電車なんかと違って、クルマで行く旅は風の吹くまま気の向くまま、どこにだって行ける。行き先は、思い立ったらパッと行けて、パッと帰ってこられるくらいの場所がいい。

第17回目のドライバーは、雑誌や広告の世界で活躍するフォトグラファー烏頭尾拓磨さんと、息子の惟月(いつき)くん。向かった先は、フジロックの会場がすぐそばで、冬の一大リゾート地として知られる新潟は湯沢町。ひときわ大きいトヨタ「ハイラックス」に乗って、まだ見ぬ湯沢の夏を探しに!

過去のワンデイドライブ記事はこちらから。

愛車ハイラックスで、西へ東へ。

烏頭尾拓磨さん
1990年生まれ、神奈川県出身。生粋の葉山ボーイで、珍しい苗字のルーツは奈良県にあり。ファッションからアウトドアまで、幅広い撮影を手がけるフォトグラファー。2児のパパとして子育てにも奮闘中。
HP:takumautoo.tokyo/

8月某日、今日も都心は暑すぎる。気温は朝8時の時点で32度。

待ち合わせ場所で待っていると、でっかいクルマがやってきた。トヨタ「ハイラックス」に乗る烏頭尾さんと、息子のいつきくんだ。

烏頭尾さんといえば本誌でも大活躍中のフォトグラファー。ときにはスタジオで、ときにはキャンプ場で、アウトドアからファッションまであらゆる撮影を担っている。撮影に向かうときは機材も大量だから、基本的にはマイカー移動で、クルマは仕事道具でもある。

そんな彼が最初に購入したのは、日産「ラシーン」。カーキ色の、かわいい顔したクルマだった。

「結局、『ラシーン』には8年くらい乗ってたんですけど、2人目の子供が生まれたときに、チャイルドシートを2つ付けるとほかになにも載らなくなっちゃって、3年前に『ハイラックス』へ乗り換えました」

「ハイラックス」はピックアップトラックだけど、うしろにはキャノピー(荷台カバー)をつけて、雨風にあたっても荷物は問題なし。いまはチャイルドシートが2つあっても、大量の荷物があったとしても、荷下ろしは不要。

後席にもモニターをつけて、子供たちが暇しない仕様になっている。現に、今回の旅も長時間のドライブだったけど、終始いつきくんは静かに画面とにらめっこ。

そんなクルマで向かうのは、新潟県の南に位置する越後湯沢周辺!

6年かかった天然水、シャキッと冷えてる足の水。

今回のドライブルート。片道3時間超だけど、気合いをいれればワンデイドライブを楽しめる!

烏頭尾さんの撮影は、渋谷周辺のことが多い。一方で、自宅は葉山の奥のほう。撮影がある日は、だいたい片道2時間かけて通勤するから「3時間くらいなら全然苦じゃない」らしい。ちなみに、中古で購入して乗り出しは8000キロ、3年たったいまは10万キロオーバー。いかに移動が多いかがわかる。

さて、自宅から出発し、関越自動車道を北上し2時間、最初に立ち寄ったのは谷川岳PAだ。

谷川岳PA(下り)
住所:馬県利根郡みなかみ町阿能川字黒川ハタ1059-7
電話:0278-72-4626

とくに大きなPAではないのだけど、ここ、谷川岳の美味しい水が汲み放題。谷川山系の雪解け水が6年かけてここまでやってきていて、まろやかで、癖がない。マイボトルを持ち込んで、天然水をゲット!

味の違いはよくわからないけど、おいしいに決まってる! ここで水を汲んでキャンプ場へ行き、コーヒーを淹れる人もいるらしい。これでドライブ中の水分は心配なし。

そこからさらにクルマを走らせ関越トンネルを抜けたなら、スキーヤーにはお馴染みの越後湯沢駅に到着する。

「普段は雪景色しか見たことない場所なので、夏は本当に新鮮ですね。道もよく知ってるはずなのに『どこだここ?』みたいな感覚です」。烏頭尾さんの言葉の通り、白い化粧がされていない湯沢ってちょっと不思議。

越後湯沢駅
住所:新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢2431-1
電話:025-784-2211

温泉街らしく、いつもは足湯があるのだけど、夏季は湯ではなく水。しかも、予想以上にキンッキン。「!」といつきくんも驚くほど。

冷たい水に足を浸けると、カラダがどんどん冷めていく。それに、東京に比べると湿度がなくだいぶ涼しい。猛暑にうんざりしている人は、ぜひこちらまで。

「今日は息子のペースに合わせて、楽しめそうなところを回りたい」という烏頭尾さんのリクエストがあり、次に向かうは夏だけしか体験できない、アクティビティスポット!

夏のスキー場は、遊びの宝庫!

今回のメインイベントとも言えるのが「湯沢高原スキー場」のパノラマパーク。標高1,000mを超える山頂には、夏限定のアクティビティが盛りだくさん!

