その中で、主婦業を長年行ってきた60歳以上の女性の従業員のみで運営される『スープカレーおくしばぁちゃん』を開店しました。店舗は住宅街の中にあり、ひっそりと、ゆっくりとした時間の中で営業させていただいています。札幌にお越しの際は、ぜひご来店くださいと話しました。
株式会社すかいらーくホールディングス
■取り組み名
ファミリーレストランでの配膳ロボット3,000台導入と日常への定着による多様な人財の活躍推進
株式会社すかいらーくホールディングス 北島 正慶氏
我々外食業界は、新型コロナウィルスで大変厳しい時期を経験しました。弊社には9万人のスタッフがおり、その中で配膳ロボットやテーブル決済などの導入を通じて確保できた時間を活かし、全国のパート・アルバイトの方々に対してオンライン研修を実施し、スタッフの教育に積極的に投資しました。人は人にしかできないサービスを提供することに特化しており、その価値を大切にしています。これからも変革と挑戦を続け、お客様に安心で美味しいサービスを提供できるよう、努力し続けていきますと話しました。
医療法人社団 仁生会 甲南病院
■取り組み名
日勤者と夜勤者を視覚化することで交代の意識を高め、残業削減とワークライフバランスを充実させる
医療法人社団 仁生会 甲南病院 廣瀬 京子さん
24時間勤務の交代勤務を担う看護師や介護士の働き方改革の一環として、マスクの色を活用して日勤者と夜勤者を視覚的に区別化し、効率的な申し送りを実現する取り組みを導入しました。また、勤務終了者が明確になることで、同僚同士のコミュニケーションを促進し、労いの言葉を掛けやすくなりました。今後も職場環境の向上に向けて積極的に取り組んでいきたいと話しました。
邦美丸
■取り組み名
完全受注漁による持続可能な漁業と地域経済の革新
邦美丸 富永 邦彦氏
漁業を取り巻く問題として、不安定な収入や長時間労働、高齢化や後継者不足などが存在し、過度な漁獲により持続可能な水産資源の確保が困難な状況でした。そこで、完全受注漁では、既存のECサイトやSNSを活用して漁の受注を行い、注文に基づいて漁獲量を調整しています。自ら価格設定することで収入を安定にし、後継者問題の解決や、無駄な漁獲を避け水産資源を未来に残すことにも繋がります。最後に、私のような法人化もされていない漁師がこのような名誉ある賞を頂けたことは、日本の生産者にとって大きな夢や希望になると信じていますと話しました。
ワンぽてぃと
■取り組み名
ひきこもりや不登校をサポートする新たな働き方の実現
ワンぽてぃと 小栗 加奈さんと娘さん
ひきこもりや不登校の方たちが、社会復帰を目指すための第一歩となる働き方がないことに着目し、ご自身の娘が不登校だった時期に、この子を受け入れてくれる社会があるのかと考えました。そういった状況の子どもたちが世の中にあふれているのではないかと思い、彼らに不安の中でも気軽に出てこられるような場所を提供したい、との思いから、事業を始めました。当事者の方たちは、長時間働くことや毎日会社に出勤することが難しく、人との交流や社会との繋がりを徐々に持てるようにする必要がありました。そこで、理解ある方々と訓練でき、安心して働きながら自信をつけられる仕事場を提供しました。具体的には、15分から働くことができ、時給も発生する「超フレックスタイム制」を実施しました。ご自身の娘がきっかけで事業を立ち上げたところ、累計100名以上のお問い合わせを頂いたと話しました。
続いてPRODUCT部門の部門賞の発表です。
働き方の課題解決や働きやすさを前進させることに貢献したプロダクト・サービス・コンテンツなどを対象とした部門です。
VALT JAPAN株式会社
■取り組み名
就労困難者特化型BPOプラットフォーム「NEXT HERO」
VALT JAPAN株式会社 小野 貴也氏
単に企業と障がい者をマッチングするだけでは、障がい者のスキルや特性を見極めておらず、業務が持続しないことが多いと認識しました。そこで、VALT JAPANが受注窓口となり、BPOの仕事を請け負い、全国の就労継続支援事業所に業務を分配するという、福祉と経済の断絶を埋めるプラットフォームを設立しました。 元々製薬会社に勤めており、精神疾患の医薬品を扱っている中で、うつ病や不安障害などを持つ方々が医薬品で症状は改善するものの、仕事で上手く行かないという問題があることを目の当たりにしました。多くの就労困難な方々が仕事を通じて大活躍できる社会を作っていきたいとの思いを話しました。
野田配管工業株式会社
■取り組み名
教育型建設業マッチングサービス「現場のヒーロー」
野田配管工業株式会社 野田 秀太郎さん
技術のある職人の引退、若い人材の育成不足による技術の低下から施工不良が蔓延し、建設コストが増大していること、下請け構造で職人の収入が低いことが課題となっています。そこで、発注者と職人を直接マッチングするシステム「現場のヒーロー」を構築しました。若者の職人離れが加速していることを強調し、当システムだけではとても追いつかないので、今後は新たなシステムを開発していきたいと話しました。
日本テレビ放送網株式会社
■取り組み名
AIモザイク編集ソフト「BlurOn」
日本テレビ放送網株式会社 杉町 夏実さん
TV・映像業界では写り込んでしまった人や車のナンバープレートなどに、モザイクを入れる作業が大きな手間になっており、1分の映像に1時間もかかることもあります。単純な手作業のため、モチベーションが低下しやすい一方で、年々個人情報保護の要求が高まり、作業は増加傾向にあります。これを自動化するために開発したシステムは、認識精度が99%で、作業時間を最大90%削減することに成功したと話しました。
株式会社フォーデジット/株式会社レキサス/しんぐるまざあず・ふぉーらむ
