毎日が緊張の連続で、日中は気が張りっぱなし。この春から今までと違った環境に身を置き、ふとした瞬間に自分自身に不安を覚えたり、疲れを感じる方も多いかもしれません。
そんなときに、手に取って初心に戻れるような絵本シリーズをご紹介します。
OECD 幸福度ランキング(※1)において、 幸福度(合計スコア)が高い国の一つ、スウェーデン。
そんなスウェーデンの学校には、オリエンテーリング科という教科があります。これは人間の生き方を模索しながら、同時に社会の様々な問題にも目を向けるというもの。友情、孤独、幸福といった人間関係において大切なテーマが扱われています。
ご紹介する絵本は、1970~1980年代に「こころの教育」副読本として絵本となって刊行され、日本では10年足らずの間に述べ80万部を越えるロングセラーになっています。
シンプルでまっすぐな問い
絵本シリーズ名は、『あなたへ(全15冊シリーズ)』。
作者のレイフ・クリスチャンソン(Leif Kristiansson)は、1937年スウェーデン生まれ。社会科教師、教育長などを経て1996年夏に教育界から退き、現在は作家活動に専念しています。
こころの問題をテーマにした多数の作品の中でも同シリーズは彼の代表作で、15点を超える作品が現在でも支持を得ています。
「じぶん」を各自が探求しながら自己肯定感を高め、さらに「じぶん」と連続する他者との関係を適切に構築し、究極的には地球市民としての自覚ある人間の育成を目的として、全体が構成されています。
元々学校教材として使われていることもあり少し難しい説明ですが、中でも最も全体の流れを表現している、5冊をご紹介します。
「じぶん」
引用元:amazon.co.jp
(レイフ・クリスチャンソン/1997年、岩崎書店)
いまの自分は、「自分の持っていること」をたくさん使えているのでしょうか?一度立ち止まってみたいと思える言葉たち。新しい毎日に少し疲れている方におすすめです。
「ともだち」
引用元:amazon.co.jp
(レイフ・クリスチャンソン/1995年、岩崎書店)
社会に出て、仕事に追われ、急ぎすぎていませんか?あなたがあなたらしく居れるときは、誰と過ごすときでしょうか。大切な誰かを想いながら、読み進めたい1冊。
「ゆうき」
引用元:amazon.co.jp
(レイフ・クリスチャンソン/1997年、岩崎書店)
何をしたって、うまくいかない。失敗ばかりしてしまう。でも、失敗しないようにすることが、いいことなのでしょうか?
あなたにとっての「勇気」を見つめ直してみませんか。
「あこがれ」
引用元:amazon.co.jp
(レイフ・クリスチャンソン/1996年、岩崎書店)
あなたはどんな人と生きていきたいですか?家族にも、恋人にも、いつか巡り会う人にも通じる言葉がつまっています。
「わたしのせいじゃない—せきにんについて 」
引用元:amazon.co.jp
(レイフ・クリスチャンソン/1996年、岩崎書店)
個人的に最もおすすめの1冊。あなたにとって、責任とはなんでしょう?わたしたちは日常生活に生きている1人でもあり、同時に地球に生きる1人でもあるのです。
絵本が生み出すこころの変化
日本の公教育の現場においても、この絵本シリーズをテキスト化し、効果を生み出しています。
2005年大阪府の小学6年生児童6年生に対し、4ヶ月に渡る全10回の授業が行われました。(※2)使用したのは、ご紹介した2冊「じぶん」「ともだち」を含む、「ひとりぼっち」「たいせつなあなた」の4冊。
思春期の子どもの人間関係の変化として、「こころの教育」にふさわしい本であることの結果が立証されました。
研究対象とされた子どもたちの「じぶんを見つめること」と「他者とのつながりを考えること」を深めることができた。
母親と2人で暮らすA君は、授業の中で、「じぶん」を絵で表現したり、「ともだち」を理解するための想像力を働かせ意見交換をすることで、次第に素直な感情をクラスで話せるようになり、クラスメイトとの関係性の向上が確認されました。
また、
・授業実践者である担任教師は、独自の方法で授業を進めることで指導力が向上し、また自身の意識を変えることができた。
とも報告されています。
たかが絵本、されど絵本。実際に子ども、大人の行動にも変化を及ぼすと認められています。
仕事をすることは、他者との人間関係なしには成立しないものです。私は企業の新卒担当をしていた際、新入社員全員に、「わたしのせいじゃない—せきにんについて 」を贈っていました。
「折をみて読み返しています。シンプルだけれどいつもハッとさせられます!」という声をよく聞きます。
寝る前の5分、絵本をぜひ手に取って読んでみませんか?
あなたの新生活が、さらによりよいものになりますように。
(※1)Better Life Index(BLI)は、経済協力開発機構(OECD)が発表している各国の暮らしの豊かさ・幸福度の指標。暮らしについて以下の11項目を点数化している。
(※2)参考文献
https://ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/5435/1/HT10001.pdf
その他引用URL:(1)、(2)
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