湯沢高原スキー場
住所:新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢490
電話番号: 025-784-3326
URL: www.yuzawakogen.com/

「年に1回くらいはスノーボードで来るんですが、夏は初めて」という烏頭尾さん。まずは親子でゴンドラに乗り込み、約7分かけて山頂駅へ。眼下に広がる越後の山々とのどかな田園風景に、いつきくんも恐怖とワクワクで目を輝かせる。

山頂に到着すると、いつきくんのテンションは最高潮。つくやいなや「ゴーカートにのりたい」となり、まずはパパとゴーカート。

コースは山の斜面を活かしたレイアウトで、子供にとっては最高の乗り物。「もういっかい!」という言葉を振り切り、続いて挑戦したのは、全長700mのボブスレーコース。二人用のソリに乗って斜面を駆け下りる、スリル満点のアトラクション。

最初は「怖い…」と心配そうだったいつきくんも、いざスタートすると「きゃー!」と歓声を上げておおはしゃぎ。逆に「めちゃくちゃ怖かったっす」と烏頭尾さん。大人の撮影班も乗りましたが、怖いです。

ほかにも、アスレチックがあったり、滑り台があったりと、子供たちなら1日いても飽きないほどのエンタメが用意されている。

「ちょっと盲点だったかもしれないです。こんなに夏も楽しめるとは。夏の湯沢のファンになりそうっす。なにより子供が楽しそうでよかったですね。都心だと、こんなに思い切り遊べるところは少ないですから」

カラダを目一杯動かしたあとは、お待ちかねのランチタイム。

かわいい顔した、本格派。

たっぷり遊んだ後は、お腹もペコペコ。最初は、湯沢名物の蕎麦でもすすろうと話をしていたのだけど、いつきくんの意向で急遽ラーメン屋さんへ!

らーめんヒグマ
住所:新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢2-9-15
電話番号:025-784-2637

新潟県といえば、ラーメン消費量が全国でも屈指。ご当地ラーメンも数多く存在する。この日に訪ねた「らーめんヒグマ」は、長岡生姜醤油ラーメンを提供する店。県内に5店舗を構える。

かわいい名前とうってかわり、ラーメンはキリッと醤油がたち、生姜の爽やかさも感じられる本格派。隣に座った老夫婦は、わざわざこのラーメンを食べるためだけに群馬の高崎からやってきたのだとか。

たしかに、わざわざクルマを走らせて来たいくらい、おいしいラーメンだった。見た目は変哲もないけど、ラーメン県の実力恐るべしです。その老夫婦いわく「味噌ラーメンもおいしい」らしい。

米所で、日本一の米を堪能してみる。

湯沢町は南魚沼郡に属し、クルマを北へ進めると、すぐに南魚沼市となる。この一帯は、いわずと知れた米所。

こんなご時世だから、ここまで来て、米を食べずには帰れない。ドライブしているときにたまたま目についた「おむすび」の文字。お腹は満たされてるけど、暖簾をくぐる。

FARM FRONT SEKI NOEN
住所:新潟県魚沼市関972-4
電話番号:025-775−7979
URL:sekifarmfront.jp/

ここは、美しい景色が自慢の「FARM FRONT SEKINOEN」。関農園という、南魚沼産コシヒカリの生産農家が運営する直売所兼おむすび屋で、店内から望む田園風景は、まさに日本の原風景そのもの。

関農園が作るお米は、6年連続日本一に輝いた実績がある。ここでは、そのお米を、手軽に塩むすびで味わえるのだ。土鍋で炊き、水分量をグラム単位で調整。ポテンシャルを最大限引き出した米は、ツヤツヤでモッチリ。

「毎日、3合は炊いてる」という米好き家族にとって、そのおむすびは格別の味だったよう。噛むとジワっと甘さが広がり、海苔を添えれば一層お米の味にブーストがかかる。

こんなストイックにお米と向き合うことはないし、味わうこともない。お米のありがたさと素晴らしさが、ここには待っている。食育としてもおすすめです。

子供も大人も、夏でも冬でも。

最後に道の駅に寄って、お米を買って、帰路につく。

普段は「基本的に大人が行きたい場所に行って、子どもにもついてきてもらう」というスタイルの烏頭尾ファミリーも、親子2人旅だったこともあり、この日は子供の希望を第一優先。

いつきくんもお兄ちゃんだから、弟がいるとワガママが言えない。この日は存分にはしゃいで、甘えるだけ甘えて、満足したご様子でした。いつきくん、長時間ありがとう!

では烏頭尾さん、本日のドライブはいかがでしたか?

「ほぼ仕事でしか来ないですし、遊びで来たとしても冬のスノーボードくらい。季節が違うだけで、同じ街でもこんなに違うことに驚きでした。夏の湯沢、ありですねぇ」

そういう場所って、なにも湯沢だけでなく、全国に点在している。逆に、夏のリゾートとして有名な場所は、冬になるとまた違う楽しみ方があったりする。

気付けばワンデイドライブも17回目。関東近郊は結構回ったつもりだけど、きっと、まだまだ未開の地はあるんだろうな。次はどこへクルマを走らせようか。

Photo / Shouta Kikuchi

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情報提供元: GO OUT
記事名:「 冬だけの場所だと思ってない? 新潟県湯沢周辺って、夏でも楽しい(子供もね)!【ワンデイドライブ #17】