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地域に密着した事業や独自の事業を展開する企業を紹介するシリーズ企画「企業探訪」。今回は伝統製法にこだわったはるさめの製造・販売を行う奈良食品株式会社(奈良県桜井市)を紹介します。
安心・安全な商品を届けるために、漂白剤・食品添加物不使用の国産原料を使った「戎 国産はるさめ」を製造しています。
「国産はるさめのファンを増やしたい」と話す坪嶋慶代表取締役に、現在の取り組みや今後の展開などを聞きました。
奈良食品は1963年に国産はるさめ発祥の地といわれる奈良県桜井市で設立。創業以来、職人による手作業と天日干しにこだわった伝統製法ではるさめを製造しています。
原料に南九州産甘藷でんぷん、北海道産馬鈴薯と産地を指定した国産原料だけを使用。食品添加物・漂白剤などは全く使っておらず、さつまいもでんぷん由来の少し黄色味のある自然な色あいが特徴です。
昔ながらの伝統製法にこだわっており「原料をこねる作業が機械化されただけ、そのほかは変わっていない」とのことです。
はるさめは原料をこねた後、穴の開いた器具から熱湯の中にでんぷんを落として麺状に成形。手繰り寄せ棒にかけてゆっくりと冷凍させます。解凍後、天日乾燥(夏場は1~1日半、冬場は2~3日)を行い、袋詰めをして完成となります。
現在ではシート状の原料を麺の形に切り分けて、茹で上げるメーカーが多いそうです。奈良食品では「冷凍の工程があることで麺の中に空洞ができ、味が染み込みやすく」なることから、昔ながらの製法にこだわっています。
出来上がりの「食感が違う」ことから機械干しではなく、昔ながらの天日干しを続けています。職人が乾燥状態を見極めて期間を調整することで、曲げても折れずにしなる、調理した時に食感の良いはるさめが出来上がります。
一番人気は代表商品の「戎 国産はるさめ」。南九州産甘藷でんぷんと北海道産馬鈴薯だけを使い、もちもちとした食感が特徴です。
このほか、平たくて太い形状の「戎 国産すき焼きはるさめ」、丸くて太い形状の「戎 国産はるさめ太麺」、もちもち度が増した「吉野葛入り 戎 国産はるさめ」などをそろえています。
また、「吉野葛入り」よりもさらにもちもちの食感が楽しめる「こんにゃく入り」も直売所・マルシェ出店限定で販売しています。
より多くの人に「戎 国産はるさめ」を食べてもらいたいとの思いから、大阪などで不定期に国産はるさめの詰め放題イベントを開催。
天日干し工程で出るふし部分をお得な価格で提供しています。イベントを通じて来店客と対話をする中で「戎 国産はるさめ」の食べ方やこだわりなども伝え、「戎 国産はるさめ」ファンの獲得にも取り組んでいます。
公式サイトでは「戎 国産はるさめ」を使った「戎 国産はるさめ」を使った「麻婆はるさめ」、「はるさめ太麺」を使った「まぜ麺」などのレシピ提案も行っています。
秋冬シーズンに合わせて消費者の簡便ニーズに対応した冷凍太麺も発売予定です。太麺を戻してから冷凍しているので、開封して鍋に入れるだけで手軽に「戎 国産はるさめ」が食べられます。
奈良食品ではSDGsの取り組みを進めています。製造工程で発生するはるさめの「ふし」の部分を子ども食堂に提供するほか、製造で出た歩留まりは飼料に活用。「産業廃棄物を出さない食品工場」として、事業展開しています。
包装資材をプラスチックから紙に切り替えた「戎 鍋用国産 はるさめ」を発売。本社社屋の屋根にソーラーパネルを設置するなど、環境に配慮した取り組みも進めています。
今までは手繰り寄せ棒にかけて天日乾燥させたとき、ふしの部分や端の少し曲がった部分をのけて、まっすぐな部分だけを商品化してきました。
食品ロス削減のために2024年7月頃から、ふしの部分や端の少し曲がった部分も入れた商品を発売します。また、製造で出た歩留まりを活用した加工品の開発にも取り組んでいます。