■取り組み名
MOM FoR STAR(マムフォースター)
株式会社フォーデジット 田口 亮氏
沖縄のシングルマザーの就労問題と全国的なデジタル人材不足の問題に焦点を当て、相互にメリットのある仕組みの構築を目指し、プロジェクトを開始しました。沖縄と聞くと観光地のイメージが強いですが、沖縄の社会問題としては、離婚率が高いことから、シングルマザーが多く就労に困っている方が多いと聞き、沖縄の企業とシングルマザー支援団体と協力してこのプロジェクトを立ち上げました。 本当に頑張っているのは現場にいる方たちなので、その方たちに本日の賞を頂いたことを伝えたいと話しました。
株式会社Lively
■取り組み名
話を聴くが仕事になる「LivelyTalk」
株式会社Lively 岡 えりさん
望まない仕事で心を消耗してしまう人や、自分は価値のない人間だと孤立してしまう人がいる一方で、聴く力を持った人が能力を活かせる仕事が普及していなかった。そこで、話を聴くのが得意な方を募集し、多種多様な人に有料で話を聴いてもらうWebサービス「LivelyTalk」をリリースしました。3人の子どもがいることにより、仕事と子育ての両立が難しく退職してしまったご自身の経験から「LivelyTalk」を立ち上げ、働きたくても働く選択肢が少ない方のためにも、こういった仕事を普及できるように頑張りたいと話しました。
最後はPERSON部門の部門賞の発表です。
働き方や取り組みが、世の中に新たな気づきや前向きな影響を与え、働きやすさを前進させることに貢献した方を対象とした部門です。
今尾 朝子さん
■取り組み名
働く子育て世代の読者の悩みに寄り添い、発信を続ける
女性向けファッション・ライフスタイル雑誌『VERY』の編集長に就任後、子どもができてからは17時半に退社する働き方を選択し、女性編集長が後に続くような働き方を工夫しながら、現在は統括編集長として業務を続けています。編集長を16年ほど続けている中で、働くママたちの悩みを聞く機会が多い中、それを企画に取り入れています。例えば「夫の筋トレが止まらない」「子供を21時までに寝かせるのが理想論に向き合いたい」などのトピックを取り上げ、読者の方の悩みを共有しています。読者の方の悩みが解決までには至らなくても、それらを社会に伝えることを大切にし、これからも続けていきたいと話しました。
内田 良氏
■取り組み名
教員の長時間労働を見える化し、改善のための研究・啓発に取り組む
教育現場を変革するために署名や提言を積極的に行う一方、著書で教育の変革を訴えています。特に、「給特法」と呼ばれる法律が教員の残業を無かったことにしてしまう原因となっていることに焦点を当て、「給特法のこれからを考える有志の会」の一員として、法律の廃止を含む労働環境の改善を求める活動を行っています。小学校と中学校の教員の持ち帰りの仕事を含めた平均の残業時間が小学校で80時間、中学校では100時間を超えている現状について指摘し、「給特法」によって公立校ではタダ働きとなっている実態があると話し、教員の定時前に生徒が登校し、定時の後に下校するという状況が学校の働き方を土台から崩壊させていると述べ、これまで放置されてきた現場を変えていきたいと話しました。
黒田 剛氏(FC町田ゼルビア監督)
■取り組み名
組織の役割分担・コンセプトの共有を軸に、コミュニケーション力でチームをまとめる
FC町田ゼルビアの経営基盤が代わり、選手もほぼ一新され新しいチームになったタイミングで監督に就任しました。かつて青森山田のサッカー部監督として培った経験から、組織の役割分担を重視し、監督がすべてを担うのではなく、監督・コーチを含むスタッフ・選手が一人ひとりが自らの役割を理解し、そのポジションで責任感を持って進めることで、ブレない自立した組織を築くことを重要視しています。約30年間にわたり青森で高校教師として、高校サッカー部の監督として活動してきた経歴を背景に、今年からJ2のFC町田ゼルビアの監督を務め、J2優勝およびJ1昇格のミッションを達成することができました。一人の力だけでなく、選手やスタッフ一人一人が素晴らしい仕事をしてくれたおかげでの成果と語り、来季からはJ1での新たなステージになりますが、チャレンジャー精神を忘れず頑張っていきたいと述べました。
また、本日は欠席された3名もお名前と取り組み名のみご紹介いたします。
平田 はる香さん
■取り組み名
“健康的な経営”を長野県から推進・拡大
斎藤 工氏(俳優)
■取り組み名
日本の映像業界における変革とカルチャーの継承に第一線で取り組む
ぼる塾さん(女性お笑いカルテット)
■取り組み名
柔軟で持続的な働き方を4人で考え 実践
続いて各部門のグランプリの発表です。
グランプリは各部門賞に選ばれた取り組みの中からビジネスパーソン1万人による一般投票で選ばれました。
ワンぽてぃと
VALT JAPAN株式会社
ぼる塾
授賞式では、全国各地で展開されている様々な働き方改革の取り組みが発表され、その多様性と創造性に驚かされました。受賞者たちのプレゼンテーションでは、それぞれのアイディアや取り組みが具体的に紹介され、「WORK DESIGN AWARD」が、「働き方改革」の一翼を担う重要なイベントであることが感じられました。主催者である、株式会社SmartHRの芹澤雅人氏の挨拶では、本アワードの意義や今後の展望について熱く語られ、労働環境の改善や社会の課題に対する意識や、受賞者たちへの感謝の気持ちも強く伝わってきました。授賞式全体を通して、働き方改革においてさまざまなアプローチが試され、新たなビジョンが生まれていることが印象的でした。今後、これらの取り組みが社会全体に広がり、より良い労働環境が実現されることを期待しています。